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| ********************************** 経済ニュースゼミ (第251号) 2006年11月1日 ********************************** こんにちは、seijiです。 日本の総人口が2005年に減少に転じたことが確定したようです。 2005年10月の人口は1億2776万人で、04年10月と比べ2万2千人減少したとされ、ま た、06年10月の推計人口も18千人ほど減少する見込みとあります。 人口が増え続けると、地球がパンクしてしまうような妄想に取り付かれてしまいま すが、減少するのも寂しいものですね。 ところで、今回の景気拡大は10月でいざなぎ景気に並んだとされますが、どうも実 感がないとよく言われます。 何故実感がともなわないのか、ブログで簡単にコメントしていますので、よかった らご覧下さい。暫く更新をしていませんでしたが、また、書き始めたいと思います。 ↓↓↓ http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(景気動向) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(景気動向) =================================== 経済産業省は、30日に鉱工業生産指数を発表しました。 9月の鉱工業生産指数(速報値)は、予想されていたことですが、前月に比べ106.0 と前月に比べ0.7%低下しました。輸出向けの自動車生産が下がったことなどが原因で あるようです。8月の数値が過去最高であったため、その反動減ともされています。と いうことで、2ヶ月ぶりの低下になりましたが、「生産は上昇傾向」にあるという基調 判断は変っていません。 ところで、鉱工業生産指数とともに出荷指数や在庫指数も同時に発表になります が、電子部品・デバイスの在庫指数が162.7(2000年=100)と過去最高を更新したとさ れています。 電子部品・デバイスのウェイトは、鉱工業全体の生産や出荷の1割超を占めているの で、全体に対する影響も相当のものがあります。 では、何故電子部品・デバイスの在庫が増えているかと言えば、番号継続制度に向 け、機種変更の需要拡大をにらんでメーカーが在庫を積み増したためではないかと見 られています。 今後の年末商戦の結果や米国の景気次第では、生産調整につながりかないとも懸念 されている模様です。 一方、総務省は、31日に9月の完全失業率を発表しましたが、4.2%と前月に比べ0.1 ポイント上昇してしまいました。3%台になるかという見方もあったのですが、逆の結 果になってしまいました。 何故失業率が悪化したかと言えば、雇用情勢の回復を受け、女性を中心に自主的に 会社を辞め、転職先を増やす人が増えたからであると見られています。そういう理由 であれば、完全失業率が上昇したことを額面どおりに受け止める必要はないというこ とです。 完全失業者数の理由別内訳をみても、リストラなど「勤め先の都合」によるものが 63万人と前年同月と比べ9万人減少し、また、転職などのための「自己都合」によるも のが111万人と前年同月を8万人上回っています。 企業の採用意欲は旺盛であり、総務省は、「雇用情勢全体は改善傾向」との判断を 変えていません。 こうしてみると、今回の鉱工業指数と完全失業率は、数値こそ悪化していますが、 傾向としては変っていないと受け止めるべきなのでしょうか。 ただ、IT分野の在庫が増加していることは、今後フォローする必要がありそうで す。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 今回の世界史の未履修問題ですが、オーストラリアに修学旅行に行った時間数を世 界史の履修時間にカウントした学校があったとか。 補修時間が70時間でOKだとか、50時間でOKだとか、瑣末な議論がされています が、大学受験に影響を与えないようにとか、予定通りに卒業できるようにとか、目先 のことしか考えないこの社会の「美しくない面」が気になります。 世界史を勉強しないで、どうして外国人と立派に渡り合う日本人が養成できるとい うのでしょうか。 この際、大学の入試科目と試験内容について根本から議論すべきではないでしょう か。 合格かどうかを決めるのは共通試験だけでも十分なような気がしますが、それで足 らないというのであれば、後は作文と面接程度でいいのではないでしょうか。 共通試験では、全教科を対象とすべきです。そうすると、否が応でも全教科を必死 で勉強するでしょう。 みなさんは、どう思いますか。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第252号) 2006年11月6日 ********************************** こんにちは、seijiです。 本日は配信が遅くなってしまいました。 早速、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(日米の失業率) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(日米の失業率) =================================== 先週、日米の失業率が発表になりました。 我が国の9月の失業率は、4.2%でした。そろそろ3%台に突入することが期待されて いたのですが、逆に前月比0.1ポイント上昇してしまいました。 ただ、失業率が上昇した背景には、景気回復を理由により条件のいいところに転職 しようとする人が増えていることもあるということですので、悲観することはないか もしれません。 一方、米国の失業率も発表になりましたが、米国の10月の失業率は、4.4%で前月比 0.2ポイント低下し、5年5ヶ月ぶりの低水準になったとされています。 日本が4.2%で、米国が4.4%ですから、殆ど同じ水準になったといっていいかもし れません。 ところで、日経(11月1日)によれば、「景気拡大で需要不足失業がゼロになり、簡単 には減らない構造的失業だけが残ったときの失業率を、構造的失業率とか均衡失業率 と呼ぶ」と説明した上で、「均衡失業率」の推移について解説しています。 ここまで読むと、経済学に詳しい人は、均衡失業率とは、経済学でいう自然失業率 のことで、構造的失業とは摩擦的失業を指していることと気が付くでしょう。 自然失業率は、どれだけ経済が活発化しても残ってしまう失業率のことであり、そ れよりも失業率を下げようとすれば、インフレが起こってしまう失業率と理解されて います。 その自然失業率ですが、我が国の場合、1970年代から90年代初めまでは、1%台後 半から2%台前半で推移していたとされます。とことが、バブル経済の崩壊後、2%台 後半に上昇し、最近では3%台半ばから後半程度に移っていると考えられています。 ということは、我が国においては、失業率がもう少し低下し3%台にならなければ、 物価の上昇が感じられることはないとも考えられます。その意味では、失業率が4%台 にある限り、日銀が金融を引き締めに転じることもなさそうです。 一方、米国では、自然失業率は5%程度ではないかと受け止められており、その意味 からすると、失業率は相当に下がってきており、インフレ圧力は相当に強いと受け止 められているということです。一時期、政策金利の引下げの可能性が噂されていまし たが、失業率が4.2%では、再び金利の引上げが行なわれる可能性の方が大きくなって いるとも言えます。 米国の失業率のピークは2003年で、6%台に乗っていましたが、それが着実に低下を 続けているのです。それに、平均時給は、2001年初ごろには14ドル前半だったのが、 この10月には16.9ドルとなり、その間一貫して上昇を続けています。平均時給の前年 同月比伸び率は3.9%であり、確かにインフレ圧力が強いことが窺われます。 このように雇用面でみると、米国の経済の力強さが確認され、金利の引上げの継続 も予想されることになると、当分円安が続くのかなとも考えられます。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 野球とバレーボールを交互に応援していましたが、やっぱり大リーグはパワフルで すね。 バレーボールの方は、最初負けたので調子悪いのかと思っていましたが、そうでも ないということでしょうか。でも、期待しすぎるとまた‥、ということになりそうで す。 中川政調会長は、相変わらず自由に発言していますが、ちょっと軽い感じがしなく もないですね。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第253号) 2006年11月8日 ********************************** こんにちは、seijiです。 前回、日米の失業率についてコメントしましたが、このマガジンでは珍しいことに お二人からお便りがありました。そこで、本日は、それについてお答えしたいと思い ます。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(日米の失業率 続) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(日米の失業率 続) =================================== 先ず、I様からのお便りです。 「毎回分りやすい経済ニュースの配信大変ためになります。所で日米の失業率につ いて質問させて下さい。 日本の失業率は4.2%、米国は4.4%と0.2%しか差がないとのことです が、実際のところはどうでしょうか?聞くところでは米国の失業率の算定方法と日本 の失業率のそれとは、違うので単純には比較は出来ないと聞いたことがあります。日 米の失業率の算定方法はどう違うのかご教示くだされば有難いです。 」 この手のご質問は、中年にはお馴染みのものです。 日本が高度成長を遂げていたときには、日本の失業率は米国の失業率に比べ、著し く低い値を示していましたが、そのようなときに、日本は終身雇用であるからとか、 統計の取り方が違うので日本の失業率が低く見えるというようなことが言われていま した。 先ず、失業率とは、労働力人口のうち失業者の占める割合をいいますが、「労働力人 口」の定義が日米で違います。 <労働力人口> 日本は、労働力人口とは、15歳以上の働く意志を持つ人々の数を指しますが、学 生や専業主婦が除かれています。 それに対し、米国では、16歳以上の全ての働く意志を有した人々の数を指しま す。 <失業者> 日本は、失業者とは、労働に従事していないが、過去1週間以内に求職活動を行な った人のことです。 これに対し、米国では、労働に従事していないが、過去4週間以内に就職活動を行 なった人のことです。 このように失業率の計算式で、分母になる労働力と分子になる失業者の両方で定義 が異なることから、日米の失業率を単純に比較することは適当でないということで す。 なお、日本では失業者に含まれない一時帰休者や休職中の学生が、米国では分子の 失業者に含まれ、また、日本では分母の労働力人口に自衛隊員が含まれますが、米国 では軍人は除かれています。このため、日本の失業率の方が低めに出る傾向があると 見られています。 次は、F様からです。かなり高度なご質問です。長文なので適宜抜粋しました。 「米国の失業率につきましてですが、 雇用統計のアナウンス後に、米国の経済ニュ ース番組等では、多数のコラムニストが出演し、賃金コスト・プッシュ・インフレー ションへの警戒を語っておりました。 私見では、大筋では異論はないのですが。 しかしながら、失業率の低下(NAIRU水準=5.0%程度との推定を基にし て)から、物価上昇圧力の「急激な」上昇を議論する場合、今日の米国の経済状況を 鑑みた場合、別段、考慮を要する議論があるのではないかと考え、失礼ながら、メー ルをさせていただきました。ご意見、ご批判等、頂ければ幸いです。 私見では、米国のインフレ率の上昇懸念を論じる場合に、短期フィリップス曲線の 形状と位置に、充分配慮することが重要ではないかと思います。 昨今の、米国の短期フィリップス曲線の形状を推定すると(安定的に推移するのか といった議論も有るでしょうが)、概ね、その傾きが緩やかではないかと、考えま す。 で、あれば、失業率のNAIRU水準以下への低下による、名目賃金の上昇・物価 の上昇という、フィリップス曲線上の移動を危惧する以上に、フィリップス曲線の上 方シフトを警戒することに、金融政策当局(FRB)は、ウェートを置くべきではな いかと考えますが。 インフレ率・名目賃金上昇と失業率低下のトレードオフを、単線的に論じること に、やや違和感があります。 他方、米国では、実質GDP成長率の鈍化から、向こう数四半期はポテンシャル水 準以下の成長(潜在成長率=2.9%程度まで下方修正として見積もって)となると いった観測がコンセンサスとなっていると思われますし。 そうなればなお更、米国景気に配慮した金融政策(政策金利の利上げを控える)が 求められるといった、ジレンマにも陥ります。 物価版フィリップス曲線を、ニューケインジアン・フィリップス曲線に置き換えて (需給ギャップとインフレ率)考慮してみると、より明確になるんだろうと思いま す。 ですので、フィリップス曲線上の移動を論拠にした物価上昇を全面的に論じるので はなく、やや乱暴な言い方をすれば、それ事態はたいしたことではなく(NAIRU 水準を下回っていても)、インフレ期待の上昇(フィリップス曲線の上方シフト)こ そが、問題視されるべきではないかと、考えますが。 この場合の金融政策は、今日の知見では、最適コミットメント政策としてのそれで あると、思われますし(しかしながら、即座にインフレーション・ターゲッティング を持出すのも拙速であり、議論が必要であると考えますが)、インフレ期待の抑制 に、ウェートをかけての政策立案をする場合は、政策金利(FF金利誘導目標)の利 上げのプライオリティが最も高い(後回しになる)とは言えないと考えます。 どうも、米国(さらには、日本の)のマーケット関連のエコノミスト、アナリスト 等々は、名目賃金上昇からの物価上昇、それに対する政策金利の利上げといったロジ ックを強調しすぎるのではないかと思えてならないのですが、いかがでしょうか。」 先ず、F様の指摘を1つずつ取り出しましょう。 (1)フィリップス曲線の傾き フィリップス曲線とは、元来、失業率と賃金の上昇率の負の相関関係を示すもので すが、物価版フィリップス曲線は、失業率とインフレ率の負の相関関係を表し、失業 率を低く抑えようとすれば高いインフレ率を甘受せざるを得ず、また、インフレを抑 えようとすれば高い失業率を我慢しなければならないようなトレード・オフの関係が あると言われています。 F様は、最近では、フィリップス曲線の傾きが緩やかになっているのではないかと 指摘しています。つまり、失業率の水準が変動しても、インフレ率はそれほど変わら ないのではないかということだと思います。 そこで、米国の1990年以降の消費者物価指数と失業率の関係をチェックしてみ ました。 すると、これまでの約17年間の間に、失業率は、約4%から約8%のレンジで推 移していることが分ります。失業率は92年頃に約8%のピークに至った後低下し 続け、2000年には約4%に到達します(ボトム)。しかし、その後のITバブルの 崩壊で失業率が上昇し、03年に6%を上回る水準にまで達しますが、その後着実に 下がり続けて、現在の4.4%に至っているわけです。 一方、インフレ率の方は、この17年間において、約1%から6%強のレンジで推移 しています。91年当初には6%を超えていたインフレ率は98年ごろには1%台に まで低下しますが、その後上昇し、2000年には3-4%まで上昇します。しかし、 ITバブル崩壊によって、インフレ率は1%程度にまで低下し、その後、概ね上昇基 調にあるということです。ただ、最近は、原油安の関係でインフレ率は低下していま す。 ところで、この17年間の失業率とインフレ率の関係をグラフに落とすと、確かに F様の仰るように、フィリップス曲線の傾きは緩やかであるようにも見ることができ るかもしれません。ただ、2000年以降に限ってみると、やはり右下がりの関係が 成立しているようにも思えます。 私が見る限りでは、大胆に言えば、次のような関係が成立しているとも思えます。 <失業率> <インフレ率> 7% 1% 6% 2% 5% 3% 4% 4% 3% 5% 2% 6% 従って、フィリップス曲線の形に関する理解が、私とF様では違うようにお見受け します。 <期待インフレ率の上昇> F様は、期待インフレ率の上昇が問題ではないか、とのご指摘ですが、期待インフ レ率が上昇しているのかどうか、私には確認できません。 一般の読者のために、インフレ率と期待インフレ率の関係を示すと、 インフレ率=期待インフレ率−b(失業率−自然失業率)+供給ショック となります。 従って、この式からは、仮に自然失業率(F様の言うNAIRU水準)が5%であ るとすれば、4.4%という現実の失業率水準は、高いインフレ率をもたらす要因になる とも考えられるわけですが、仮に自然失業率が知らない間に低下してきており、その 一方でインフレ率が高まるとすれば、それは期待インフレ率が上昇しているせいでは ないかとのご指摘だろうと思います。 しかし、例えば、この1年間において米国内で期待インフレ率が上昇したと理解す べきような兆候は起こっていません。もし、期待インフレ率が上昇すると思うのでし たら、民主党が勝利を収めた本日以降になると思われます。それは、民主党は、イン フレ抑制よりも、景気を優先しがちだと受けとめられているからです。 ただ、F様が仰りたいことが、「期待インフレ率が元々高い水準にあることから、 自然失業率が下がっても、インフレが起きやすいのだ」ということであるとすれば、 それはよく理解できます。 <期待インフレ率を低下させる方法> 仮に、期待インフレ率を低下させる必要があるとして、どのような方法が考えられ るでしょうか。 それには、政府の支出を大幅に削り財政赤字を縮小させることが手っ取り早いと思 いますが、そうした手段が無理であるとマーケットが受け止めれば、期待インフレ率 を低下させることは非常に困難なことであると思います。 F様は、インフレと失業率のトレードオフにのみ注視するマーケットの見方に対し 異議を唱えていますが、マーケットは、期待インフレ率がそう簡単に修正されるもの ではないことを感じているからこそ、インフレ率と失業率のトレードオフの関係を注 目しているのではないでしょうか。 いずれにしても、成長率は鈍化しつつあるのに、インフレの懸念が高いことは事実 であるようです。このため、米国としては、今後金融政策の舵取りが難しくなると考 えられます。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 米国の中間選挙ですが、下院は民主党が勝ったようです。 今後米国の外交姿勢にも大きな変更が生じるのではないでしょうか。 それにしても、選挙結果が接戦であった場合に票を数えなおさなければいけないと いうのも、どうしたものでしょうか。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第254号) 2006年11月10日 ********************************** こんにちは、seijiです。 米国の中間選挙の結果が確定しましたね。上院も民主党の勝利となり、上下両院を 民主党が制覇しました。 これより先に、ブッシュ大統領は、ラムズフェルド国防長官を更迭しましたが、意 外な気もしました。 本日は、中間選挙と経済政策の関係を考えてみましょう。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 ブログでは、中国の外貨準備高が1兆ドルを突破したことについて、コメントしてい ますので、よろしかったらご覧下さい。 ↓↓↓ http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(米国の中間選挙と経済政策) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(米国の中間選挙と経済政策) =================================== 本日の日経によれば、米国の9月の貿易赤字は643億ドルと、前月比6.8%減少したと 報じられています。貿易赤字を減らす努力が実を結びつつあるのでしょうか。 いいえ、そういうことではありません。実は、原油価格の下落の結果、輸入が減少 したことによるものです。 対中国の赤字は過去最大を更新しているようです。また、1-9月の累計赤字も約5860 億ドルと前年同期に比べ12%も増加しています。この結果、06年の年間赤字は過去最 高になるとみられています。 では、このような結果に対し、民主党はどのように対応するでしょうか。 恐らく、米議会の保護主義が強まると考えれます。共和党は、どちらかと言えば、 中国の集中豪雨的な輸出に対しても寛容な対応をしていました。口では中国に対し人 民元の切り上げを求めながらも、実際には、舞台裏で中国当局と手を握っていた節が あります。 共和党と民主党を比べると、共和党の議員や役人たちは、経済学の教科書に割りと 忠実な考え方をしているようにも見えるのです。 それに対し、民主党は、教科書的な理屈ではなく、働く者の現実の利益を守ろうと 行動します。従って、いくら経済学の教科書で、輸入割り当てなどの貿易政策が効果 がないと説こうと、そういう保護主義的な政策を採用しようとするのです。 中国の外貨準備高が1兆ドルを超えたという報道が伝わってきていますが、それは、 中国が為替介入を積極的に行なっていることを意味するので、その点でも民主党は、 鋭く突いてくるだろうと思います。とばっちりで、日本にもクレームが付くことが懸 念されます。 次に、最低賃金上げ一転容認という記事が、昨日報じらています。米大統領が民主 党と妥協を模索しているようです。 日本では、最低賃金については、それほど関心が寄せられませんが、米国では結構 注目されている問題です。 共和党は、企業よりですから、企業の労働コストを引上げるような最低賃金制度に そもそも反対していますが、民主党は、働く者の利益を代弁しようとしますから、最 低賃金の引上げに熱心です。 最低賃金は、連邦の最低賃金と各州の最低賃金がありますが、連邦賃金は1997年に 時給5.15ドルに決められてから据え置かれたままです。このため、実質的な水準は50 年ぶりの低さになっているとのことです。 ところで、最低賃金制度について、経済学の教科書はどのように説いているか知っ ていますか。 例えば、マンキュー教授は、最低賃金制度があるせいで、それよりも低い賃金で働 いてもいいと考える人の働く機会を奪うことになって、却って労働者のためにならな いと説いています。 ただ、そのような考えは冷静に考えれば理解できるところなのですが、1時間働いて 5.15ドルということは、600円強ということですから、やっぱり安いなー、とは感じて しまいます。 ただ、法律でそれより以下の仕事を禁止するのが適当かと言えば、俄かには結論が 出ないかもしれません。 いずれにしても、最低賃金でブッシュ大統領は、早くも民主党と妥協するというこ とですから、今後様々な分野で、ブッシュ大統領の変身振りが見られると思われま す。 共和党と民主党を比べれば、共和党はお金持ちの味方で、民主党が労働者の味方と いう図式が成り立つと思いますが、日本との関係で言えば、民主党は厳しく当たって きた経緯がありますから、日本としては何とも言えない気がします。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 上院も下院も民主党に牛耳られている状態で、2年間も大統領をやるのも大変です ね。自分の信念どおりに政策を実行できなくても、大統領を続けることに価値がある ということなのでしょうか。 9月の機械受注が、前月比7.4%と大きく減少しています。設備投資の勢いが落ちて いるのでしょうか。そうとも言えないと思うのですが‥。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第255号) 2006年11月13日 ********************************** こんにちは、seijiです。 北海道は雪ですね。急に寒くなりだしました。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(機械受注ショック) 2.編集後記 ================================== 経済ニュース解説(機械受注ショック) ================================== 機械受注統計については、このマガジンでも度々取り上げてきました。 その機械受注ですが、10日に発表になった9月期の機械受注が前月比7.4%減の9975億円にとどまり、7−9月期でみても、前期比11.1%の大幅な減少になったことが判明しました。 このニュース、マーケットでは結構深刻に受け止められているらしく、機械受注ショックとも呼ばれているようです。 では、どの程度深刻なものか、少し考えてみましょう。 次の計数を見てください。 <機械受注総額> 17年10-12月 18年1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 受注総額 71,208 76,487 80,067 73,641 76,409 0.4% 7.4% 4.7% −8.0% 3.8% 民需 34,458 35,430 38,148 34,546 36,076 2.2% 2.8% 7.7% −9.4% 4.4% 除く船・電力 31,965 31,850 34,685 30,835 32,583 2.8% −0.4% 8.9% −11.1% 5.7% ちょっとごちゃごちゃして恐縮ですが、4半期ごとの機械受注額を記載しました。 機械受注統計は毎月単月分が発表になるのですが、振幅が激しいので、4半期ごとに見る方が適しているとされるからです。4半期ごとの計数をみることによって、激しい振幅が均され、機械受注の動向が的確に分ります。 ところで、ちょっと復習ですが、機械受注統計は、設備投資の先行指標と言われ、6−9ヶ月先の設備投資の動向を表すとされています。 実は、内閣府が発表しているのは、全国の機械メーカー280社の合計額で、これで全体の8割程度がカバーされているとされます。 で、上に記した計数なのですが、一番上の計数は、その受注総額を表しています。そして、そのうち民間企業から発注されたものを2番目に記しています。 7−9月期の機械受注は、全体では、7兆3641億円ですが、そのうち、民間分は、3兆4546億円ということです。そして、最後に「除く船・電力」として記した計数は、民間からの受注分のうち、船の受注は除外し、また、電力会社からの受注も除外した数字であるということを意味します。 なぜ、船の受注や電力会社からの受注を除くかというと、景気との関連性が薄く、金額が大きいことや懐妊期間が長いことから2−3期先の設備投資の動向を窺うのに不適当であるからとされています。 ということで、民需(除く船・電力)の7−9月期の機械受注をみると、3兆835億円ということで、前期比は、11.1%の減少ということになっているわけです。 この数字を製造業からの発注と非製造業からの発注に分けてみると、製造業は前期比−2.9%、非製造業は−17.9%となっており、非製造業からの発注が大きく減少したことが分ります。具体的には、運輸や通信の減少が目立っています。また、製造業では、鉄鋼や紙・パルプの反動減も大きかったとされています。 いずれにしても、マーケットは、この減少結果に大きく反応しているというわけです。 しかし、伸び率としては大きなマイナスになったものの、3兆円強という水準事態は、決して低いものではないのです。 さらに、今回10−12月期の見通しも発表になっていますが、それをみると5.7%の増加と再び増勢に転じることが予想されています。 こうしたことからすれば、設備投資が急に勢いがなくなったと受け取るのは早計のような気がします。 みなさんは、どのようにお感じになるでしょうか。 ================================== 編集後記 ================================== 明日、7−9月期のGDP速報が発表になりますが、マーケットは年率で1%程度の成長を予想しているようです。 みなさんは、どのように予想されますか。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第256号) 2006年11月17日 ********************************** こんにちは、seijiです。 前回、11月15日は、マガジンの配信ができませんでした。 前から調子が悪かったパソコンがクラッシュしたみたいです。リカバリーを試して みましたが、うまくいきませんでした。 パソコンは、すごく便利な反面、壊れると大変な目に遭いますね。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(7−9月期のGDP) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(7−9月期のGDP) =================================== ちょっと遅くなり、恐縮なのですが、14日に発表になった7−9月期のGDPについてコ メントしたいと思います。 結論から言えば、年率2.0%の成長を遂げているので、まあ、よかったということこ ろでしょうか。確か、マーケットの予想の平均値は、1.0%成長ということでしたか ら、それからすればまずまずということでしょうか。 ただ、新聞の解説などを読むと、個人消費が前期比0.7%も減少していることに、少 し懸念を感じている人もいそうです。反面、設備投資や輸出は堅調であったようで、 設備投資や輸出に引っ張られた成長であるという解釈が一般的なようです。 では、どうして個人消費が伸びていないかといえば、どうも二つの理由がありそう です。 一つは、賃金があまり伸びていないこと。そして、もう一つは、天候不順で、衣料 品やレジャー関連で消費が低調だったためだとされています。 実は、今回と同じような議論は、2000年の夏から秋ごろにもありました。景気ダム 論というのですが、当時、設備投資が回復し、企業の業績もよくなりつつあったの で、ダムに溜まった水がいずれ川を下るように、個人消費も活発になるのでは、とい うものです。ただ、当時は、結局消費は盛り上がらずに終わってしまいました。 では、今回はどのように考えたらいいのでしょうか。 私自身は、そもそも個人消費に大きな期待をかけること自体がおかしと思っていま す。設備投資などは、景気に大きく左右されるものですが、消費というのは、それほ ど景気に左右されるものではありません。むしろ、天気次第という面が強いのです。 これが、大昔の大恐慌時代のように収入が何割も減る時代でしたら消費も当然落ち込 むはずですが、いくら景気拡大が実感できないとはいえ、僅かずつ経済は成長してい るわけですから、消費態度が急に変わるということはありえないのです。 そうしたことから考えると、今回消費が低迷した結果になっていても、それは主に 天候不順によるものだと考えるべきです。だとすれば、次はその反動増が表れるだろ うというくらいの気持ちで見ていた方が適切なのではないかと考えています。 それから、GDPデフレーターは、依然として前期比マイナスを示しているようです が、これについてもあまり神経質になる必要はないと思います。 というのは、物価の下落の主要な原因は、需要が少ないというよりも、製品の機能 の向上が目覚しいことから起きているものです。 パソコンや液晶テレビの価格の低下は決して悪いことだとは解釈すべきではないと 思うのですが、皆さんは、如何でしょう。 以上 =================================== 編集後記 =================================== パソコンが壊れて修理に出す人はどの程度いるのでしょうか。 修理に出すと、運よく直った場合には、記録していたことが分かってしまうことに なりますが、それは自分の脳の中を覗かれるようで、困ったことですね。 へえー、そんなことにご興味がおありなのですか、などと言われそうで。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第257号) 2006年11月20日 ********************************** こんにちは、seijiです。 みなさん、ご機嫌如何ですか。 実は、秀和システムというところから、マクロ経済学がよ〜くわかる本というのが 売り出されるそうです。 http://www.shuwasystem.co.jp まあまあかな、という感じです。 でも、是非手にとって読んで見てください。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(ミルトン・フリードマン) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(ミルトン・フリードマン) =================================== 先日、フリードマン氏が逝去したとのニュースが新聞に掲載されていました。 ノーベル経済学賞をとった学者でも、有名ではない人が多いですが、このミルト ン・フリードマン氏は、大変に有名な人です。 それは何故でしょうか。 そもそも、みんながよく知っている経済学者といえば、アダムスミスですよね。そ れにケインズ。 アダムスミスは、神の見えざる手で利己的な需要者と供給者が導かれ市場は均衡す ると説きましたが、アメリカは長期に渡った大恐慌からなかなか抜け出すことができ ませんでした。 そこで、ケインズが登場し、賃金の下方硬直性を指摘し、有効需要が不足している 状態では、政府が需要を追加してあげることによって、また経済が巧く回るようにな ると説きました。 アダムスミスなど、ケインズ以前の市場の価格調整機能を信じる立場の経済学者 は、古典派と呼ばれますが、ケインズは、それを否定し、ケインズ革命を起こしたの です。 それに対し、本日取り上げているフリードマンは、マネタリストの総帥と呼ばれ、 ケインズの考え方を否定したのです。 マネタリストは、景気を刺激しようとして財政政策や金融政策を実施しても、長期 的には物価の上昇を招くだけであって、効果はないと主張します。 ということで、多くの経済学の教科書は、ケインズの考えとそれに反対するフリー ドマンなどの考え方が対比して書かれることが多いのです。 ケインズとフリードマンは、ワンセットとして扱われているとも言えるのです。 ところで、日経新聞は、フリードマンについてどのような書き方をしているかとい えば、11月17日夕刊ですが、「財政ではなく通貨供給量のみでインフレやデフレを制 御するマネタリズムを唱えた」としています。 この説明の仕方ですと、マネタリストというのは、財政政策は採用しないものの、 景気刺激のために積極的に金融政策を活用するような印象を与えてしまって、少しま ずいですね。 マネタリストとは、マネーサプライの変更は、物価に影響を及ぼすだけで、実体経 済には影響を及ぼさないと考えるエコノミストですから、この点誤解のないようにす べきです。 ところで、亡くなられたばかりですので、悪いことをいうのはためらわれますが、 フリードマンは、かつて英国のポンドの切り下げを察知し、ポンドの空売りを銀行 に申し出たところ断られた話が有名です。 今回、フリードマン氏の写真が何枚か紹介されていましたが、その1枚は、ノーベル 経済学賞の賞金の小切手を受け取る姿です。なんか、フリードマンらしい写真かなと も思いました。 なお、フリードマン教授は、恒常所得仮説でも有名です。 以上 =================================== 編集後記 =================================== マクロ経済学がよ〜く分かる本ですか。 でも、やっぱり本屋さんでみてみないと。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第258号) 2006年11月22日 ********************************** こんにちは、seijiです。 今日はテレビで朝からワンちゃんの救出劇をやっていました。 大の大人が何人も駆り出されていましたが、無事に救い出されたようでよかったで す。 平凡な犬でもペットショップで売られている高級な犬に負けないくらいかわいいも のです。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(個人消費) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(個人消費) =================================== 11月14日に発表になった7−9月期のGDP速報値は、大方の予想を裏切り前期比で0.5% (年率2.0%)の伸びとなり、これで7・四半期連続のプラス成長になったことは既に お伝えしたところです。 ところで、年率2.0%の成長というのは、ほぼ日本の実力に応じた成長率、つまりイ ンフレを引きおこさずに達成できる最大限の成長率(潜在成長率)と同じ水準という ことになり、言うことはないのですが、その中身が問題視されています。 どういうことかと言えば、設備投資が前期比2.9%(年率12.0%)伸びているのに対 し、個人消費は前期比-0.7%(年率-2.9%)と落ち込みが大きく、個人消費が盛り上が らないと景気の踊り場入りも懸念されるということです。 では、どうして個人消費が盛り上がらないかといえば、二つの理由があります。 一つは夏場の天候不順により消費が盛り上がらなかったことと、もう一つは、賃金の 改善が進んでいないからということです。 私自身は、天候不順こそが7-9月期の個人消費低迷の最大の理由だと考えています が、11月21日付けの日経に日本経済研究センターの日本経済短期予測が掲載されてい ました。そこでは「7-9月期の個人消費の減少は、ガソリン価格上昇などを嫌気した消 費者心理悪化や天候不順の影響など一過性要因もあるが、基本的には賃金の改善がお くれていることが原因とみることができる(図)」とされています。 図を見ると、こんなにも、雇用者報酬、要するにサラリーマンの給与と消費は連動 しているものかと、一瞬思ってしまいましたが、実は、この図の右半分はこれからの 予測なのです。だから、如何にも雇用者報酬と個人消費は強い連動性があるように見 えるのです。 この図をご覧頂くためには、http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ ということで、実際の数字を並べてみることにしましょう。 時期 雇用者報酬 前期比 個人消費前期比 2003 1-3 272.6 1.3% -0.2% 2003 4-6 270.0 -1.1% -0.2% 2003 7-9 266.7 -1.1% 0.5% 2003 10-12 267.1 0.1% 1.1% 2004 1-3 264.8 -0.8% 0.8% 2004 4-6 267.8 1.1% 0.0% 2004 7-9 268.3 0.2% 0.5% 2004 10-12 267.1 -0.4% -0.7% 2005 1-3 268.0 0.3% 1.2% 2005 4-6 272.6 1.7% 0.9% 2005 7-9 274.3 0.6% 0.9% 2005 10-12 277.0 1.0% 0.7% 2006 1-3 277.1 0.0% -0.1% 2006 4-6 278.7 0.6% 0.5% 2006 7-9 278.4 -0.1% -0.7% (注)雇用者報酬は、季節調整済みで、単位は兆円。 こうしてみると、短期的には、雇用者所得の伸びと個人消費の伸びはそれほど連動 していないことが確認できます。 もちろん、長期的には雇用者所得の伸びが個人消費の伸びを決定付けるものである ことは誰も否定できないところですが、短期的にはむしろ天候などが大きく作用して いると言えます。 それにもう一つ大切なのは、7-9月期に雇用者所得が低下したといっても、それは前 期比0.1%にとどまり、見方によれば横ばいともとれる数字です。 また、来年には鉄鋼大手が6年ぶりに賃金改善を実施する予定であり、さらに団塊世 代の大量の退職という事態を控え、労働需給はますます逼迫すると見込まれ、賃金の 引き上げの可能性は高まると見込まれます。 以上のようなことからすれば、7-9月期に個人消費が年率で2.9%のマイナスになっ たからといって、それほど悲観することはないと思います。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 明日は、勤労感謝の日ですが、米国ではthanksgiving day ですね。そして、それが 過ぎればクリスマスセールの開始です。 今のところ、米国でもクリスマスセールの伸びはまずまずと予想されています。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第259号) 2006年11月24日 ********************************** こんにちは、seijiです。 銀行の9月期の決算が発表になっていますが、過去最高を更新したとか。しかし、多 くの大手銀行では法人税を払わないでいいとか。ということで、テレビのワイドショ ーは、銀行批判をしています。 これについては、ブログで扱っていますので、よろしかったら見てください。 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ ところで、勤労感謝の日も過ぎ、日米ともにクリスマス商戦に突入という感じで す。街では、クリスマスツリーが飾られていますし、年末ジャンボ宝くじの列も出来 ています。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(米国の年末商戦の見通し) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(米国の年末商戦の見通し) =============================== わが国の今後の経済動向は、米国経済の減速度合いやIT関係産業の在庫調整に大き く左右されそうだとするのが、最近の大方の見方のようです。先日、日本経済研究セ ンターの日本経済短期予測に触れましたが、そこでも米国経済の減速に大きく注目し ていました。 では、米国の今後の経済はどのように推移すると予想されているのでしょうか。実 は、感謝祭明けの24日からクリスマス商戦が始まりますが、結論から言えば、今年の クリスマス商戦の売り上げは、前年同期比5%増加するというのが、全米小売業界の見 方らしいのです。 では、その5%というのは、いい数字なのかどうかということですが、過去10年間の 平均が4.6%とされていますから、それからすると平均以上ということになります。た だ、昨年は6.1%増加したということですから、それよりは少し落ちるということで す。 過去10年間で、最も高い伸びを示したのは1999年で、そのときは8%ほど増加してい ます。昨年の6.1%という数字はそれに次ぐ高い伸びになっています。反対に低い伸び にとどまったのは2002年で、そのときは1%ほどしか伸びていません。 ということで、米国の個人消費は依然として堅調のようです。これには、ガソリン 価格の下落や、住宅価格の上昇や株高という資産効果が影響しているという見方もあ ります。また、失業率が4.4%と米国としては極めて低い水準に達しており、賃金の上 昇圧力が強いことも影響していると思われます。 ただ、消費意欲が高まるためには、所得水準の増加とともに、実際に買いたいと思 う商品が存在するということが必要であると思うのですが、その点でも、例えば、手 ごろな価格になった薄型テレビに人気が集まっているとされています。 アメリカの消費者は、1人当たり約8万円出費するらしいですが、あなたは、この冬 いくらくらい使う予定でしょうか。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 日経新聞を読んでいたら、タイラギの稚貝量産に成功とあります。 タイラギというのは、二枚貝の一種で、帆立貝と同じような貝柱がとれるのです が、食感が帆立貝よりも引き締まっていて、美味なのです。 実は、諫早湾の干拓事業の実施でタイラギがほぼ壊滅状態にあり、そのおいしいタ イラギが獲れなくなったことを大変残念に思っていたのですが、もし、実用化に成功 すれば、また、タイラギの獲れる有明海になり、大変うれしいことです。 本当は、養殖しなくても自然に殖えることが一番いいのですが、このさい贅沢は言 えません。 皆さん、食べたことありますか? 無理して食べなくてもいいですよ。食べる人が増えると値段が上がってしまいます から。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第260号) 2006年11月27日 ********************************** こんにちは、seijiです。 昨日、高知の室戸岬で1時間で149ミリの雨量を記録したとあります。 6年ほど前に名古屋で1時間あたり100ミリ程度の雨が降ったときも、大変な状態にな りましたが、1時間で約150ミリも降るというのは、どんな感じなのでしょうか。滝に 打たれていると同じでしょうか。 それにしても、台風も年々酷くなるばかりですし、尋常ではない量の大雨が増えて おり、少し不安です。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(設備投資15%増) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(設備投資15%増) =================================== 日経新聞が調査を実施した2006年度の設備投資額が発表になっています。 結論から先に言えば、なんと、全産業で前年度を15.1%も上回る勢いになっていま す。 このニュースを聞いて、あれっ、おかしくないのと思う人は鋭いですね。 それは、11月10日に発表になった7-9月期の機械受注統計は、前期比11.1%も減少し ており、設備投資の勢いがなくなっているのではと、心配する向きもあったからで す。 ということになると、機械受注統計は設備投資の先行指標だというものの、機械受 注統計を設備投資とイコールの関係にあるとみることはミスリーディングだというこ とになります。 ところで、設備投資の数字は、大きく3つの指標によって示されます。 一つは、設備投資そのものを示す数字であり、それは、GDPの支出項目である民間設 備投資額によって表されます。二つ目は、設備投資の先行指標と言われる機械受注統 計です。そして、三つ目が、日経新聞社などが実施する民間設備投資の調査結果で す。 そして、それら三つには、すぐに思いつくだけでも、次のような違いがあります。 先ず、GDP全体に占める民間設備投資の割合ですが、これは15%程度と言われていま す。例えば、2005年度のGDPを見ると、名目ベースでGDPは505兆円であるのに対し、民 間設備投資は76兆円であり、丁度15%を占めています。そして、2004年度に対する伸 び率は、6.7%(名目ベース)となっています。 GDP統計上の2005年度の民間設備投資は、前年度比6.7%の伸びなのです。ところ が、日経調査によると13.7%の伸びなのです。7%ポイントも違いが生じています。 このことは、このマガジンで半年前にも言及しているところですが、なんらかの理 由があり、日経調査は、GDP統計の民間設備投資よりも数字が高く出る傾向がありま す。 では、なぜ、そうなるのでしょうか。 前回は、その理由がわからなかったのですが、その理由がわかりかけてきました。 その前に、日経調査とGDP統計の民間設備投資とは、どの程度の乖離が発生している かを見てみましょう。 この10年間程度の民間設備投資の前年度伸び率の推移をみてみると、日経調査の方 は、実は、マイナス10%からプラス15%程度のレンジで推移しています。一方、GDP統 計上の民間設備投資の方は、マイナス9%からプラス7%程度のレンジで推移していま す。 大胆に言えば、GDP統計の方では、伸び率が半分程度ということになろうかと思いま す。 では、どうしてGDP統計の方は、数字が低めに出るかですが、日経調査の方には、海 外の現地工場(子会社)の設備投資が含まれているからではないかと思われます。GDP 統計上は、国内居住者の設備投資のみが計上されることになっていますが、日経調査 の方は、海外実施分が含まれているからです。ただ、このことは完全に確認されたこ とではなく、仮説ですので、その点ご留意下さい。 次に、機械受注統計とGDP統計上の設備投資も、前年度比の伸び率に大きな相違が見 られます。すでに見たように、この10年間程度をみると、GDP統計上では、民間設備投 資はマイナス9%からプラス7%のレンジで推移していますが、機械受注統計は、この 10年間において、マイナス19%からプラス17%のレンジで推移しています。ただ、こ の数年間をみると、ほぼ同じ程度の伸び率を示しているとも見えます。 では、なぜ相違が生じているかといえば、一番大きな理由は、機械受注には、海外 からの注文が含まれているからです。仮に、機械受注の全てが海外からのものである とすれば、いくら機械受注統計の伸び率が高い値を示しても、設備投資はゼロとなっ てしまうからです。 以上、日経調査による民間設備投資、GDP統計上の民間設備投資、そして機械受注統 計の主な違いを見てきましたが、経済動向を正確に把握するためには、そうした基本 的な違いを押さえておくことが肝要です。 今回の日経調査によると、海外向けの投資の伸び率は、前年度の32.0%から今年度 は11.4%へ減少しているとあります(国内外別の伸び率が比較可能なものに限る) が、それにも関わらず、全産業の伸び率は前年度の13.7%から15.1%へ上昇している ので、GDP統計上の2006年度の民間設備投資は、前年度を上回ることが期待できそうで す。 以上 =================================== 編集後記 =================================== マラリアという病気は、ハマダラ蚊によって感染させられるとあります。世界で年 間3-5億人が感染し、150-270万人が死亡する、恐ろしい病気です。 そのマラリアを防ぐ手段が見つかったとあります。 何でも、蚊の遺伝子を改変することによって、感染力が低下するらしいのですが、 その方法を自治医科大学と茨城大学の共同研究グループが開発したとあります。 それは、グッドニュースかもしれませんね。 しかし、遺伝子操作した生物を自然界に放すということが、手放しでは喜べませ ん。どうしたらいいのでしょうか。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第261号) 2006年11月29日 ********************************** こんにちは、seijiです。 皆さん、「マクロ経済学がよ〜くわかる本」を読みました? まだ、読んでないですよね。 私も、昨日、大きな本屋さんで見つけたばかりです。別の本屋さんにはまだ置いて ありませんでした。 皆さんも、読んで書評を書いて下さい。 どうして、そんなに薦めるかって、ですか? 読めばわかります。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(伸びぬ賃金) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(伸びぬ賃金) ================================ 今後の国内景気を占う上でポイントになることが3つほどあると思います。 第1は、設備投資の動向、第2は、個人消費の動向、第3は、輸出の動向です。 このうち、設備投資の動向については、9月の機械受注額の伸びが前月に比べ7.4% も減少し、また絶対額も9975億円と1兆円の大台を下回ったことなどから、やや弱気な 見方も出始めているようですが、先日お伝えした日経新聞の06年度の設備投資調査の 結果は、前年度比約15%も伸びると見込まれ、力強さが再確認されています。 次に、輸出の動向です。これは米国経済の今後に左右されるということですが、ガ ソリン価格の低下などを背景に、米国の消費は堅調で、感謝祭の翌日から始まった年 末商戦もまずまずのスタートを切っていると伝えられています。となると、輸出が急 に弱含む恐れもなさそうです。 ということで、結局国内の消費自体が今後どうなっていくかが注目されるところで すが、ここ何ヶ月間か天候不順を理由として消費がいまいち盛り上がっていないとい う結果が出ています。 そして、そのことについて、私自身は、それほど心配しているわけではないのです が、最近の消費に力強さが欠けるのは、一人当たりの賃金が伸びていないためだ、と する見方が存在しているのも事実です。もっとも、その点についても、私はそれほど 心配していません。 しかし、本日の日経には、「伸びぬ賃金 若年化も要因 中高年退職 平均押し下 げ」という記事が掲載されています。 これは、どういうことでしょうか。日経は、次のような解説を行っています。 「雇用条件は改善しているのに、統計上では、一人当たりの平均賃金がなかなか上 昇しない。グローバル競争への対応で企業が賃金を抑えているのも事実だが、賃金の 高い中高年の退職が増え、若い社員の比率が高まっていることが、見かけ上の平均賃 金を押し下げている要因にもなっているようだ」とあります。 そう言われると、なるほど、そういうものかという感じがしないでもないですね。 日銀の福井総裁は28日記者会見を行っていますが、福井総裁自身も賃金が上がらな い理由として「企業は団塊の世代の大量退職に備えて新卒の採用を増やしているが、 両世代の所得格差があって一人当たりの名目賃金が上がらない」と述べており、日経 の記事と同じような考え方をしていることが分かります。 ただ、日経の記事もよく読むと、毎勤統計の調査対象に、賃金水準の低い事業者が 今年1月にたくさん加わったことも要因になっており、実際の賃金は統計ほど低下して いないという見方があることも紹介しています。 いずれにしても、仮に中高年の退職にそなえて新卒の採用を増やしていることが統 計上の賃金の低下につながっているとすれば、それは、中身の問題としては、何ら悲 観するような話ではないと考えます。 こうしてみれば、賃金が伸びないから消費が弱含んでいるという理解の仕方は適当 だとは思われないのですが、皆さんはどのようにお考えですか。 以上 =================================== 編集後記 =================================== もうすぐ12月です。近所の銀杏も半分くらい黄色くなり、紅葉した木も目に付きま す。少しずつ寒くなるでしょうが、風邪など引かないように注意して下さい。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第262号) 2006年12月1日 ********************************** こんにちは、seijiです。 気の早いクリスマスツリーの飾り付けをみて、まだ先なのにと思っていたのです が、気がつくと、今年も後4週間ほどです。 早いものですね。Time flies like an arrow. では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(米国の経済) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(米国の経済) ================================ 今日は、米国の経済動向を扱いたいと思いますが、いつもと違って、キーワードを 示しますので、先ず、皆さんが考えて下さい。 住宅価格が5年で5割 国民の7割が株保有 原油価格がピークから2割下落 年末商戦 薄型テレビ 以上のキーワードからお話を作って下さい。 ただ、それだけでは少し難しいかもしれませんので、結論は、米国の消費は底堅さ を保っているということにして下さい。米国の10月の個人消費は前月比0.2%の増加に なっています。 えっ、難しすぎますか? では、一つずつキーワードを考えていきましょう。 先ず、住宅価格が5年で5割ということですが、これは米国では過去5年間で住宅価格 が5割も上昇したことを示しています。 米国の経済を語る上で頻繁に引用されるのは、住宅市場の行方です。どうしてそん なに重要かといえば、米国の消費者は住宅を担保にして銀行から借り入れを行うの で、住宅価格が上昇すれば、ローンの余裕枠が拡大し、逆に住宅価格が下降すれば、 ローンの余裕枠が縮小してしまう、つまり、消費が冷え込むのではないかと考えられ ているからです。 最近、米国の住宅市場が減速していると言われますが、過去5年間で5割上昇した効 果が効いていて、まだ、住宅市場減速の悪影響は出ていないということです。 次の国民の7割が株を保有しているということですが、最近の株価の上昇によって株 高の資産効果が消費を刺激しているというように受け止められているのです。 3番目の原油価格がピークから2割下落ですが、恐らく、これが一番の特効薬になっ ているのではないでしょうか。いうまでもなくアメリカは車社会であり、しかも燃費 の悪いSUVがいっぱい走っているそうですから、ガソリンが高いと、当然他の出費を抑 えなければいけなくなりますが、そのガソリン代が2割も安くなり、消費者のマインド が明るくなっているということです。 最後は、年末商戦と薄型テレビですが、先週から年末商戦が始まっていますが、今 年の売り上げは、前年比5%と高い伸びが予想され、実際幸先のいいスタートを切って いるようです。個別の商品としては、薄型テレビの売り上げが順調だと言われていま す。 ということで、以上のパーツをつなぎ合わせて、米国の消費は底堅いものがあると いう文章にすることができれば、合格ということです。 以上は、いい材料ばかりなのですが、景気が良過ぎても、また利上げが話題にな り、そうすると、マーケットが過剰反応して株価が下がるというような事態も想定さ れます。 それに、今の世の中何が起こるか分からないので、安心は禁物です。 では、次回まで =================================== 編集後記 =================================== 12月に入ってしまいました。 早いものですね。 やるべきことがたくさんあるような気がしますが。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第263号) 2006年12月4日 ********************************** こんにちは、seijiです。 急に寒くなりましたが、いよいよ冬という感じですね。 国会が開かれていますが、どうも最近テレビに登場する政治家は表情が明るくない ですね。小泉さんは、しっちゃかめっちゃかでしたが、プレスリーの歌を歌ったりし て、陽気な面がありました。今の内閣の面々をみていると‥。 ところで、今日はスティグリッツの本を買いましたが、情報の非対称性というのを 知っていますか? 面白いことが書いてあったら、紹介しますね。 ブログでは、情報の非対称性について書きました。 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(米国の経済) 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(米国の経済) ================================ 前回は米国経済の底堅さについて触れましたが、本日は、少し弱気な話を紹介しま しょう。 実は、米国の長期金利が4.4%になりました。 これだけで、へーっと頷いた貴方は鋭い。 では、どうして?と不思議に思っている人にヒントを与えます。 米国の政策金利、つまり、連邦準備理事会が誘導している短期金利であるフェデラ ルファンドレートが何パーセントか覚えていますか? そう、5.25%です。 まだ、分かりませんか。 短期金利が5.25%なのに、長期金利は4.4%台に落ちてしまったということなので す。どうしてか。それは、マーケット関係者が今後経済が弱含むとみて、長期金利が 低下したということです。 では、どうして経済見通しが弱含んでいるかといえば、直近の材料では、米サプラ イ・マネジメント協会がまとめた11月の製造業の景気指数が2003年4月以来の50割れに なったからです。50というのは、景況感の分かれ目であって、これをきっかけにFRBの 利下げ観測が再び強まるのではないかとの見方もあるようです。 ただ、そうは言っても米国の主要小売業の11月の売り上げは、前年同月比2.1%伸び ています。しかし、インフレ率が3%程度あるわけですから、2.1%の伸びは余り良い 数字ではないかもしれません。 実は、ウォルマートは米国の小売業売り上げ全体の1割を占めると言われています が、ウォルマートの11月の売り上げは0.1%減で、10年ぶりのマイナスになったとあり ます。 なお、長期金利が4.4%台になったと言いましたが、米国の失業率も4.4%で、こっ ちの4.4%は、経済が好調なことを示しています。 今週は8日に米雇用統計が発表になりますが、どのような数字になるか注目されます ね。 では、次回まで =================================== 編集後記 =================================== 福岡では、オフィスビルに発砲した事件が起きています。 毎年この時期になると、そうしたことが起こりやすくなりますね。そういう事件や 事故に巻き込まれないように注意して下さい。 それから、風邪などもひかないようにして下さい。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第264号) 2006年12月6日 ********************************** こんにちは、seijiです。 今日は、外に出ると少し暖かいくらいの陽気です。10月に戻ったような感じです。 前回、スティグリッツの本を買いましたと紹介しましたが、なかなか面白いです。 ただ、スティグリッツの言っていることが本当だとしたら、IMFの経済学の博士たちは バカばっかしということになるのですが、本当にそうなのでしょうか。難しい理論は 理解しても、現実の経済を知らないということなのでしょうか。 ブログでは、スティグリッツの本の感想を紹介しています。 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説 (1)景気の家計への波及 (2)設備投資12%増加 (3)米中経済対話 (4)行き過ぎた円安 (5)世界の富 (6)オーストラリアの旱魃 2.編集後記 =============================== 経済ニュース解説 ================================ (1) 景気の家計への波及 新聞が伝えるところによると、日銀の福井総裁は首相官邸を訪れ、安倍首相と会 談したとあります。 政府と日銀の定期会合は、年1-2回のペースで開いているそうです。 ところで、どういうことを話したかといえば、日銀総裁が「息の長い景気が続く」 といったのに対し、安倍首相は 「家計への波及が弱い」といったとされています。 まあ、首相の発言の意図するところは、消費がまだ盛り上がっていないので、金利の 引き上げは先延ばしにしてくれ、ということだと思います。 やっぱり、消費は盛り上がりに欠けているのでしょうか。 また、そうであるとしたら、それはどういう理由によるものでしょうか。 この点については、このマガジンでも何回かコメントしていますが、人件費の伸び が鈍いためだという意見の人が結構いるようです。 では、本当に人件費の伸びが低いことが消費が盛り上がらない原因なのでしょう か。 実は、12月5日の日経は、7-9月期に企業の人件費が前年同期比で4.4%も増加してい ることを紹介しています。4日に発表になった法人企業統計によって、そのことが明ら かになったとあります。 雇用者の所得が伸び悩んでいるのを裏付けるデータを示すエコノミストがいます が、少なくても、法人企業統計によれば、人件費は増加しているということです。と いうことは、消費の先行きに対しそれほど悲観的になる必要はないということです。 さらに、来春は、自動車や電機に続き、鉄鋼や造船重機でも賃上げが行われる見通 しであることなどから、賃金の伸びが低いことが消費が盛り上がらない原因になると はあまり考えられないと思います。 後は寒い冬になって冬物の衣料などが売れるようになれば、消費も伸びると思われ るのですが‥。 (2) 設備投資12%増加 設備投資の伸びについても、たびたびこのマガジンで取り上げていますが、12月4日 の日経夕刊では、1面で「設備投資12%」と大きな字で掲載しています。7-9月期の法 人企業統計によると、全産業の設備投資は前年同期に比べ12%増となり、これは3・四 半期連続で二桁の伸びということらしいです。 ところで、以前発表になった7-9月期の機械受注額は、前期比11.1%のマイナスだっ たのを覚えていますか。 内閣府が調べた機械受注統計が前期比11.1%のマイナスで、財務省の法人企業統計 の設備投資が前年同期比12%の伸びと対照的になっとことを、どのように理解すべき でしょう。 実は、機械受注統計は、設備投資の先行指標とされ、6-9ヶ月先の設備投資を表すも のとされているのに対し、法人企業統計の方は、設備投資の実績を示すことになりま すから、法人企業統計で、7-9月期の設備投資が12%伸びたからといっても、それは、 今となれば7-9月期の過去の話となるわけです。それに対し、機械受注統計の方は、半 年先の設備投資を予想する数字ということです。 (3) 米中経済対話 米中経済対話が14日と15日に北京で開かれることになったとあります。 そして、その閣僚協議を前に、全米製造業協会が積極的にロビー活動を展開してい ると報道されています。 12月5日の日経夕刊は、「人民元改革 最優先に」と書いています。製造業協会から すれば、中国からの集中豪雨的な輸入のせいで苦境に立たされているので、当然とい えば当然のことでしょうが、実際には、それほどの成果は期待できないのではないで しょうか。 それぞれのヘッドは、米国側がポールソン長官で、中国側があのどたきゃんをした 呉儀副首相です。その2人の顔を見ていると、形だけの協議で終わりそうな予想がされ るのですが、人を外見で判断してはいけないのですよね。 (4) 行き過ぎた円安 円が114円台になっています。一時期は120円に迫っていたのに、随分戻してきたも のです。 その背景は何かと考えると、米経済の失速懸念です。先日、米サプライマネジメン ト協会がまとめた11月の製造業の景気指数が50を割り、そうしたこともあり、長期金 利が4.4%台に低下していることを紹介しましたが、今後FRBが金利引き下げに踏み切 ると見る向きが増えていることが背景にあるということです。 (5) 世界の富 国連大学世界開発経済研究所が世界の富の分布状況を調べたそうです。その結果を 12月6日の日経が報じています。 ここでは、富とは、資産から負債を差し引いたものとして定義されていますが、世 界の富は、全部で125兆ドルだそうです。GDPの約3倍の規模になっているとされます。 で、肝心の分布状況ですが、なんと上位の1%が全体の4割の富を所有していると か。そして、貧しい方の50%の人たちは、全体の富の1%しか保有していないとしてい ます。 所得や富の分配の平等の度合いを示すジニ係数が、日本は0.55であり、それに対し 米国は0.80になっているとされています。また、世界全体のジニ係数は0.89というこ とですから、世界が如何に不平等かが察せられます。 (6) オーストラリアの旱魃 オーストラリアで大変な旱魃が起きていると報道されています。何でも、100年に1 度程度の旱魃だとされています。 オーストラリアは国土の約1/3を「非常事態地域」に認定したとされますが、地図を みると、人口の集中している西側は殆ど認定され、全土が認定されたような格好で す。 今回の旱魃の影響は、既にオーストラリア国内では小麦の買い取り価格の上昇とい う形で表れているようですが、今後牛肉や酪農品の価格を押し上げる要因になると考 えられています。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 福岡では、オフィスビルに対する発砲事件が引き続き起こっています。いずれも建 設会社が入ったビルですが、嫌なものです。 北朝鮮とのサッカーの試合があるようですが、NHKに対し北朝鮮の拉致問題を報道せ よと命令する政府が、よくもまあ、北朝鮮とのサッカーの試合を認めるものですね。 でも、やるからには頑張って欲しいです。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第265号) 2006年12月8日 ********************************** こんにちは、seijiです。 スティグリッツのGlobalization and its discontentsという本について、少し紹介 しましたが、取り敢えず読了し、もう一度読み直しているところです。 非常に分かりやすいというのが感想です。内容的に全て納得できるかといえば、そ うでもないところもあります。でも、お薦めしたいという感じです。 ただ、繰り返しになるかもしれませんが、タイトルが与えるイメージと、スティグ リッツさんの主張にはギャップがあるように思います。 タイトルからすれば、グローバリズムを強く批判する内容であろうと予想されると 思うのですが、スティグリッツさんは、グローバリズムを強く支持しているのです。 彼が批判しているのは、彼が働いていた世界銀行と姉妹機関であるIMFのやり方なので す。 そういう意味では、グローバリズムに批判的な人がこの本を読むと少し失望するか もしれません。 しかし、この本を読むことによって、国際金融の舞台裏を知ることができ、その意 味では有意義であると思います。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説 米財務次官によるデフレ終局宣言 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(米財務次官によるデフレ終局宣言) ================================ 本日の日経に、「日本 デフレ終わった」という小さな記事が掲載されています。 日本政府は正式にはデフレ終局宣言を未だ行っていませんが、これだけ経済が緩や かとはいっても成長を続けているわけですから、デフレというのは似つかわしくない と考える人が多いと思います。 ところで、なぜこの記事を取り上げているかと言えば、実はデフレが終わったと発 言したのが、日本の関係者ではなく、米国のアダムズ財務次官であるからです。 なぜ、アメリカ人が日本の経済についてコメントするのでしょうか。 It's none of your business. という感じです。 そもそも米国の次官がなぜ今頃来日しているのかと思い、インターネットのニュー スを探っていると、日米の財務省の次官級経済対話に出席するため日本にやってきた とあります。 まあ、折角来たのだから、新聞記者もいろんな質問をしたということでしょうか。 でも、アメリカの経済動向について質問するならばともかく、なぜ日本経済について 質問するのでしょうか。質問する記者も、記者ですよね。 アダムズ次官の発言の真意について推測するのは後にして、記者たちから、米自動 車業界に円安への不満があるようだがと聞かれて、彼は、米産業界の指導者とは定期 的に協議しているとした上で、04年3月から日本政府が為替介入を実施していないこと を歓迎していると答えています。 実は、今から約1ヶ月ほど前、米自動車大手3社は、アダムズ次官に会って、円が不 当に過小評価されていることを伝える予定だと報道されていたことがあったようで す。実際に伝えたのかどうかは私自身確認していませんが、記者のからそうした質問 が出たことは、実際に米自動車関係者が円が安いことに不満を持っていることの証で しょう。 ただ、だからといって、日本が長い間為替介入を行っていない以上、為替レートに 関し日本に何も言うわけにはいかないわけですが、そうした産業界の意見を代弁する のも政府高官の重要な仕事と心得ているようであり、それが冒頭の発言につながって いるのだと思います。 即ち、デフレは終わったのであるから、金利を異常に低く抑える必要もないのでは ないか、そうなれば円ももう少し切り上がることになり、その方が日本の経済ファン ダメンタルズを反映することになるのではないか、そう、アダムズ次官は言いたいの ではないでしょうか。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 本日、午前中に衛星放送をみていたら、真珠湾攻撃に参加したパイロットの日本人 のことを紹介した番組をやっていました。 真珠湾攻撃自体は、日本人ならよく知っていると思うのですが、それに参加した軍 人が戦後どのような生活をしてきたかは、非常に興味深かったので、ついつい観てし まいました。 実は、その人、最初はアメリカのことをこの野郎と思っていたようなのですが、そ の後ひょんなことから、相手を許すこと学んで、キリスト教に改宗し、アメリカで何 年間も自らの体験を講演したそうです。 自らが攻めたハワイでも講演に行ったそうです。 奇襲したハワイで話するなんて、怖かっただろうなと思いましたが、恐らく、自分 の命など気にならなくなっていたのでしょうか。 そういう運命を持って生まれてきた人なのだなと思いました。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第266号) 2006年12月11日 ********************************** こんにちは、seijiです。 北朝鮮を巡る6カ国協議を前に、北朝鮮側が、拉致問題の解決を主張する日本に対し また、いちゃもんを付けています。日本は協議に参加する資格がないと。 そうですね。6カ国協議の面々をみると、太陽政策を採る韓国、難民の流入を懸念す る中国、暗殺疑惑のロシア、核問題にのみ関心のある米国ということですから、拉致 された人々を取り戻そうとし、また、北朝鮮の人々の人権を本当に心配する日本人 は、6カ国のメンバーになるのは相応しくないかもしれません。 ブッシュ大統領は、横田夫人との面会についてこれまで度々触れています。日本か ら娘を誘拐されたママが来て話をしたけど、あんなにジーンと来たことはないと。 しかし、ブッシュ大統領は、それにも関わらず具体的な行動には出ていません。や っぱり、日本人が自ら解決しなければいけないのでしょう。 ところで、ブログでは、ドル安加速と題しコメントをしています。どうぞ見てくだ さい。 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説 米国の雇用状況 2.編集後記 =================================== 経済ニュース解説(米国の雇用状況) ================================ 米国では、8日に11月の雇用統計が発表になっています。 それによりますと、非農業部門の雇用者数が、前月に比べ13万2千人増加していま す。市場予測は10万5千人だったので、雇用の底堅さが確認された結果になりました。 雇用回復の目安は15万人程度とされていますが、現在のような景気減速局面では、10 万人程度が巡航速度ともみられています(12月9日、日経新聞)。 これを業種別にみると、製造業は1万5千人の減少です。GMなどの販売が不振でリス トラが続いているためだとされています。 建設業も、住宅市場が減速している関係で、2万9千人も減少しています。 一方、サービス業は17万2千人増加しています。 ところで、失業率の方は、前月の4.4%とから4.5%とむしろ上昇してしまいまし た。ただ、それでも米国にとっては4%台の失業率は極めて低い水準というべきで、イ ンフレ懸念を払拭することができません。 実際、平均時給は、16.94ドルと前年同月比に比べ4.1%も上昇しています。平均時 給はこの5年間、着実に上昇しています。 今月の12日には、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれますが、以上のような米 国の雇用状況をみると、一時期出始めていた利下げ観測は再び弱まるものとみられま す。 以上 =================================== 編集後記 =================================== スティグリッツのGlobalization and its discontents(世界を不幸にしたグローバ リズムの正体)ですが、何度もいいますが、どうもタイトルがミスリーディングな気 がします。 恐らく、このタイトルをみて読んでみようと思う人は、globalizationに批判的な人 たちが多いと思うからです。 スティグリッツは、globalizationには、基本的に反対でなく、支持する立場なので す。 スティグリッツが批判しているのは、globalizationを推し進めているIMFのやり方 です。 でも、スティグリッツもIMFの姉妹機関である世界銀行に勤めていたのです。外部の 者からみれば、IMFも世銀も似たようなものに見えると思うのですけど‥。 それはそうとして、では、IMFのどのようなところがスティグリッツは気に入らない かといえば、主に次の二つです。 一つは、どのような国に対しても、資本市場や金融市場の迅速な自由化を迫ったこ と。 そして、もう一つは、緊縮財政を迫ったことです。 後者については、そうでなくても経済が失速して失業が増大しているときに、さら に緊縮財政を強いることで、さらに景気が悪化し、失業者が増大する結果になったと しています。 世界銀行とかIMFについて勉強したい人には、お薦めの本です。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第267号) 2006年12月13日 ********************************** こんにちは、seijiです。 中国がWTOに加盟してから5年が経ち、その間世界の貿易は飛躍的に拡大しているよ うですが、その一方で、米中間の貿易摩擦は激化しています。そして、その解決を図 ろうと、14日、15日に北京において米中戦略経済対話が開催されようとしています。 ただ、この交渉の結果、米国の製造業者が恩恵を被ることはないと思います。日米 の構造協議でもそうでしたが、米国が主張するのはウォールストリートの利益なので す。 今回の議題に関し、日経新聞によれば、「金融業務について資本・店舗制限を減ら すように求める」とありますし、また、「自動車、金融などの企業が中国企業を買収 しようとしても、中央や地方の政府が出資比率引き下げやサービス限定などの条件を つける例が多いとされる」としています。 ところで、ブログでは、WTO加盟後の中国経済を簡単に解説しています。どうぞ見て ください。 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(米中戦略経済対話) 2.編集後記 ============================== 経済ニュース解説(米中戦略経済対話) ============================== 14日、15日と北京で米中戦略経済対話が開催されます。 何のための会議かといえば、近年の集中豪雨的な中国から米国への輸出によって巻 き起こっている米国内の不満を沈めるための会議です。 そういえば、日本と米国の間でもバブルの頃に日米構造協議を開催したことがあり ました。 まあ、結論からいえば、今回の米中の対話によっても、米国の製造業者の不満が和 らぐことはないと思います。では、何も米国は得ることがないかといえば、そうでは なく、米国のウォールストリートが喜ぶようなことはあるかもしれません。 この20年間以上の日本の金融・保険業界を振りかえってみてください。外資系の保 険会社の日本進出は目覚しいものがあります。 しかし、あの当時米国が怒っていたのは、例えば、日本からの自動車の輸出に対し てでした。アメリカの保険会社が起こっているなどという話は、まったく報道されて いませんでした。 結局、日本の自動車メーカーは、アメリカに対しても配慮する必要があることか ら、直接アメリカに工場を立て、現地生産をするようになったということです。この 結果、アメリカの雇用は確保され、労働者の不満を和らげることができたのですが、 米国の自動車メーカーは衰退を強いられています。 今回、米中の対話が持たれるということですが、どうしてもそうしたことが思い出 されてしまいます。 ただ、全てが同じことの繰り返しでもなさそうです。米中間の主な争点というこが 何かを見てみましょう。 (1) 貿易不均衡の解消 これは最大の争点ですが、この解決のために、米国側は人民元の一層の切り上げを 求める方針だとされています。 (2) 知的財産権の保護 これは、中国にとって特有の問題です。違法コピーの問題はあまりにも有名です が、中国内には、偽物や物まねは経済成長の必要悪として認められるという風土があ るようです。 (3) 農業問題 米国からみれば、中国の農産物に対する関税は相当高いと映るようです。 しかし、米国は、巨額の補助金を農家に与えているために、途上国側から常に批判 されています。 (4) 金融 米国は、外国企業に対する市場開放を要求したいとしているようです。 この議題から見る限り、最大の被害者意識を有している米国の製造業者を満足させ る手段としては、人民元を一気に2-3割切り上げることしかないと思われるのですが、 そんな性急な手段を中国政府が飲むはずがありません。となると、結局、それ以外の 分野で中国側から妥協点を引き出し、ウォールストリートが儲けるというシナリオに なりそうな予感です。 そして、そう感じるには訳があります。 それは、米国側のヘッドがポールソン財務長官であり、ポールソン長官はゴールド マンザックス出身であるからです。それに、ポールソン長官は親中派としても知ら れ、中国の新聞は、ポールソン長官のことを「スーパー大臣」などと持ち上げている のです。となれば、もはや、今回の対話は、ある程度のシナリオが描かれていると考 えた方がよさそうだということです。 それから、どうも納得いかないことがあります。 それは、今回の米国側の代表団にFRBのバーナンキ議長が名を連ねているということ です。 中央銀行は、政府から距離を置き独立して判断するところに意味があるのに、その FRBの議長が閣僚とともに行動するというのはどういうものでしょうか。 バーナンキ氏は、何を考えているのでしょうか。それとも、政府筋からの申し出を 断ることができなかったのでしょうか。 以上 =================================== 編集後記 =================================== スティグリッツのGlobalization and its discontents(世界を不幸にしたグローバ リズムの正体)について、本日もコメントします。 スティグリッツは気に入らないのは、IMFがどのような国に対しても、資本市場や金 融市場の迅速な自由化を迫ったことと、緊縮財政を迫ったことだと紹介しましたが、 では、何故IMFは、そうした政策を推し進めようとしたのでしょうか。 実は、IMFや世銀の後ろにいて、指示をするのは米国の財務省ですが、その財務省は ウォールストリート出身者で牛耳られているために、どうしても、ウォールストリー ト的な発想になるからだとスティグリッツは解説します。 世界各国が、資本市場の自由化を進めることは、ウォールストリートにとってビジ ネスチャンスが拡大することを意味するということのようです。 でも、ウォールストリートのビジネスマンの夢は、早く引退して魚釣りをするよう な生活を送ることなのですよね。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第268号) 2006年12月15日 ********************************** こんにちは、seijiです。 今年も残り少なくなってきました。年賀状の受付も始まったようですし。 ところで、ゴールドマンサックスの決算が発表になり、社員が莫大なボーナスをも らったことが報じられています。最高は、欧州本部の幹部で、1人で115億円ほどもら ったとか。世界に26500人いる社員の平均は、約7300万円だとか。 ところで、そのゴールドマンサックスの経営理念は何だと思いますか。日本語版と 英語版があるのですが、大変興味深いです。次で、確認して下さい。 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(米国の景気の見方) 2.編集後記 ============================== 経済ニュース解説(米国の景気の見方) ============================== 米国の景気動向を伝える新聞論調が妙に明るくなってきています。 クリスマス商戦がいいみたいで、日経新聞には次のような記事がありました。 「いくらクリスマスシーズンといっても、過去10年で一番込んでいるんじゃない か」というヘッジファンドの経営者の言葉を引用し、ニューヨークのレストランがど こも予約でいっぱいになっていることを紹介しています。 「米国の消費が驚くほど堅調だ。雇用や家計の収入面は好調だが、エコノミストら は住宅市場の失速によるマイナスの資産効果で個人消費の先行きを心配していた。と ころが、ふたを開けてみると、11月末に始まった感謝祭・クリスマス商戦は大方の予 想を裏切る活況を呈している」ともしています。 さらに「アマゾン・ドット・コムは10万ドルもするダイヤモンドを扱い始めた」と もあります。 そこで、私は思いました。確か、クリスマス商戦の売り上げ予想は5%だったけど、 現実にはそれを上回る売り上げを示しているのかと。 しかし、国際ショッピング協会が12日に発表したチェーンストアの売り上げは、前 年同期比で3.2%だということです。 ということになると、予想を下回っているというのが、冷静な判断だというもので す。 では、どうして現地ではここにきて急に楽観ムードになっているのでしょうか。そ れは、NY株が連日最高値を更新しているからです。14日は、ダウ工業株30種平均は、1 万2394ドルをつけたとあります。 米国の家計の2/3は、株を保有しているといいますから、金持ちを中心に楽観ムード が広がっているのでしょう。 では、本当に米国全体として景気がよくなっているかといえば、そうでもないこと を示すデータがあります。 それは、ウォルマートの売上高です。ウォルマートといえば、中国などから安い衣 料品を仕入れ中低所得者に安く売る商法で有名ですが、そのウォルマートの11月の売 り上げは10年ぶりの減収を記録しているのです。 結局、米国経済は、haves とhave-nots(持てる者と持たざる者) の格差が広がって いるのです。 従って、そういう風に社会構造が変化しつつあることを見落とさないようにして、 経済動向を観察することが必要だと思います。 何を言いたいかといえば、そのように株価の上昇によって支えられたような消費と いうのは、持たざる者の消費と違い、移ろいやすいということです。 いずれにしても、米国の消費の堅調さが確認されれば、利下げどころか、さらなる 利上げが年明け後に行われる可能性もあり、そうなると、当面円安は続くかとも思わ れますが、経常収支の赤字がマグマのように溜まっているので、そちらの方の影響が いつ顕在化するかも分かりません。 後は、皆さんでお考え下さい。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 今年も残すところ2週間ちょっととなりましたが、早めに休暇に入る人は、実質あと 1週間で仕事納めになる人もいることでしょう。 今年の汚れ、今年のうちに、というように、少しはお掃除もしないといけません ね。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第269号) 2006年12月18日 ********************************** こんにちは、seijiです。 株が、好調のようですが、株をやっている人には、クリスマスプレゼントというと ころでしょうか。それも、日本やアメリカだけではなく、世界的な動きのようです。 さて、米中の戦略経済対話は、15日に閉幕しましたが、予想通りの結果に終わって いるようです。即ち、人民元の切り上げについては何ら合意はされず、その一方で、 ウォールストリートの利益になることについては、具体的な話が進められているとい うことです。それは何かといえば、中国が、NY証券取引所とナスダックの北京事務所 開設を認めるというものです。 いくら米国の交渉団の代表であるポールソン財務長官が、ゴールドマンサックス出 身だからといっても、露骨過ぎるというものです。 ところで、FRBのバナンキ議長(注、私はバーナンキと敢えていいません)もこの対 話に参加しましたが、中国で講演を行ったとされています。そして、どういうことを 話したかといえば、当然のことながら人民元改革について喋っているのですが、それ 以外に、消費振興のために保険や年金制度などの「社会の安全網」を充実させること を促したとされています。 まあ、それはそうなのでしょうが、しかし、アメリカのように格差の大きい国から 「社会の安全網」を充実させては、と言われてもね‥、という感じですね。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(日銀短観の結果) 2.編集後記 ================================== 経済ニュース解説(日銀短観の結果) ================================== 日銀短観が先週15日に発表になっています。 ご存知の方も多いと思うのですが、どんな結果になったかおさらいしましょう。 まず、その前に、日銀短観ですが、正式には日銀が実施している企業短期経済観測 調査というのが正式な名称です。企業の景況感や収益状況などを調査するために、3ヶ 月ごとに実施している調査のことです。調査対象は約1万社で、今回の調査は11月10日 から12月14日にかけて行われたとされています。 で、どんな結果になったかといえば、「景況感 3期連続改善」、「設備投資 好調 を持続」、「雇用も拡大」ということです(12月15日、日経夕刊)。 特に中小企業にも明るさが広がってきたことが確認されることが特徴のようです。 景況判断は、「よい」と答えた数から「悪い」と答えた数を差し引くことによって計 算しますが、前回の調査と比べ、中小の製造業の景況感は6から10へと4ポイントも改 善したことが明らかになっています。ちなみに大企業の製造業は25、中堅企業の製造 業は17となっています。 いずれにしても、規模が大きくなるほど景気がいいことが窺えるのですが、それで は、業種別でみるとどういうことになっているのでしょうか。 次に、景況感のいい業種と、反対に悪い業種を上げてみます。 <ベスト5> 一般機械 49 非鉄金属 46 不動産 46 情報サービス 46 鉄鋼 41 <ワースト3> 金属製品 −4 紙・パルプ −3 造船・重機等 −3 不動産業といえば、バブル崩壊後のお荷物のように思われていたのですが、今や最 も景気がいい業種の一つになっているのですね。ただ、先行きは、39に数値が落ちて いますから、慎重に見ているということでしょうか。それから、ワースト3の造船・重 機等は、先行きは7と大幅な改善が見込まれているようです。 それから、雇用関係については、不足感が強まっているようです。雇用人員判断に ついては、規模による違いは殆どみられないようですが、前回より今回、そして先行 きと不足感が強まっています。現状では全規模で、−10、先行きは−13ということで す。 最近のわが国の有効求人倍率は、1.06と1を上回る水準にまで回復してきています が、これは、求職者よりも求人数が多いことを意味しています。 なかなか、パートやアルバイトが採用しづらい状況が首都圏で生じているとされて います。このため、アルバイトの平均時給は、1年前に比べ3%ほど上昇し、1039円に なっているといわれています。 ただ、このように雇用環境も改善してきているようなのですが、家計への波及は遅 れていると見られています。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 政府税調の本間会長が、責められています。お付き合いしている女性を宿舎に住ま わせているということで、テレビが跳びつきそうなネタですが、ちょっと陥れようと する力が働いていることが想像されますね。 まあ、指摘されるようなことをしなければいいわけなのですが、税調というのは、 それだけ力を持っているということで、やっかみや嫉妬があるのでしょうね。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第270号) 2006年12月20日 ********************************** こんにちは、seijiです。 年末近くなって、日経平均も17000円台を回復したみたいです。株をやっている人 は、鼻息が荒いことでしょうね。 ところで、日銀が金融政策の現状維持を決めましたが、内心では金利を上げたがっ ているように見えるのですが、私には、それが少し解せません。 ブログでは、利上げの可能性についてコメントしています。 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(日米の経済関係) 2.編集後記 ============================== 経済ニュース解説(日米の経済関係) ============================== 18日に米国商務省が7−9月期の経常収支を発表していますが、なんと2255億ドルの 赤字です。このペースでは、また、年間の赤字の記録を更新するのは確実です。 ところで、19日に米国の労働省が11月の卸売物価を発表しています。余り大きな記 事ではないのですが、2%の上昇で、32年ぶりの高い伸びとあります。 何で2%伸びたくらいで、32年ぶりなのかと思う人も多いかもしれませんが、2%伸 びたというのは、前月に比べてなのです。従って、これを年率に換算すると、20%を 軽く超えることになってしまいます。 何でそんなに上昇しているかといえば、どうも原油価格の下落に歯止めがかかっ て、エネルギー価格が6.1%上昇したのが原因のようです。それに、10月の卸売物価は 大幅な下落を示したため、その反動という要因もあるようです。 ただ、いずれにしても、物価の上昇圧力が強くなると、またしても、政策金利を引 き上げるのではないかとの思惑が強くなってきます。 しかし、米国が金利を引き上げ、その一方で、わが国は、物価が横ばいだからとい うことで、金利を据え置くと、日米金利差が益々拡大し、円安が進む一方です。そう なると、米国の経常赤字は、益々悪化してしまいます。 そうして考えると、米国が日本に対し、日本の経済も不況から脱した訳だから、余 り円安が進まないような政策にギアチェンジをしてくれと要求してくることが想像さ れます。 日本は、この2年半程度、全く為替介入を行っていないので、為替レートに関し、あ からさまに日本に注文をつけることはできないのですが、アメリカも、日本が低金利 政策を続けているために、円安ドル高が続いていることに気がついているはずです。 また、そうでなくても、米国の3大自動車メーカーは、ブッシュ大統領に直接お願い をしているわけですから、米国の財務省も何らかの方策を考えていると推測されま す。それが、日本に対する金利引き上げ要請となっている可能性があります。 まだ、このことに気がついているマーケットの関係者は少ないようですが、年を明 けると、そうした見方が増え、円高が進む可能性があると見ています。 まあ、予想ですから、当たらないかもしれませんが。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 今日は、ボクシングですね。まだまだ先だと思っていたのですが‥。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第271号) 2006年12月22日 ********************************** こんにちは、seijiです。 今年も残り少なくなってきました。後、2−3日でお仕事収めの人も多いのではない でしょうか。 年末と言えば、予算や税制改革の季節ですが、政府税調の本間さんという人が辞め てしまいました。 ブログでは、そのことについてコメントしています。 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(2006年の経済) 2.編集後記 ============================== 経済ニュース解説(2006年の経済) ============================== 今年も残り少なくなりました。 この1年間の経済の出来事を少し振り返ってみましょう。 まず、経済全般では、景気回復が実感できないという声が強いながらも、いざなぎ 景気を超え、景気回復が続いているので、まあ、よしとすべきだと思います。 数年前までの株価の下落、金融不安、あるいは新卒者の就職難を考えたら、様変わ りといってもいいと思います。しかし、どういうわけか、「景気回復が実感できな い」という声ばかりが強調されます。本当に儲けている人は、「もうかっているよ」 とは言いませんから。 また、こうして景気が少しよくなったお陰で、金融政策に大きな変化が起きまし た。先ずは、3月の量的緩和政策の解除であり、さらに7月のゼロ金利政策の解除で す。 こうした政策変更がなされるためには、物価の下落がとまる状況が確認されなけれ ばなりませんでしたが、最近になって物価上昇率が低下し、物価はほぼ横ばいのよう な状態が続いています。従って、更なる政策金利の引き上げにはつながっていませ ん。 次に、為替動向ですが、今年の前半は、米国の双子の赤字の問題がクローズアップ され、G7でも議題に取り上げられ、一時、ドル安に振れる場面がありましたが、年 後半は一貫して、ドル高円安が続いています。ただ、ヨーロッパからみれば、ユーロ 高が続き、その関係では円が異常に安くなっていることが指摘された1年でした。 為替問題では、人民元の動向が注目されていますが、米中当局は、それを米中戦略 経済対話という場を設け、話し合いを行っています。 それから、原油高が一時世界経済の大きなリスクとして指摘されましたが、その 後、原油価格が下落することによって、米国経済によい影響を与えているようです。 その意味では、原油価格が落ち着いてくれたことが大きなクリスマスプレゼントにな った気がします。 企業関係では、海外あるいは国内でも大型の企業買収が起こったりしました。世界 的には、ミタルのアルセロール買収や王子製紙の北越製紙買収騒動が起こりました。 なんか、日本の企業風土のすっかり様変わりしてしまった感があります。 株価は、ここにきてまた盛り返してきているという感じで、世界的にも好調のよう です。 以上 =================================== 編集後記 =================================== ここ2−3日穏やかな天気が続いています。冬ではないようです。 安倍さんの人気が落ちている理由ですが、笑顔が少ないことと、自分の言葉でズバ ズバ話をすることが少ないからではないでしょうか。 今日も忘年会で飲む人も多いかと思いますが、どうぞ飲みすぎないようにして下さ い。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第272号) 2006年12月25日 ********************************** こんにちは、seijiです。 今年も残り少なくなり、お掃除が気になります。余り寒さも厳しくないので、やろ うと思えばできると思うのですが。 先日、米国と中国の間で戦略経済対話というのをやっていました。そして、その前 後は、人民元も少しは上昇していたのですが、最近また、動きがなくなりました。中 国側のサービスもしばし休憩ということでしょうか。 ところで、読者の方から、人民元が切り上げになったら円レートにどのような影響 があるか質問を受けました。 ブログでは、そのことについてコメントしています。是非読んでみてください。 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(2006年の経済 その2) 2.編集後記 ============================== 経済ニュース解説(2006年の経済 その2) ============================== 今年も残り少なくなりました。 前回、この1年間の経済の出来事を少し振り返ってみましたが、その続きを今日もや りましょう。 今日は、人に焦点を当てます。 今年なくなった有名な経済学者が2人います。 ガルブレイスとフリードマンです。 先ず、ガルブレイスについてですが、1908年10月、カナダのオンタリオで生まれ、 2006年4月29日になくなりました。長生きでした。 ハーバード大学の名誉教授でしたが、「ゆたかな社会」や「不確実性の時代」など の著書で有名です。中年のおじさんにすれば、「不確実性の時代」というのがなつか しいと思います。 通常経済学者といえば、ケインズ学派と新古典派(マネタリストなど)に分けられ ると思いますが、ガルブレイスはいずれの学派にも属さず、文明批評ともいうような タッチで多くの本を書いた人です。 従って、通常の経済学者とは毛色が違い、多くのファンが世界中にいたのですが、 その反面、経済学者からは適切な評価がなされないことも多かったようです。 これに対するのが、フリードマンです。 1912年7月31日にニューヨークで生まれ、2006年11月16日になくなっています。フリ ードマンも長生きでした。 フリードマンは、マネタリストの総帥と言われましたが、要するに、政府は何もせ ず、市場のメカニズムに任せることがいいことだと考える一派の総帥ということで す。シカゴ学派のリーダーとも言われました。フリードマン自身、1976年にノーベル 経済学賞を受賞していますが、シカゴ大学の経済学者からノーベル経済学賞受賞者が 多く輩出されているのは有名なところです。 ただ、経済学の世界ではシカゴ学派も幅を利かせているのでしょうが、彼らが言う とおりにすることになると、殆ど政府の出番はないことになって、現実の世界ではマ ネタリストたちの意見が幅広く支持されているとはとても言えないように思えます。 このように、ガルブレイスとフリードマンは、全く対立するような考えを持った学 者ですが、一般の人からすれば、ガルブレイスを支持する人が圧倒的に多いのではな いでしょうか。 有名な人がなくなったというニュースは多いですが、有名な人が産まれたというニ ュースは聞きませんね。そうすると、いずれ有名人はいなくなってしまうのでしょう か。 これは、おそ松くんを書いていた赤塚不二夫さんのギャグです。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 今年1年間、経済ニュースゼミをご愛読頂き、ありがとうございます。 年末ですのでお掃除でもして、正月を迎えたいと思います。 年明けは、10日前後から書き始めたいと思います。 では、皆さん、よいお年をお迎え下さい。 |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第273号) 2007年1月10日 ********************************** こんにちは、seijiです。 しばらくのご無沙汰でしたが、今年もよろしくお願いします。 ところで、1月3日の日経によれば、今年の日本経済にとっての最大の懸念材料は、 米国の経済が減速しないかどうか、そして、それによって日本経済が打撃を受けない かどうかということのようです。 そして、肝心の米国のエコノミストは、米国経済についてどう見ているかといえ ば、多くが軟着陸に成功するとみているとのことのようです。 米国では、最近住宅市場の減速について心配されているとの報道がよく見られます が、消費は結構堅調のようであり、結局、ゴールディロックス経済に近づくと見られ ているようです。 「ゴールディロックスって、何だ?」と思った方は、次へどうぞ! http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(最近の米国経済) 2.編集後記 ================================== 経済ニュース解説(最近の米国経済) ================================== 今年の日本経済の動向を占う上で、一番大切なことは米国経済の動向のようです。 日経新聞社は、国内15の経済調査機関に景気の先行きについてアンケートを行って いますが、そのアンケート結果においても、2007年の日本経済の懸念材料第1位に「米 国経済の減速」が上がっていることからも明らかです。 では、米国経済を、3つの角度から見てみましょう。 (1) 雇用状況 先ず、雇用状況についてですが、1月5日に米労働省が昨年12月の雇用統計を発表し ています。それによれば、非農業部門の雇用者数は、前月に比べ16万7千人も増加して います。雇用回復の目安は15万人と言われており、また市場予測も10万人程度の増加 ということだったので、米国の雇用情勢は底堅いことが確認されました。 失業率は、前月と同じ4.5%でしたが、06年を通してみると4.6%ということで、 2000年(4.0%)以来の低さになっています。 また、昨年12月の平均時給は17.04ドルであり、前年同月比では4.2%も上昇してい ます。 (2) 住宅販売 2006年の住宅販売件数(推計値)が明らかになっているようですが、新築住宅が107 万件で、前年比17%減少、中古住宅が653万件で、前年比8%の減少となっています。 また、住宅の中心価格は、新築、中古とも前年比1%の上昇にとどまりました。 これらから、住宅投資にブレーキがかかっていることは明らかですが、住宅価格 は、なお1%であるにしても上昇しているので、個人消費に対するマイナスの影響は限 られるとみてよいと思います。換言すれば、5年間で5割上昇した資産効果はまだ、残 っていると言えるわけです。 (3) 消費 昨年12月の小売売上高は、12日に発表になるので、この時点では確たることは言え ませんが、2006年半ばからガソリン価格が低下していることが、消費の下支え要因に なっているようです。 商品別では、薄型テレビが好調に売れているようですが、ただ、その背景には、大 幅な値下げが行われていることもあり、台数ベースでは相当に伸びても金額ベースで は、それほど伸びない可能性もあります。また、衣料品や玩具などもいま一つ伸びて いないとされています。 以上のような状況を考えると、景気は過熱しているとも言えず、かといって冷え込 んでいるとも考えられず、ゴールディロックスの状態にあるということがいえるのか なとも思えます。 ということは、当面、米国経済の失速によって日本経済が打撃を受ける恐れはそれ ほど考えなくてもよいということです。 以上 =================================== 編集後記 =================================== 本日から、経済ニュースゼミの配信が始まりましたが、今年もよろしくお願いしま す。 ところで、最近経済学の分野で売れている本は、「ミクロ経済学がよーくわかる 本」ではなく、「ヤバい経済学」という本です。 ただ、原書の表紙と、日本語版の表紙を比べると随分雰囲気が異なります。 ところで、その本では、何故アメリカでは犯罪が大幅に減ったかについて多くのペ ージをさいていますが、皆さんその答えが分かりますか。 (1)経済がよくなったから、(2)捜査の方法が改善されたから (3)警官が 増員されたから (4)高齢化が進んだから (5)中絶が合法化されたから さあ、どれでしょう。 その章のサブタイトルは、Where have all the criminals gone? となっています。何か歌のタイトルのようですね。 では、次回まで |
| ********************************** 経済ニュースゼミ (第274号) 2007年1月12日 ********************************** こんにちは、seijiです。 円安が進んでいます。1ドル=120円台です。 06年の米国の貿易赤字は、過去最高を更新するのが確実だと報道されているのにも 関わらずです。 どうしてドル高になるのか、疑問に思った人は、ブログの記事を見てください。 感想があれば、メールなり、書き込みなどをお願いします。 「円が120円台へ」 http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/ ところで、先日、アメリカ在住のFさんからメールを頂きましたので、ご紹介しま す。 SEIJI様、 初めまして、経済ニュースゼミをいつも楽しみにしています。 アメリカの金利政策についてお尋ねします。 世界の消費国アメリカが他国の資源や商品を購入し続けるためには、資金の還流を図 らなければなりません。 金利を他国より高めに設定することにより、アメリカ国債や社債、各種証券等を大量 に売り続けることが可能になり、結果、膨大な資金がアメリカに還元されます。アメ リカの経済を維持する上で金利を最低5%程度に保つことが必須の条件と聞いていま すが、どのように思われますか? また、将来的にアメリカの金利を緩やかにでも下げていかなければならない事情はわ かりますが、資金の還流を妨げることになり、難しいように思います。 今後の益々ご活躍を願っています。 アメリカ在住 F F様には、ご返事を差し上げましたが、本日は、その件を考えてみましょう。 では、経済ニュースゼミを始めましょう。 <本日のメニュー> 1.経済ニュース解説(米国の金融政策) 2.編集後記 ================================== 経済ニュース解説(米国の金融政策) ================================== 本日は、金融政策について考えてみましょう。 金融政策とは、各国の中央銀行が、景気を調節するために金利引き上げたり引き下 げたりすることです。公定歩合(日本では、公定歩合という言い方はしなくなりまし たが‥)を直接変更したり、あるいは政策金利の誘導目標を変更したり、あるいは支 払い準備率を変更したりします。 このうち、最も典型的な手段は、政策金利の誘導目標を変更することで、政策金利 (日本では、無担保コール翌日物)を目標値に沿ったものにするために、国債や手形 のオペレーションを行います。 ところで、米国と日本の政策金利の目標値は、現在何パーセントかご存知ですか。 米国は5.25%で、日本は0.25%ですね。米国の政策金利はフェデラルファンド・レ ートと言われるものであり、日本は、無担保コール翌日物と呼ばれるものです。これ らはいずれも銀行同士が互いの資金の過不足を調整し合う際に課される金利というこ とです。そして、そうした金利は市場の実勢によって決定されるのが本筋ですが、中 央銀行が、オペレーションを通じて金利水準に影響を及ぼしているわけです。 ところで、メールを下さったFさんは、米国も金利を下げたがっているかもしれない が、金利を下げると、米国への資金流入が滞ることになり、なかなか難しいのではな いかとの意見のようです。 米国のFRBが必ずしも金利を引き下げたがっているかどうかは明らかではありません が、政治家やマーケットの中には金利を下げて欲しいと願っている人が多いことは事 実だと思います。 では、どうして金利を引き下げることを望むのか。 それは、金利が引き下げられると景気が刺激され、景気が良くなる、つまり、経済 成長率が高まると考えられるからです。 金利を引き下げることで、経済成長率を高めることが可能であるのであれば、下げ ればいいものを、とお思いの方も多いと思います。 では、どうして金利を下げないのか。或いは、下げられないのか。 それは、金利を下げることによって、景気が過熱すると、インフレになる恐れがあ るからです。年率数パーセント程度の物価上昇率であれば、心配することもありませ んが、仮に2桁に近いようなインフレ率になると、経済に混乱を巻き起こし、経済成長 を阻害することにもなりかねません。そうなると、インフレを抑える必要が生じ、そ のためには、今度は金利を思い切って引き上げる必要が出てきますが、そうなると、 経済は沈滞してしまいます。 そうしたことを考えると、景気を過度に刺激するのではなく、インフレが起きない 程度に金利水準を保つことが必要であると言うことが分かります。 ということで、現在の経済状況では、米国は政策金利を5.25%に据え置いているの です。 では、日本はどうでしょうか。 わが国は、昨年の7月にゼロ金利政策を解除し、政策金利の誘導目標を0.25%として いますが、これをさらに引き上げ、0.5%程度にしたいと考えていると報道されていま す。 しかし、わが国の場合には、米国と異なり、消費者物価の上昇率は、ほぼゼロ、つ まり横ばいであり、未だデフレを脱却したと考えていない関係者も多くいます。その ため、そのような人からすれば、どうして利上げを急ぐのか、ということになりま す。 確かに、インフレの恐れがないというのであれば、日銀が急いで金利を引き上げる 必要はなさそうに思われます。 ところで、アメリカの場合には、最近、時間当たりの賃金が前年比4%程度上昇して おり、また、消費者物価も、FEDの考える安定圏を越えて上昇しているようなので、な かなか利下げに踏み切れないようですが、仮に、アメリカにおいても、インフレの恐 れがないと判断されたらどのような事態になるのでしょうか。 その前に、アメリカと日本は、物価について、どのような状態が望ましいと考えて いるのでしょうか。 アメリカは、インフレに対し極めて強い警戒感を持っています。他方、同時に、雇 用の拡大、経済の成長を強 |