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バーナンキ議長の議会証言  
 4月27日バーナンキ議長が議会証言をしました。利上げの打ち止め時期についてのみ関心が集まっていますが‥
 バーナンキ議長の議会証言について、「一時休止に言及」とか、「利上げ是非、柔軟に判断」と日経新聞は報じています。

 証言内容が具体的に紹介されています。

 「一回かそれ以上の米連邦公開市場委員会
(FOMC)で行動しないことを決断するかもしれない」

 少し分かりにくいですね。英文を見てみましょう。

 The FOMC will continue to monitor the incoming data closely to assess the prospects for both growth and inflation.

 In particular, even if in the Committee's judgment the risks to its objectives are not entirely balanced, at some point in the future the Committee may decide to take no action at one or more meetings in the interest of allowing more time to receive information relevant to the outlook.

 Of course, a decision to take no action at a particular meeting does not preclude actions at subsequent meetings, and the Committee will not hesitate to act when it determines that doing so is needed to foster the achievement of the Federal Reserve's mandated objectives.

<仮訳>
 FOMCは、経済成長とインフレの見通しを評価するために経済データを引き続き注意深くモニターしていきます。

 特に、経済成長とインフレとの関係がバランスを失した状態になっているとFOMCが判断した場合でも、FOMCは経済見通しに関する情報をさらに入手するために、1-2回程度は何ら措置(金利引き上げの決定)を採らないこともあり得ます。

 勿論、ある会合において、何ら措置(金利引き上げ決定)を採らないことにしたからといって、その後の会合でも何ら措置(金利引き上げ)を行なわないというものではありませんし、FOMCは、その使命達成のために必要とあらば柔軟に行動するものです。

 
 要するに、バーナンキ議長が言ったのは、インフレの見極めをするために様子見の時間が必要だというものです。何となく雰囲気がお分かりでしょうか。


 ところで、バーナンキ議長が発言したのは勿論それだけではありません。

 G7の直後だったので、その際議論になった事項についても発言しています。

 それに注目すべきは、バーナンキ議長は、FEDの専管事項以外の事項、例えば、財政赤字の問題などについては、前任のグリーンスパン議長とは違い、発言を控えるタイプだと見られていたのですが、財政赤字の問題についても、率直に取り組みの必要性を訴えています。

 経常収支の赤字の問題については、それは米国の貯蓄率の低さが原因であるという従来の立場を繰り返しています。

 貯蓄率の低さというのは、例えば、米国国民がその貯蓄以上に住宅建設を行なっているというようなことです。そして、逆に経常収支黒字の国は、それと反対に貯蓄率が高すぎると指摘しています。

 しかし、いずれにしても米国の経常収支の赤字の問題は深刻であり、米国は貯蓄率の向上に努めるべきであり、そのためには財政赤字を削減すべきだとしています。日本(名指しはしていませんが)は、外需依存の体質を改め、内需拡大に努めるべきであり、中国などは、国内需要のをより重視し、また、為替レートの柔軟性を許容すべきだとしています。

 Another important challenge is the large and widening deficit in the U.S. current account. This deficit has increased from a little more than $100 billion in 1995 to roughly $800 billion last year, or 6-1/2 percent of nominal GDP. The causes of this deficit are complex and include both domestic and international factors.

 1995年には、米国の経常赤字は1000億ドルであったが、昨年は、8000億ドルになった。これはGDPの6.5%に当たる。



 Fundamentally, the current account deficit reflects the fact that capital investment in the United States, including residential construction, substantially exceeds U.S. national saving. The opposite situation exists abroad, in that the saving of our trading partners exceeds their own capital investment. The excess of domestic investment over domestic saving in the United States, which by definition is the same as the current account deficit, must be financed by net inflows of funds from investors abroad.

 米国の経常収支の赤字は、資本支出が貯蓄を上回っていることを意味し、経常収支黒字国は逆の状態になっている。そして、この赤字は海外からの資本によって賄われることになる。


 To date, the United States has had little difficulty in financing its current account deficit, as foreign savers have found U.S. investments attractive and foreign official institutions have added to their stocks of dollar-denominated international reserves.

  However, the cumulative effect of years of current account deficits have caused the United States to switch from being an international creditor to an international debtor, with a net foreign debt position of more than $3 trillion, roughly 25 percent of a year's GDP. This trend cannot continue forever, as it would imply an ever-growing interest burden owed to foreign creditors.

 米国は、海外から資金調達を行なってきたため、債権国から債務国に転落してしまい、対外純債務は3兆ドルを超える。これはGDPの25%以上に当たる規模である。


 Moreover, as foreign holdings of U.S. assets increase, at some point foreigners may become less willing to add these assets to their portfolios.

 海外投資家による米国資産(米国債など)の保有割合が今後も高まると、ある時点で、それ以上は米国資産を持とうとはしなくなる可能性がある。

 While it is likely that current account imbalances will be resolved gradually over time, there is a small risk of a sudden shift in sentiment that could lead to disruptive changes in the value of the dollar and in other asset prices.

 経常収支の赤字の問題は、時間をかけて徐々に解決されると思われるが、センチメントが急変するというリスクも若干ある。そうなるとドルや他の資産の価格が急変する可能性がある。

米国の原油高対策  原油高に対しG7では大した提案はなされませんでしたが‥

 ブッシュ大統領は、4月25日、戦略石油備蓄の一時停止をすることを発表しました。

 米国の戦略石油備蓄(the Strategic Petroleum Reserve)は、約7億バレルあり、これは国内消費量の約35日分あるとされます。この備蓄を一時停止することにより、石油の供給量を増やし価格を抑えることが狙いと見られます。

 この他にも、国民に対し、ハイブリッド車を購入する方が石油の節約になるとか、エタノールの利用促進や水素の活用などが重要と述べています。

 しかし、肝心の石油価格高騰の原因については、あくまで中国やインドなどの経済成長によって石油需要が拡大しているためであるとしています。

 ただ同時に、米国の海外への石油依存度が急速に拡大するなか、アメリカが敵対する政情不安定な国からも輸入しており、そのためエネルギー問題は安全保障問題になっていると述べています。


<Bush大統領の演説から>
What people are seeing at their gasoline pumps reflects the global economy in which we live. See, when demand for oil goes up in China or India, two fast-growing economies, it affects the price of oil nation -- worldwide. And when the price of crude oil goes up, because it's such an important part of the price of gasoline, the average citizen sees the price of gasoline go up at the pump.

<Bush大統領の英語>
our addiction to oil   石油依存症になっていること
(国内消費量の60%を輸入に頼っている。20年前には25%だったのに))

the energy bill   石油法案
石油節約促進、生産能力拡大、エタノール等の代替エネルギーの開発などからなる法律

refining capacity  精製能力
アメリカでは新しい精製設備が30年間も作られていない。

ANWR 北極圏国立自然保護区
アラスカ州の自然保護地域内の油田開発を巡って環境論争が続いている。ブッシュ大統領は、開発すべきだとする。

The Advanced Energy Initiative エネルギー戦略
ガソリンの消費を減らすため、エタノールの利用拡大、
ハイブリッド車の改良、水素の利用からなる戦略。

Ethanol  エタノール
トウモロコシが豊作だと、石油の輸入を減らすことができる。

G7の共同声明  21日ワシントンで開かれたG7は、共同声明を採択して閉会しましたが‥
先週、ワシントンで7カ国財務相・中央銀行総裁会議が開かれました。どういうことが議論されたのでしょうか。

 正確に記述すると却って分かりにくくなるので、敢えて分かりやすく言い換えますと、石油価格の高騰と貿易の不均衡が世界経済のリスクとして存在しており、中国は為替レートを一層切り上げるべきだということです。

(1)石油価格高騰のリスク
(2)貿易の不均衡(米国の経常収支の赤字)のリスク
(3)人民元の切り上げ

 以上の3点が話し合われたということです。

 1週間ほど前に我が国のマスコミが予想した議題は、石油価格の高騰と金利の上昇ということでしたので、予想は半分しか当たらなかったのです。


 それはそれとして、今回のG7にどんな意義があったのでしょうか。

 先ず、今回の声明文ですが、こんなことが書かれています。

 「石油価格が高いにも拘わらず、インフレは抑制されている」

 この文章を読んでどのようにお感じでしょうか。
 似たような文章を思い出さないでしょうか。
 そうです。米連邦準備理事会のFOMCの声明文です。

 ここに現在のG7の実態が凝縮されているような気がします。即ち、G7が実務的になりすぎて、政治的なパワーを感じないということです。

 G7に出席したメンバーが並んでいます。前列に各国の財務相が並び、後ろに中央銀行の総裁が並んでいます。しかし、今や前列に並んだ人たちの、世界経済の矛盾を改善しようとする能力や熱意、使命感が感じられないということです。

 マスコミは、今回G7が原油の高騰や人民元問題などについて取り上げざるを得なかったため、「G7の対応に限界」などと報じ、また、IMFのラト専務理事も、「7カ国の財務相がホテルに集まり、為替相場を決められた時代は終わった」と述べています。
非常に無力感を感じるのが今回のG7で、このような会議だったら、開いてもそれほど意味がないと言えるかもしれませんが、本当に今回のような声明文の採択で満足していいのでしょうか。

 2点指摘します。

 先ず、原油の高騰について、共同声明では、産油国側に生産や精製能力を拡充するように求めていますが、的外れです。

 というのは、今回の原油高騰は、投機資金が巻き起こしている原油先物価格の高騰なのです。そして、投機資金は、米国とイランの関係に注目しているのです。

 つまり、供給不足によって価格の高騰が起きている訳ではなく、OPEC側も「我々ができることはない」と突き放していますし、米エネルギー長官ですら、原油が十分供給されていることを認めています。

 声明文としては、この地政学リスクに言及する必要があったのではないでしょうか。それができなかったのは、米政権に遠慮したからでしょうか。

 次に、貿易の不均衡問題ですが、今回の声明文でも米国の経常収支の赤字の原因は米国民の貯蓄率の低さが原因であるという認識に立って、今後貯蓄率を上げるよう努力すべきだという抽象論しか書かれていません。

 しかし、この認識は間違ってはいないかも知れませんが、決して十分なものではなく、これでは米国の経常収支の赤字が縮小に向かう保証はないといえます。

 このままですと、米国の経常収支の赤字は今後も拡大し続け、世界経済がある時点で大混乱に陥る可能性を益々大きくしているだけではないでしょうか。

 将来のある時点で、もう少しやるべきことをやるべきだったとならないでしょうか。

地政学リスク   4月17日のNY市場で原油先物価格が70ドル台に乗せた。でも何故?
 NY原油相場は、2000年頃には1バレル30ドル前後の水準にあったものが、2001年の暮頃に20ドル程度まで下がった後、おおむね上昇基調にあります。

 最近では、昨年の8月30日にハリケーンカトリーナが製油施設を直撃したときに70ドルに達した後、一旦下降局面に入りましたが、その後また、上がったり下がったりしていました。

 原油が不足しているのでしょうか。
 やはり、中国の経済が年率10%ものスピードで成長し続けると、相当の原油を消費するからでしょうか。

 でも理由はそれだけではありません。

 原油先物市場に値上がり益を狙った投機資金が大量に入って相場を押し上げているのです。

 国際エネルギー機関が12日発表した4月の石油市場月報は、「市場最高値圏で推移する原油価格は需給では説明できない」としています。
では、何故大量の投機資金が原油先物市場に流れ込んでいるのでしょうか。大儲けのチャンスなのでしょうか。

 謎を解くキーワードは、「地政学リスク」です。

 中年の私は、「ちせいがく」というと、「地勢学」が頭に浮かびますが、その「ちせいがく」ではなく、「地政学」です。英語では、geopolitics です。つまり国際関係の緊張を示す言葉です。

 では、最近原油価格に影響を及ぼすような国際関係の出来事が起こっているかといえば、二つあります。

 一つは、イランがウラン濃縮に成功し、米国が警戒を強めているからです。
 もう一つは、ナイジェリアでの石油関連施設の攻撃があったりしたことです。

 大儲けのチャンスを窺う投機資金は、そうしたことを理由に今後の原油供給の減少に賭けているということです。

 ここで、もう一つ疑問があります。
 投機資金は、そうした資金をどうして調達できたのか。

 それは、日本が最近まで量的緩和政策を続け、今でもゼロ金利政策を継続していることなどから、世界的な金余り現象が続いているためです。

根拠なき熱狂   最近特に話題になったわけでもないのですが、ちょっと気になったもので‥
1月一杯で米連邦準備制度理事会議長を退任した前グリーンスパン議長が、12日の講演で、「根拠なき熱狂」について言及しました。

 ところで、「根拠なき熱狂」という言葉を知っていますか。1996年12月、当時の米国の株高に対し、グリーンスパン議長は、そう言って警鐘をならしたのです。

 で、その「根拠なき熱狂」について、日経と朝日は異なるニュアンスで伝えています。

 右側をご覧下さい。違うでしょう。どっちが正しいと思いますか。
朝日(ワシントン=共同) 4月14日
 「「根拠なき熱狂」不適切だった グリーンスパン前議長 「名言」を陳謝」

日経 4月13日夕刊
「米国の資産価格上昇 「根拠なき熱狂」今なら言い過ぎ」


 どうも、グリーンスパン前議長の発言は、「ここ数年の資産価格上昇を「根拠なき熱狂」と表現するのは言い過ぎだ」と言ったに過ぎないのが事実のようです。

数字論争   名目成長率と長期金利の関係についての議論です。
国の借金を減らすための議論が行なわれています。消費税が2ケタになるのは避けられないという考え方と3%程度の引き上げで済むという考え方があります。
 数字論争というのは、今後の長期的な経済見通しの基礎となる名目成長率と長期金利について、どのような前提を置くかについての議論です。
マンキューだかサンキューだかしらないが

(成長率と長期金利はどちらが高いかで竹中大臣がマンキュー教授の論文を引用して議論したことに対し小泉首相が発言)

諮問会議、与謝野大臣の考え


名目成長率3% 
長期金利 4%

歳出削減必要額
20兆円


 
政府税調の石会長は
消費税引き上げ幅が3%にとどまることはありえない」と発言
与党、竹中大臣


名目成長率4%
長期金利3%

歳出削減必要額
6兆円



←中川政調会長
「補欠選挙の告示日に増税の話をしなくてもいいじゃないか」
消費税の引き上げ幅は、3%程度で済むと発言した竹中大臣に対し、与謝野大臣は、神の啓示でもあったのではないかと皮肉りましたが、この二人は仲が悪いですね。なんか事情でもあるのでしょうか。
               ↓↓↓
 日経は、「検証 諮問会議 論争の真相」(4月18日、19日)と題し、事の顛末を説明してくれます。

 長い迷走は、諮問会議委員の吉川教授の一言で始ったとあります。昨年12月26日のことです。
 何と言ったのでしょう。

 「長期金利の方が成長率を上回るのが自然な姿だ」と。

 ところが、税収の伸びに影響を与える名目成長率と国債の利払い費に影響する長期金利の関係は国際的にも歴史的にも結論が出ていないとされています。そこで、竹中大臣が吉川教授の発言に対し、「日本の場合、戦後派名目成長率の方が高かった」と拒絶感を示したのです。

 その後、議論は続きますが、3月16日に、吉川教授が次のように発言します。
 「2015年度に国と地方をあわせた基礎的財政収支を国内総生産比で2%の黒字にすれば、成長率と金利の前提に拘わらず残高は持続的に下がる」

 因みに、GDP比で2%の黒字にするということは、GDPが約500兆円ですから、10兆円の黒字を達成しなければいけないということです。しかし、現在は、均衡どころか、14兆円も赤字となっているのです。

 いずれにしても、財務大臣も吉川教授の意見に同調し、与謝野大臣が「財政健全化を確実にするためには2%の黒字目標が共通認識だったかと思う」と発言しました。

 そして、そうした意見に対し、竹中大臣が「それは合意ではない。いろんなケースを考えようということだと思う」と反発したのです。

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