無料メールマガジン
経済ニュースゼミ
日経新聞もへっちゃらになる

経済ニュースゼミバックナンバー(その8)




Google
WWW を検索 columnist-seiji.com を検索


ホームへ

 

ナンバー 主要項目
経済ニュースゼミ(第162号) 2006年2月22日 消費関数 タクシーの乗車率
経済ニュースゼミ(第163号) 2006年2月24日 消費関数 貿易収支の赤字
経済ニュースゼミ(第164号) 2006年2月27日 消費関数
経済ニュースゼミ(第165号) 2006年3月1日 消費関数 米国の経済成長率
経済ニュースゼミ(第166号) 2006年3月8日 消費関数 量的緩和政策解除の家計への影響
経済ニュースゼミ(第167号) 2006年3月10日 異時点間の選択 量的緩和政策の解除
経済ニュースゼミ(第168号) 2006年3月13日 異時点間の選択 量的緩和政策についての見方
経済ニュースゼミ(第169号) 2006年3月15日 のれん代の償却
経済ニュースゼミ(第170号) 2006年3月17日 消費者理論 需給ギャップ、   三利源
経済ニュースゼミ(第171号) 2006年3月20日 消費者理論 名目成長率と長期金利
経済ニュースゼミ(第172号) 2006年3月22日 需給ギャップとテーラー・ルール
経済ニュースゼミ(第173号) 2006年3月24日 無差別曲線 地価が上昇、   配当所得
経済ニュースゼミ(第174号) 2006年3月27日 無差別曲線 国の借金813兆円に
経済ニュースゼミ(第175号) 2006年3月29日 所得効果と代替効果 コメ先物
経済ニュースゼミ(第176号) 2006年3月31日 上級品、下級品 金利、為替、株価
経済ニュースゼミ(第177号) 2006年4月3日 価格弾力性 ミスマッチ失業
経済ニュースゼミ(第178号) 2006年4月5日 ラッファーカーブ ウォルマート
経済ニュースゼミ(第179号) 2006年4月7日 人民元問題
経済ニュースゼミ(第180号) 2006年4月10日 ハエ捕り紙理論 米国の利上げ継続
経済ニュースゼミ(第181号) 2006年4月12日 ハエ捕り紙理論 数字論争
経済ニュースゼミ(第182号) 2006年4月14日 金利上昇リスク
経済ニュースゼミ(第183号) 2006年4月17日 第三のビールの増税 G7での議題
経済ニュースゼミ(第184号) 2006年4月19日 課税の論理 長期金利の上昇
経済ニュースゼミ(第185号) 2006年4月21日 課税と死荷重 希望小売価格
経済ニュースゼミ(第186号) 2006年4月24日 課税と死荷重 G7の限界
経済ニュースゼミ(第187号) 2006年4月26日 円が急騰
経済ニュースゼミ(第188号) 2006年4月28日 第三のビールの増税
経済ニュースゼミ(第189号) 2006年5月10日 生産者の理論 円が急騰 続
経済ニュースゼミ(第190号) 2006年5月12日 生産者の理論 日米金利差と為替
経済ニュースゼミ(第191号) 2006年5月15日 生産者の理論 景気動向とボーナス
経済ニュースゼミ(第192号) 2006年5月17日 為替の迷走
経済ニュースゼミ(第193号) 2006年5月19日 競争市場 為替の変動要因、株価の下落、金価格
経済ニュースゼミ(第194号) 2006年5月22日 国際金融市場、GDP成長率、金投資
経済ニュースゼミ(第195号) 2006年5月24日 利潤最大化 株価、大手銀最高益
経済ニュースゼミ(第196号) 2006年5月26日 独占 ゼロ金利政策、減税政策
経済ニュースゼミ(第197号) 2006年5月29日 独占 鰯が千円、設備投資
経済ニュースゼミ(第198号) 2006年5月31日 ゼロ金利政策
経済ニュースゼミ(第199号) 2006年6月2日 独占 原油高
経済ニュースゼミ(第200号) 2006年6月5日 独占 出生率
経済ニュースゼミ(第201号) 2006年6月7日 独占 バナンキ議長、景気の動向
経済ニュースゼミ(第202号) 2006年6月9日 独占 株安
経済ニュースゼミ(第203号) 2006年6月12日 寡占 米国の金利引き上げ
経済ニュースゼミ(第204号) 2006年6月14日 株価の下落
経済ニュースゼミ(第205号) 2006年6月16日 ゲームの理論 米国の金利引き上げ、日銀総裁の株保有
経済ニュースゼミ(第206号) 2006年6月19日 ゲームの理論 株と金相場
経済ニュースゼミ(第207号) 2006年6月21日 独占的競争 日銀総裁の「早めに」発言

講演会等の講師をお引受します



 コラムニストの小笠原誠治が、各種講演会や勉強会での講師をお引受します。講演の内容は、メールマガジン「経済ニュースゼミ」で執筆しているような内容です。

 現実に起きている世の中の経済の仕組みについて分かりやすく知りたいと思っている方々に相応しいお話をいたします。

 お気軽にご連絡下さい。
 講演料等はご相談に応じます。


<連絡先>
 事務所代表:コラムニスト 小笠原誠治
 連絡先:810-0041
      福岡市中央区大名2丁目
 電話:092-751-1367

 メール: cute@columnist-seiji.com


経済ニュースゼミ』 (ID:0000143981) 読者登録解除フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録・解除できます。
登録フォーム
解除フォーム
『経済ニュースゼミ』バックナンバー
メールマガジン[まぐまぐ!]
まぐまぐ! 』から発行しています。
メルマガの相互紹介を歓迎します


 メルマガを発行している方、相互紹介をしませんか。連絡は次のところへ。


 メール:cute@columnist-seiji.com
 




===========================
   経済ニュースゼミ  (第162号)      2006年2月22日
===========================



 こんにちは、seijiです。

 ホリエモン・メールを巡って、平沢議員と河村議員がテレビに出まくっています。
 平沢議員は、自分も同じメールのコピーを入手したから出演しているのですが、河
村議員が出演している理由はイマイチ分かりませんね。それに、あの発言が民主党の
ためになっているかも‥。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。



<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説 (タクシーの実車率)
2.試験に出ない経済学(消費関数)
3.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(タクシーの実車率)
★★★★★★★★★★★★★★★★★

 経済成長率などの数字によって景気回復が確認できても、実際に景気が回復してい
る実感はない、とよく言われます。

 タクシーに乗車し、何気なく運転手さんと話をしても、景気の悪い話になってしま
う経験をお持ちの人も多いと思います。

 タクシー業界は規制緩和の影響などがあり、平均的業種よりも一層景気の回復が芳
しくないのでしょうか。

 そういうイメージのあるタクシー業界ですが、「タクシー 激戦大阪も実車率改
善」とあります。(日経新聞、2月21日)

 いよいよタクシー業界にまで景気回復の影響が及んできたのでしょうか。

 実車率とは、客を実際に乗せて走った距離の全体の距離に占める割合をいうとされ
ています。

 では、その実車率、何パーセント程度なのでしょうか。
 東京の1月の実車率は44.2%で、前年同月比1.9ポイント上昇されたとされていま
す。バブル期の50%には及ばないが着実に回復しているとされています。

 大阪は何でも激戦地区らしく、実車率は42%程度といったところでしょうか。タクシ
ーなどの車両数が2000年から3年間で1割増えていますが、それでも1年前に比べて0.4
ポイント程度上昇していると見られています。

 新聞の見出しが「激戦大阪」となっていたので、大阪が一番競争が厳しいのかと思
ったら、なんと名古屋は4割を切っています。
 名古屋は、日本では一番景気がいいような気がするのですが、不思議ですね。1999
年から2003年までの期間においては、36%程度しかありませんでした。
 しかし、その名古屋もここ数年回復し、37−38%にまで回復しているようです。


 なお、ホテルの宴会・料飲部門も売上が伸びています。

 また、郵便局との競争で厳しい環境にあるかと思っていたヤマト運輸も、1月の小口
貨物取り扱い実績は、前年に比べ約17%も増加しています。

 このように「街角景気」も少しずつ回復しているようです。



以上


===============
試験に出ない経済学(消費関数)
===============

【研一】
 結局、経済が成長を続ける理論といっても、よく分からないな。
【佳子】
 どういうこと?
【研一】
 生産したものを全部消費すると、生産設備の更新がなされず、次第に生産能力が落
ちてしまうということも分かるし、その逆に、生産設備の更新や新設にばかり気を使
って生産能力を拡充しても、消費を増やすことができないのなら意味がないことも分
かるけど‥。
【佳子】
 そうね。
 経済成長の理論といっても、常識的なことしか教えないのかしら。
【研一】
 ただ、一人当たり資本、つまり、一人当たりの生産設備は、長期的には、増えるこ
ともなければ減ることもない定常状態にいずれ至るということは、教えてもらわなけ
れば分からかったことだけどね‥。
【佳子】
 今でも納得できない気もするけどね‥。
【中洲先生】
 経済成長の理論などと大上段に構えなくても、適当に消費をし、適当に貯蓄を行な
えば、ほどほどの成長を遂げることができるとも言えそうだね。
【佳子】
 それに技術進歩もあるし、新製品も生まれてくるから、経済成長が止まるというこ
とはなさそうな気がするな。


【研一】
 だけど、技術進歩とかいう話は長期的な観点でしか考慮できないよね。
 短期間では、消費と投資のバランスが取れているかが重要なのですよね。
 先生は、短期的には、消費と投資のどちらが重要な役割を果たしていると思います
か?
【中洲先生】
 難しい質問だね。
 ただ、我が国などでは、経済が停滞する理由は、消費が減退していることに求めら
れることが多いから、そのことからすると、消費の方がより重視されているのだろう
ね。
 それに、よくアメリカとの対比で言われてきたことだけど、日本の貯蓄率は高いと
いうことだから‥。
【研一】
 ということは、資本、つまり一人当たりの生産設備は十分あるので、消費の動向に
より注意を払うべきということですか。
【中洲先生】
 そういうことなのだろうね。


【佳子】
 では、アフリカなどの経済途上国は?
【中洲先生】
 これも一言でいうのは非常に難しいけど、広い意味での資本の拡充、つまり生産設
備や生産手段を拡充することが先決なのだろうね。
【佳子】
 アフリカ諸国の多くは、借金の返済が滞る状況なんですよね。
【研一】
 あれだけの援助を受けても経済が成長しないのか。
【中洲先生】
 人はどれだけでもいるから、消費需要が少ないはずはないのだけどね。
【研一】
 援助のお金や物資が、生産能力の拡充に有効に使われていないのですね。


【中洲先生】
 仮に工場などを建設して生産能力を拡充することができたと思っても、そこで生産
された製品が全然売れないかもしれないしね‥。
【研一】
 消費とか投資とかといった、大雑把な議論をしても意味がないのですかね?
【中洲先生】
 幾ら投資をしたつもりでも、売れる製品の生産につながらないと経済発展につなが
らないからね。


【佳子】
 途上国の投資はどのように決定されているのかな。
 政府が決定するから非効率な投資になってしまうのじゃないの?
【研一】
 民間ならいいの?
 小泉さんみたいだね。
【佳子】
 経済成長のためには投資が必要だということと関係なしに、投資をしてそれが儲け
につながるようだったら民間企業は、黙っていても、どれだけでも投資をしたいと思
うし、逆に、儲けにつながらないと思えばどれだけ政府が勧めても投資はしないから
ね。
【研一】
 そういうことなら、消費についても、消費者は国の景気には関係なく、買いたいと
思えば買うだけだし、買いたくないときは買わないだけの話だからね。
【佳子】
 だから、経済成長には消費を引上げる必要があるかとか、投資を増やす必要がある
とかなどといくらエコノミストが議論しても意味がないのじゃないかな。


【研一】
 ということになると、どういう場合に消費が増加し、どういう場合に投資が増加す
るかをきめ細かく議論した方がいいということかな。
【中洲先生】
 じゃあ、消費の理論や投資の理論を少し見ていくことにしようか。
【佳子】
 そうしましょう。


【中洲先生】
 では、佳子ちゃんの好きなケインズさんは、消費とはどのように考えていたか知っ
ているかい?
【佳子】
 ケインズさんの考え?
【中洲先生】
 そうだよ。
【研一】
 ケインズは、投資の方は、利子率が低下することによって誘発されると考えていた
のですよね。
【中洲先生】
 投資の限界効率と利子率を比較し、投資の限界効率の方が高ければ、投資をするこ
とによって利益を挙げることができると考えたんだね。
【佳子】
 消費だよ。消費。


【研一】
 消費ね。どのように考えたのかな。
【中洲先生】
 ケインズは、消費は所得の大きさに比例するものと考えたんだよ。ただ、所得水準
にかかわらず、一定の消費は必要だとも考えた。
【佳子】
 人間生きるためには食べる必要があるから、どんなに収入が少なくても最低限の消
費は必要ね。
 で、後は、所得水準の大きさに比例するということ?
【研一】
 じゃあ、収入が多いほど消費量が多いわけですね。
【佳子】
 常識的な想定に見えるよね。



以下次回に続く




=====
編集後記
=====

 楽しみにしていて下さいといった党首討論ですが、今のところ、切り札は出されて
いません。
 まあ、期待していませんでしたけど‥。

 では、次回まで


===========================
   経済ニュースゼミ  (第163号)      2006年2月24日
===========================



 こんにちは、seijiです。

 ホリエモン・メールを巡ってまだやっているようですが、言いだしっぺの永田議員
の行動と党首の強気の発言のバランスが取れていないような気がするのですが‥。
 永田議員も入院なんかせず、さっさと釈明したらどうでしょうか。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。



<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説 (貿易収支の赤字)
2.試験に出ない経済学(消費関数)
3.編集後記


★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(貿易収支の赤字)
★★★★★★★★★★★★★★★★★

 「5年ぶりの貿易赤字」とあります。(日経夕刊、3月23日)
 
 最近の日本の貿易収支は、毎年10数兆円の黒字を出しています。ということは、毎
月1兆円程度の黒字を出すことと等しいのですが、その貿易収支、1月は、3489億円の
赤字になったとあります。

 輸入が5兆3570億円、輸出が5兆81億円で、差し引き3489億円の赤字です。輸入が前
年比27%も伸びていることが主因のようです。

 では、何故輸入が伸びているかというと、「原油高や円安が輸入額を押し上げると
ともに、国内景気の回復が貿易収支に影響を及ぼしているようだ」とあります。

 国内景気の回復が貿易収支に影響を及ぼすというのは、経済学のテキストが教える
ところですね。GDPが増大するということは、可処分所得が増えることであり、輸入が
増大するということです。

 ところで、円安が原因になっているというのは少し分かりづらいですね。
 何故なら、円安になると輸出が増加し、貿易収支は改善するはずでないかと考え勝
ちだからです。

 しかし、よく考えると、そうとばかりはいかない面もあります。
 例えば、どうしても輸入しなければいけない原油などがそうです。おそらく、為替
相場の如何にかかわらず、ほぼ一定の量の原油を確保する必要があるでしょうから、
そうすると、数量は変わらなくても、円安になった分だけ輸入が増える計算になりま
す。

 それに対し、国内品でも代用が可能な製品(食料品や電気製品など)では、必ずし
も海外から輸入する必要がなく、円高になって海外の製品が安くなればそれに応じ輸
入がどっと増えるし、円安になって海外の製品が高くなればそれに応じ輸入が減少し
ます。

 このように輸入価格が変動した際に、それに応じて輸入数量が弾力的に変動する場
合を、輸入の価格弾力性が大きいといいます。

 マーシャル・ラーナーの安定条件というのがあります。
 輸出の価格弾力性と輸入の価格弾力性の和が1より大きいときは、為替レートの変
動が国際収支の不均衡を解消させることができるというものです。

 米国の場合にも、価格弾力性と輸入の価格弾力性の和が1よりも大きいと、ドルが安
くなることによって、貿易収支は改善すると言えますが、その和が1よりも低いと、ド
ル安になっても却って貿易収支は悪化してしまいます。

 従って、為替相場の変動によって、貿易収支が均衡に向かうかどうかを判断するに
は、主な輸出品目を把握し、自国の貿易構造がどのようになっているのかをよく検討
することが前提になります。

 なお、今回貿易収支が赤字になりましたが、1月は、国内企業が正月休みの関係で出
荷を控えることが多く、輸出が少ないという事情がありそうです。


以上





===============
試験に出ない経済学(消費関数)
===============

【中洲先生】
 このケインズの考え方は、
 C=a+cYという算式で表される。
【研一】
 Cは、消費ですよね。小文字のaは、最低限の消費のことですか。
 で、小文字のcは消費性向か。
【中洲先生】
 凄い理解力だね。
 ところで、これはケインズ型消費関数と呼ばれるけど、グラフにするとどのように
描かれる?
【佳子】
 国民所得Yが横軸でしょ。消費Cは、縦軸ね。
 そうすると、縦軸のaの値のところから、右上に伸びる直線ということになるんじゃ
ないかな。
【中洲先生】
 そうだね。
 Yがゼロの水準でも、aだけの消費は確保されるからね。
 仮に、aがゼロだと、原点から右上に伸びる直線ということになるけどね。


【佳子】
 で、この消費関数がどういう意味を持つのかな。
【中洲先生】
 よく聞いて下さいました。
 研一君は、さっき、収入が増大すればそれにつれて消費が増大すると言っただろ
う。
【研一】
 違うのですか?
【中洲先生】
 いや、違わないのだけど‥。
【研一】
 だけど?
【中洲先生】
 平均消費性向はどうなる?
【研一】
 消費性向は、さっきの算式から、小文字のcで表されていたんじゃないですか?
【中洲先生】
 確かに、国民所得に対しcの割合で消費することは確かだけど、それにaを足した額
が消費量Cということになる。
 平均消費性向は、大文字のCで表される消費をYで割ったものだからね。
 小文字のcは、所得が追加的に1単位増加すると消費がどうなるかを示したものであ
って、限界消費性向を示しているのだよ。
【研一】
 あっ、そうか。


【中洲先生】
 では、平均消費性向はどうなる?
【研一】
 平均消費性向は、国民所得のうちどれだけ消費に回されているかということですね。
 C/Yが平均消費性向ということだから、そのグラフの原点から見た、当該直線の角度
ということですね。
 ということは、所得が増大するとその角度は低くなってくる‥、平均消費性向は低
くなるというとですか。
【中洲先生】
 そういうことだね。
 国民所得の増大に伴って平均所得性向は低下するというのがケインズ型の消費性向
が意味するところなんだよ。


【佳子】
 所得が多くなるに従って平均所得性向は低下していくのか。
 要するに、経済が成長していくと、国民は所得に回す割合を低下させるというこ
と?
 問題じゃない?
【研一】
 問題?
【佳子】
 だって、経済成長が達成され、国民所得が多くなればなるほど、消費に回す割合は
少なくなるんだよ。ということは、折角生産されても消費が減退していく。というこ
とは、売れなくなることだから、不況になっちゃうのじゃないのかな。
【中洲先生】
 佳子ちゃん、鋭いね。
【佳子】
 そういう理解でいいのかな。
【中洲先生】
 昔の経済学者たちは、そうした考え方に基づき長期停滞を経験することになると予
言したということさ。
【佳子】
 予言して、その結果は?
【中洲先生】
 予言は外れたよね。それに、極めて長期間にわたる消費と所得の関係をクズネッツ
と言う学者が調べた結果、所得に対する消費の比率は10年間単位でみると、極めて安
定的であるということを発見した。
【佳子】
 じゃあ、ケインズさんの消費関数は適当じゃないということ?





次回に続く


=====
編集後記
=====

 ホリエモン・メールの件で恐縮です。
 テレビには、一日中、平沢議員と河村議員が出っぱなしです。河村議員の名古屋弁
も聞き飽きたという感じです。

 ところで、不思議なことを発見しました。
 平沢議員についてです。もともとユニークで、テレビに出たがりなところはあるの
でしょうが、非常に興味を抱かせる重要な情報をなにげなくぼそぼそと発言するので
すね。今日も、あのメールはフリージャーナリストが、会社の内部の者に作らせたの
だと発言していました。

 河村議員の発言は同じ話の繰り返しが多いのですが、平沢議員の発言は、ニュース
価値が高いものが含まれていそうです。




 では、次回まで


==========================
  経済ニュースゼミ  (第164号)      2006年2月27日
==========================



 こんにちは、seijiです。
 
 2月も残り少なくなりました。このまま暖かくなるのでしょうか。

 ところで、オリンピックも終わりましたが、メダルがとれてほっとしましたね。
 

 本日は、経済ニュース解説はお休みです。

 では、経済ニュースゼミを早始めましょう。


<本日のメニュー>
1.試験に出ない経済学(消費関数)
2.編集後記



===============
試験に出ない経済学(消費関数)
===============

【中洲先生】
 短期的に考えると、ケインズ型の消費関数はもっともらしくみえる。
 しかし、長期的に考えると、消費関数は平均消費性向が一定であるというように思
える。ということは、長期消費関数は、原点から出発する右上に伸びる直線というこ
とにならないと理屈がつかない。
 この矛盾をどのように説明するかで、いろいろと学説が生まれてきたのだね。
【研一】
 そうなんですか。
【佳子】
 どんな考えがあるの。手っ取り早く教えて。


【中洲先生】
 じゃあ、手っ取り早くいこう。
 代表的なのは、モジリアーニのライフサイクル仮説。それにフリードマンの恒常所
得仮説がある。
【佳子】
 ライフサイクル仮説?
【中洲先生】
 そう。ライフサイクル。
【研一】
 ライフサイクルというと、生涯ということですか。
【中洲先生】
 まあ、そういうことだね。
 モジリアーニという学者は、現在の消費は、一生の間に稼ぐ所得総額に依存すると
考えた。
【佳子】
 一生の所得総額?
【中洲先生】
 そう。
【佳子】
 そんなもの予測できるの?
【中洲先生】
 そう突っ込まれると、私も困るけど‥。


【佳子】
 で、生涯の所得総額を想定すると、どうして平均所得性向が一定という結論になる
のかな。
【中洲先生】
 モジリアーニのライフサイクル仮説の算式は、C=a・Y+b・Wと考えるのだよ。
 Cは消費で、その消費は、所得Yの一定割合aと資産Wの一定割合bの合計と考える。


【研一】
 資産も関係してくるのですか。
【中洲先生】
 要するに、人は、通常一生涯働くのではなく、ある年齢になったら退職する。しか
し、退職後も生きていくためには消費が必要になる。そのため、働けるうちに、働い
て得た所得を全部使ってしまうのではなく、貯蓄をしといて、退職後にその貯蓄を取
り崩していくことを想定する。
 そうなると、社会全体では、獲得した所得と保持している資産の大きさに消費が依
存するということになる。


【研一】
 モジリアーニの平均消費性向は、さっきの算式をYで割ればいいのですか?
【中洲先生】
 そうだね。平均消費性向は、CをYで割ったものだからね。
【佳子】
 CをYで割ると、C/Y=a+b・W/Yということになるけど‥
 あれっ、おかしいじゃないですか。
【研一】
 どういうこと?
【佳子】
 C/Y=a+b・W/Yということになると、ケインズさんの消費関数と似てくるけど。


【研一】
 ケインズの消費関数は、C=a +c・Y だったよね。
【佳子】
 小文字のaは基礎消費で、この式から、平均消費性向は、
 C/Y=a/Y+c だったよね。
 で、この式をグラフにすると、縦軸との交点がa/Yということになり、原点から出発
する直線じゃないから、所得が大きくなるとともに平均消費性向が低下するというこ
とだったでしょ。
 モジリアーニの平均消費関数も、縦軸とb・W/Yの地点で交わり、その地点から右上
に伸びる直線になるから、平均消費性向は、所得が大きくなるとともに小さくなるの
ではないのかな。



次回に続く



=====
編集後記
=====

 今日は、試験に出ない経済学だけで恐縮です。
 ところで、世間では「イナバウワ」が流行していますね。

 
 では、次回まで


==========================
  経済ニュースゼミ  (第165号)      2006年3月1日
==========================



 こんにちは、seijiです。
 
 3月になりましたが、また少し寒くなりました。
 それにしても、民主党もピンチですね。国民の考え方と乖離が生じているようです
ね。



 では、経済ニュースゼミを始めましょう。



<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(米国の経済成長率)
2.試験に出ない経済学(消費関数)
3.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(米国のGDP)
★★★★★★★★★★★★★★★★★


 米国の10−12月期の経済成長率が発表されています。「米 1.6%成長に上方修正」
とあります。(日経新聞、3月1日)

 米国の2005年10−12月期の実質GDPは、前期に比べ年率換算で1.6%の伸びとなって
います。

 先日、日本のGDPの伸び率が発表されましたが、日本は5.5%でしたので、最近は日
本の方の経済活動が活発になってきているということでしょうか。

 しかし、米国では金利の引上げがさらに続きそうな気配です。それに対し、我が国
は、流石に量的緩和政策が終わりを告げようとしていますが、ゼロ金利政策は続くよ
うです。

 それは、ともかくとして、米国と我が国のGDPの構成割合を比較してみましょう。

 最大の支出項目である消費支出です。
 我が国の場合「GDPのうち約6割を占める」と形容されることが多いのですが、実は
日本の個人消費は、最近では55%程度しかありません。それに対し、米国では7割も占
めています。

 設備投資は、日本が15%程度を占めるのに対し、米国では12%程度です。

 米国と日本で極めて対照的なのは、純輸出です。
 米国では、純輸出がマイナスで、GDPの6%程度を占めますが、日本は逆にプラス
で、その構成比は約3%を占めます。

 なお、米国の場合、輸入が対GDP比約17%と大きいですが、日本の場合の輸入は、
11%程度に過ぎません。

 こうしてみると、やはり米国は消費社会という側面が強いですね。



<米国のGDPの構成割合>
               10−12月期     割合
GDP合計       11兆2476億ドル    100%
個人消費        7兆9306億ドル     70.5%
民間住宅投資       6139億ドル     5.5%
民間設備投資     1兆3225億ドル    11.8%
政府支出        1兆9947億ドル    17.7%
純輸出          ▲ 6562億ドル  ▲ 5.8%
(輸出)        (1兆2194億ドル)    10.8%   
(輸入)        (1兆8757億ドル)    16.7%





<日本のGDPの構成割合>
            10−12月期    割合
GDP合計         548兆円    100%
個人消費        300兆円    54.7%
民間住宅投資       19兆円     3.5%
民間設備投資      85兆円     15.5%
政府消費         95兆円    17.3%
公共投資         24兆円     4.4%  
純輸出           18兆円     3.3%   
(輸出)         (77兆円)    14.1%
(輸入)         (59兆円)    10.8% 







===============
試験に出ない経済学(消費関数)
===============

【研一】
 そうか。
 モジリアーニのライフサイクル仮説もケインズの消費関数と同じように、原点から
出発する直線ではないんだ。
【佳子】
 でしょ。
【研一】
 じゃあ、生涯の所得総額に消費が依存するといっても、平均消費性向は所得が増大
するに従って低下するということ?
【佳子】
 先生、変じゃない?


【中洲先生】
 確かに、モジリアーニの消費関数は、C=a・Y+b・W (Cは消費、Yは所得、Wは資
産で、aは所得に占める消費の一定割合、bは資産に占める消費の一定割合)だから、
両辺をYで割って、平均消費性向を求めると、

C/Y=a+b・W/Y になるから、そういう疑問が生じるよね。

 だけど、b・Wが曲者なんだ。

【佳子】
 曲者?
【研一】
 そう、曲者。
【研一】
 Wは資産額で、bはその資産のうちの一定割合ということでしょ。
【中洲先生】
 bは一定割合なんだけど、Wがね。
【佳子】
 Wがどうかするの?
【中洲先生】
 Wは、資産だけど、所得が増大するに従って、Wも大きくなっていくと考えるんだ。
そうなると、C=a・Y+b・W で表される消費関数が、長期的には、Yの増大に従って上
の方にシフトしていくと考えるのだよ。
 そうなると、結局、所得の増大に応じて消費も同じように拡大していくので平均消
費性向は一定ということになる。
【佳子】
 分かったような、分かんないような。
 いずれにしてもややこしすぎる。
【研一】
 数式を使わないで説明するとどういうことになるのですか?
【中洲先生】
 人は、一定の年齢になると退職するので、若いうちは、稼いだ所得を全部使ってし
まうのではなく、ある程度は貯蓄に回し、それが資産として形成される。
 そうなると、一般的には、消費に充てることが出来る原資は、所得と資産というこ
とになる。しかし、資産は所得の増大に伴って大きくなる。そして、資産が大きくな
れば、それにともなって消費も増大するということだね。
【佳子】
 所得の増大が資産の増大をもたらし、その資産の増大が消費の増大をもたらすとい
うことね。
【中洲先生】
 結局、所得の増大が消費の増大を招くから、平均消費性向は一定であり、ケインズ
の消費関数とは違うことになると。
【佳子】
 そういうことか。


【研一】
 恒常所得仮説というのはどういうのですか?
【中洲先生】
 恒常所得仮説というのは、所得を恒常所得と変動所得に分けて考えるのだよ。
【佳子】
 恒常所得と変動所得ね。
【中洲先生】
 例えば、所得といっても、毎月の決まった給料と、特に営業成績がよかったために
特別に支給されるボーナスなどがある。
 その特別な支給分は、いつも貰えるとは限らない。一方、毎月の所定の給料は、安
定している。
 そして、国民の消費は、その安定的な部分に依存していると考えるんだよ。
 だから、
 C=c・Y* (Y*は、恒常所得)
【研一】
 それは、原点から出発する直線で表されますね。
【佳子】
 だけど、その恒常所得というのと現実の所得の関係は?
【中洲先生】
 現実の所得と恒常所得は、その時々で乖離することがあるが、長期的には一致する
と考えることができるよね。
【佳子】
 結局、ライフサイクル仮説や恒常所得仮説によれば、平均所得性向は一定であり、
所得が増大しても変わらないことになるのね。


【研一】
 そういうふうに考えると、所得の増大によっても平均消費性向が低下することはな
く、不況になることもないということですね。
【中洲先生】
 参考までになのだけど、ライフサイクル仮説や恒常所得仮説以外にも、デューゼン
ベリーの相対所得仮説というのもある。
【佳子】
 デューゼンベリーの相対所得仮説ですか?
【研一】
 難しそうですね。
【中洲先生】
 ラチェット効果とかデモンストレーション効果というものだよ。
【研一】
 ラチェットというと、歯止め装置のことですか?
【佳子】
 歯止め装置?
【中洲先生】
 歯車が逆回転するのを防ぐ装置だね。
【佳子】
 それが、何か消費と関係するの?
【中洲先生】
 比喩的な表現なんだよ。
【佳子】
 比喩的?


【中洲先生】
 会社の成績がよく給料がぐんと上がったと思ったら、急に業績が落ち、収入が減っ
てしまった。そんなとき、消費はどうなると思う。
【研一】
 一旦贅沢な生活に慣れてしまうと、簡単には、元の質素な生活には戻れないという
ことですか。
【中洲先生】
 そういうことだね。ラチェットが働いて、元の質素な生活に戻ることができないん
だね。
【佳子】
 そういうことか。


【研一】
 デモンストレーション効果とはどんなものですか?
【中洲先生】
 ラチェット効果は、以前の自分の消費水準と今の自分の消費水準を比べたものだ
が、デモンストレーション効果は、他人の消費水準と自分の消費水準を比べたものだ
よ。
 他人が贅沢な消費生活を送っているとするだろう。そうすると、自分もその影響を
受けてしまうと。だから、所得水準以上の消費をしてしまう。
【佳子】
 ジョーンズ家に負けるなというやつね。
【研一】
 ジョーンズ家?
【佳子】
 Keep up with the Joneses よ。
【研一】
 何、それ?
【佳子】
 流行に乗り遅れないようにすることよ。イディオムね。
【中洲先生】
 なんでも、昔、”Keeping up with the Joneses”というタイトルの漫画があった。
「ジョーンズ家の奴らに負けるな」と訳せると思うが、隣人との見栄を張りあう内容
の漫画だったようだね。


【佳子】
 デモンストレーション効果があるというのなら、テレビのコマーシャルの効果も小
さくないように思うけど‥。
【中洲先生】
 それは、ガルブレイスが指摘した依存効果というやつだよ。
 佳子ちゃんも凄いね。



 
 以下、次回に続く





=====
編集後記
=====

 Keep up with the Joneses というのがイディオムになっているくらいですから、
ジョーンズさんという名前はよくある名前ということですね。鈴木さんとか田中さん
といったところでしょうか。


 ところで、3月3日と6日の配信は都合によりお休みになります。あしからず。

 では、次回まで
 





=========================
 経済ニュースゼミ  (第166号)      2006年3月8日
=========================


 こんにちは、seijiです。
 
 本日は、西日本地域で20度を超すところも出るなど、陽気な気候となっています。
みなさんの地域はどうでしょうか。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。




<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(量的緩和政策解除の家計への影響)
2.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(量的緩和政策解除の家計への影響)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 量的緩和政策の解除がいよいよ時間の問題になってきています。
 
 政府関係者は、量的緩和政策の解除にこれまで頑なに抵抗していましたが、景気の
回復を示す指標が次々に発表され、さすがに態度を軟化させつつあります。

 しかし、そうはいっても手放しではありません。3月期は、金融機関を始めとする多
くの企業の決算期ですので、できれば3月を外し4月以降にして欲しいと望んでいるも
のと予想されます。

 ところで、時期の問題はさておき、量的緩和政策が解除されると、家計にはどのよ
うな影響があるでしょうか。

 伝えられるところでは、バブル崩壊以降の超低金利で、家計が失った金利収入は300
兆円にも上るとされています。

 日銀の福井総裁は、量的緩和政策の解除とはいっても、直ちに金利を引上げること
を意味するわけではなく、当面は金利は引上げないという趣旨の発言を繰り返してい
ます。そうなると、量的緩和政策を解除しても金利は上がらないというシナリオも想
定されますが、金融市場では、既に量的緩和政策解除を織り込んで金利が上昇し始め
ています。3月3日には、10年もの国債の流通利回りが1.69%まで上昇しています。

 いずれにしても、金利が上昇し始めると家計部門になんらかの影響があるのは明ら
かなのですが、それはプラスの効果なのでしょうか、それともマイナスの効果なので
しょうか。

 プラスの効果があると考える人は、家計が多額の金融資産を保有していることを前
提にしていると思います。それに対し、マイナスの効果もあるのではないかと考える
人は、住宅ローンの支払いが増加することを前提にしていると思います。

 それでは、そのどちらの効果の方が大きいのでしょうか。

 よく、家計部門が保有する金融資産は1400兆円程度と言われます。この数字は、あ
る意味で常識のようになっていると思いますが、問題は、そのうちのどの程度が金利
を生む預金や債券であり、また住宅ローンなどの借入はどの程度あるかということで
す。

 こうしたデータを入手するためには、日銀のホームページが便利です。
 日銀の「資金循環の統計の解説」によれば、次のようになっています。

2005年9月末現在
<家計の金融資産 (自営業者を含む)>
・ 預金          731兆円
・ 証券          228兆円
・ 保険・年金準備金  387兆円
・ その他         108兆円
合計           1454兆円

<家計の負債 (自営業者を含む)>
・ 借入        323兆円
・ その他        57兆円
合計          380兆円


 お分かりでしょうか。家計部門の金融資産の規模は1454兆円であるのに対し、負債
の規模は380兆円しかありません。ということは差し引き1074兆円の純資産(金融資産
に限る)を保有しているということであり、借入者としての性格より貸付者としての
性格が勝るということです。即ち、金利が上昇すれば、それによって利子収入が増大
すると考えることができます。

 また、細かくみても、金利の上昇にともない利子収入を増加させる預金は700兆円を
超えているのに対し、住宅ローンなどの借入はその半分にも満たない323兆円しかあり
ません。また、証券228兆円のうちの一部は、株式等を除いた国債などであり、これも
預金と同じく金利の上昇にともない利子収入を増加させることになります。

 こうして考えると、家計部門は圧倒的に金利の上昇によって家計が潤う効果の方が
大きいことが分かります。

 そうであるとすれば、日銀や政府関係者は、何故、金利の引上げに二の足を踏んで
きたのでしょうか。

 それは、金利の引上げによって家計部門の所得が増大することは確かですが、それ
による消費の増大効果と、金利引上げによって企業部門の設備投資や家計部門の住宅
投資が抑制される効果を比べた場合、これまでは後者の方の影響が大きいのではない
かと考えられていたからだと思います。

 しかし、景気の回復が着実になり、企業の投資マインドが旺盛になると、金利が多
少上がった程度では、投資意欲が削がれることはあまり考えられません。また、家計
部門の住宅投資にしても、金利の先高感から却って拡大することも考えられます。

 そのような効果を考えると、デフレから完全に脱却したとはいえないからという理
由で量的緩和政策の解除には慎重であるべきだという論理展開には、それほどの説得
力は感じられず、むしろ、消費を拡大させ、デフレ脱却を確実なものにするためにも
多少の金利引上げは適当であると考える方が筋が通っているとも考えられます。

 さらに、金利を多少なりとも引き上げ、金利メカニズムが機能するような環境を整
備しておくことが、いずれ発生するかもしれないインフレに対する準備となり、結果
的にインフレを回避することによって息の長い景気回復を実現する土壌になるとも考
えられます。



以上


=====
編集後記
=====

 ここ何日か、ニュースネタが少ないのでしょうか。モーニングショーなどの内容を
みてそう感じています。でも、それは凶悪なことが起きていない証拠で結構なことか
しれません。

 脚本家の久世さんがなくなりました。不良中年みたいな風貌ですが、大変なインテ
リでもあるように思っていました。
 久世さんが演出したテレビ番組と、週刊誌に連載していたエッセイとに大きなギャ
ップがありましたね。

 あるとき、久世さんとその奥様と名乗る人とお話をする機会があったのですが、奥
様がお若く色っぽいので本当かなと思っていたのですが、どうやら本当の奥様であっ
たことが判明しました。


 では、次回まで


==========================
 経済ニュースゼミ  (第167号)      2006年3月10日
==========================



 こんにちは、seijiです。
 
 前回、量的緩和政策の解除も時間の問題と書きましたが、翌日には、もう解除され
ました。私自身少し驚きました。

 政府の顔も立てつつ4月が現実的かと思っていたのですが、そうではなかったようで
す。その意味で少しサプライズの要素があったと思うのですが、その分、政府の一部
の人はご立腹のようです。
 

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。




<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(量的緩和政策の解除)
2.試験に出ない経済学(異時点間の選択)
3.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(量的緩和政策の解除)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 とうとう量的緩和政策が解除されました。
 まあ、物価も含め次々と明るい経済指標が発表されているので解除も当然かと思う
のですが、政府の内部は、微妙に受け止め方が違います。

 与謝野大臣は、一番日銀に好意的なようですね。それに対し、竹中大臣は、相当に
頭にきているような発言振りです。谷垣大臣は、まあ、大人の対応というところでし
ょうか。小泉総理は、一応日銀の顔を立てたような発言をしています。

 ところで、竹中大臣はじめ政府内には、量的緩和政策解除時期尚早との意見もある
のに対し、民間企業は冷静に受け止めています。というか、日銀の判断を尊重したい
との受け止め方が一般的なようです。

 日経新聞が、「社長100人アンケート」をしているので、その結果を見てみましょ
う。(日経、3月10日)

 まず、解除をどう考えるかと聞かれて、「4月以降にすべきだった」というのが約
20%であるのに対し、「適切な時期」と答えたのは約68%です。この辺が面白いです
ね。竹中大臣などは、「まだデフレだから」という理屈ですが、肝心の民間企業の経
営者は、冷静に受け止めていることが窺えます。

 次に、解除が日本経済に与える影響についてみてみましょう。
「影響はない」と答えた者が約37%に上る一方で、「ある程度マイナス」と答えた者
は約28%、「ある程度プラス」と答えた者は約29%になっています。結局、全体とし
てみたら、量的緩和政策の解除の影響は殆どないということなのでしょうか。

 しかし、それは何故なのでしょうか。量的緩和政策を解除しても、ゼロ金利政策が
維持されるから、急激に金利が上がることもないと予想されるからでしょうか。

 では、ゼロ金利政策はいつまで維持されるべきなのでしょうか。この問いについ
て、約49%、つまり半数の人が「日銀の判断に任せる」と答えています。

 ということは、ゼロ金利政策が維持されるという前提条件つきで今回の解除がそれ
ほどのインパクトを持たないと考えているわけでもなさそうです。

 民間企業の経営者は、景気回復を肌で感じ、いずれ発生するかもしれないインフレ
に備え、日銀が賢明に行動することを期待しているのかもしれません。このことは、
量的緩和政策解除の具体的な影響について、「金融機能の正常化」と答えた者の割合
が、「利払い負担が増加」や「設備・住宅投資の縮小」を抑えてトップになっている
ことからも推察できます。

 いずれにしても、量的緩和政策は解除されました。これに伴い、日銀当座預金残高
の目標値がなくなることになります。これまで30−35兆円を目標にしていましたが、
今後は、6兆円程度に収束することになりそうです。

 ところで、量的緩和政策を解除すると、世の中に回るお金が少なくなるのではと心
配している人はいませんか。

 でも、心配は無用です。それは民間銀行の貸出や預金残高が増加し始めているから
です。「融資・預金ともに増加 昨年9月末 8年ぶり 信用創造機能が回復」とあり
ます。(日経、3月9日)

 民間銀行の貸出や預金残高が増加するようになると、マネーサプライは自然と増加
するものです。

 それに、民間銀行の融資姿勢が積極化すると、利子の付かない日銀当座預金口座に
資金を必要以上に寝かせるようなことはしないわけですから、その意味においても、
法定準備額を遥かに上回る「30−35兆円」という日銀当座預金残高の目標値は、現実
からかけ離れたものになっていたのです。





 以上



==================
試験に出ない経済学(異時点間の選択)
==================


【佳子】
 ところで、消費は、所得のうち貯蓄以外の部分でしょ。だとすると、消費を考える
ということは、貯蓄について考えるということにもなるのよね。
【研一】
 消費と貯蓄の組み合わせを最も効率的にすることが必要なんですね。
【中洲先生】
 そうだね。消費と貯蓄について考えるには、現在の所得だけを考えているだけでは
十分ではなく、将来の所得についても考察の対象にすることが必要だということにな
るのだね。そこから、ライフサイクル仮説や恒常所得仮説の考え方も出てくる訳だ。
【佳子】
 でも、将来の所得といっても、どれほど確実に見積もることができるかという
と‥。
【中洲先生】
 それはそうだけど‥。
 でも、将来について何も考えないよりも合理的だといえるよね。
 何も、将来を全部見渡さなくても、今年と来年について考えるだけでも有益かもし
れない。


【研一】
 異時点間の選択ですよね。
【中洲先生】
 アーヴィング・フィッシャーだね。
【佳子】
 異時点間?
【研一】
 今の消費と次期の消費をどのように組み合わせると効用を最大にすることが出来る
かを考えるのですよね。


【中洲先生】
 朝三暮四のことわざを知っているかい?
【佳子】
 お猿さんにどんぐりを与える話でしょ、中国の‥。
【研一】
 それがどうかしたのですか?
【中洲先生】
 異時点間の選択を考えるとき、いつも思い出すものでね。


【佳子】
 お猿さんに、朝ドングリを三つ、夕方に四つあげるといったら、猿が怒ったのでし
ょ。ということで、では、朝四つ、夕方3つあげることにしようといったら、猿は納得
したという話‥。
 猿は目先のことに騙されたというのでしょ。合計7つで、もらえるドングリの個数は
変わらないのにね。
【中洲先生】
 でも、利子の概念を持ち出すとそうとも言えないよ。
 もっとも、朝と夕方とでは、仮に利子が発生したところで微々たるものだから影響
は無視されるだろうけど‥。
 例えば、年の初めにドングリを3俵、年の暮れに4俵あげるという話だとどうなると
思う。
【佳子】
 暮の四というのが、その日の夕方ということではなく、年の暮れということね。そ
れだと利子が十分付くわね。
【中洲先生】
 そうだろう。
 ところで、お猿さんが、朝3.5個のドングリを食べ、夕方も3.5個のドングリを食べ
るときに満足感が最高になると考えてご覧。
【研一】
 そうすると、朝3つしかドングリをもらえないとすると、満腹感が得られず、少し不
満になるのですね。
【佳子】
 逆に夕方は、4つ貰えるけど、少し食べ過ぎ気味になるのね。
【研一】
 だったら、朝3.5個、夕方3.5個を与えればいいのにね。
【中洲先生】
 だけど、端数は面倒くさいからと考え‥。
【佳子】
 じゃあ、朝4つ、夕方3つ上げるのね。
 朝4つもらっても、3個半しか食べなければいいのよ。
【研一】
 だけど、半分残すのも面倒だし、残していたことを忘れるかもしれないけど‥。
【佳子】
 そのときは、他のお猿さんと1個を半分ずつ食べるのよ。そうなると、2匹の猿で、
ドングリが一個残るけど‥。
【研一】
 で、その残した2匹で1個のドングリを夕方に食べるんだね。そうすると朝3.5個、夕
方3.5個食べることができるわけだ。
【佳子】
 めでたし、めでたし。


【研一】
 なんかよく考えたら、猿はあながち馬鹿でもないような気が‥。
【中洲先生】
 そうだね。猿を見くびったら駄目かもね。

 では、人間のケースで考えてみようか。
 本当は、毎月30万円の給料を支払うべきところを、毎月20万円しか支払わず、6月に
60万円、12月に60万円支払う会社があったとする。
 どう思う?
【佳子】
 毎月30万円だと、1年間で360万円ね。
【研一】
 毎月20万円しかもらえなくても、6月と12月に60万円のボーナスがあればそっちも、
年間では360万円だよ。
【中洲先生】
 貰える総額は同じだからといって、どちらでも同じこと?
【研一】
 ボーナスがないのは寂しい気もしますけど‥。
【佳子】
 だけど、ボーナスがないということは、そのボーナスが前払いされることだか
ら‥。
【中洲先生】
 というよりも、ボーナスという形をとって、給料を後払いしていると見る方が当た
っているような気が‥。


【研一】
 ということになると、サラリーマンは、ボーナスという名前に騙されているような
ものなのかな。
【佳子】
 ずるいね。
【研一】
 まあ、騙されたとしても、ボーナスを貰って幸せになれるなら、そーっとしておい
て貰った方がいいのかな。
【中洲先生】
 だけど、インフレが激しいなどで金利が高いとどうだい。
 例えば、1年間で10%も利子がつくような状況だと。
【佳子】
 そうなると、後払いは損になるよね。
【中洲先生】
 そうだよね。異時点間の選択を考える場合には、利子率が意味を持ってくるんだ
ね。


【佳子】
 どういうこと?
【中洲先生】
 例えば、今期10の所得があり、次期10の所得がある人の消費を考えてみようね。
 この人が、今期の消費を12まで増やしたいと考えたらどうなる?
【佳子】
 そのときは、今期誰かに2だけ借りて、それを次期の所得から返さないとね。
 計算が面倒だから利子率がゼロだとすれば、今期の消費は12まで増やせるけど、次
期の消費は8になるということでしょ。
【中洲先生】
 利子率が1割だったら?
【佳子】
 だから、計算は面倒だから‥。
【研一】
 だから、2を借りて、それに10%の利子を付けるわけだから、2.2を返す計算になる
から、次期の消費は7.8しかできませんね。
【中洲先生】
 では、今期辛抱して8しか消費しないと考えたら?
【佳子】
 そのときは、残りの2を誰かに融資して、それが利子を生み2.2になるから、次期の
消費は12.2までできることになるのね。
【中洲先生】
 そうした考え方をするのが異時点間の選択というのだよ。




次回に続く



=====
編集後記
=====
 モーニングショウを観ていたら、花粉症で猿が凶暴になったとか報道していました
が、猿も災難です。

 量的緩和政策が解除され、テレビのニュースでも大きく取り上げられていました
が、解説する経済部の記者も少し自信なさそうに説明していたようにも見えました
が‥。

 中国との関係でギクシャクしているようですが‥。
 どうしてテレビに登場する中国の人は、日本側に対しあれほど強気なのだろうかと
考えてみました。
 
 中国は、表現の自由が保証された国ではなく、仮にテレビなどに出演した際、日本
側に理解を示すような発言をすると、大変な非難に遭い、また、左遷させられたりす
るからかなと思いました。
 
 多分、そういう事情もあるのではないでしょうか。

 そうなると、中国の主張が正当性を持つためには、中身の正当性はもとより、一党
独裁体制から脱却し、思想信条の自由が保証されることが前提になりますね。



 では、次回まで


===========================
 経済ニュースゼミ  (第168号)      2006年3月13日
===========================



 こんにちは、seijiです。
 
 暫く穏やかな天気だったのですが、また、寒くなりました。雪が降っているところ
もありますね。

 今年は桜が早く咲きそうかなと思っていた矢先なのに。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。




<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(量的緩和政策についての見方)
2.試験に出ない経済学(異時点間の選択)
3.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(量的緩和政策についての見方)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 量的緩和政策の解除のニュースもそろそろ峠を越えたようですね。

 ところで、量的緩和政策の解除に関しては、丁度2年ほど前から解除すべきでないか
との意見が強くなり始めていました。そういう意味では、2年間もかけて議論してきた
ともいえ、そうした考え方に従えば、今回の解除も早いとは言えないかもしれませ
ん。その一方、政府の考え方や市場の予想からすれば若干早かったとの見方もできそ
うです。

 いずれにしても、最終段階まで日銀と与党の一部の間には根強い不信感が漂ってい
ましたが、両者の考え方の背景にあるものは何でしょうか。


 先ず、何故日銀は、政府の反対を押し切ってまで量的緩和政策の解除に踏み切った
のか。

 皆さん、どう思いますか。

 想定される答えの一つは次のようなものです。

 「景気が回復しており、このまま異常とも言われる量的緩和政策を続けると、イン
フレを誘発する恐れがある。日銀は通貨の番人であって、インフレを回避することが
最大の任務であるから量的緩和政策を解除したのである」

 確かに、過去オイルショック後の過剰流動性の発生やバブル経済の発生に関して、
日銀が機動的に行動しなかったことが原因であるとして、日銀が責められました。
 日銀は、そうした過ちを繰り返したくなかったということでしょうか。

 ところが、よく考えてみると、日銀は今回量的緩和政策を解除しても、当面ゼロ金
利政策は継続していると言っているのです。だとすると、少しおかしくありません
か。

 ゼロ金利を継続するためには、これまでの日銀当座預金残高目標値がなくなったと
はいえ、市場に潤沢に資金を放出しなければいけません。そうなると、インフレを回
避するどころか、インフレを惹起してしまう可能性があります。

 こうした疑問に対しては、「それはそうだが、いくら消費者物価の上昇率がプラス
になったとはいえ、インフレが起きそうな気配は今のところない。だから、むしろ現
時点ではデフレからの完全脱却を目指し、ゼロ金利政策を継続することが現実的な選
択なのだ」というような反論が予想されます。

 確かに、デフレ脱却が完全なものになったというのは少し早すぎるでしょう。しか
し、そうであればなおのこと、では何故今、量的緩和政策を解除したのでしょうか。

 結局、ゼロ金利政策は維持しても、量的緩和政策は早々に解除したかった理由があ
ったのでしょうか。

 これに対しては、「量的緩和政策は、金融システムの安定化には役に立ったが、景
気の浮揚効果については不明というのが定説になっているからではないか」という答
えが想定されます。

 確かに、日銀総裁自身、量的緩和政策の持つ意味合いは、もはやゼロ金利政策以上
のものではなくなったという趣旨の発言を行なっています。

 この発言は、「量的緩和政策はゼロ金利政策と等しいから、量的緩和政策を解除し
ても、ゼロ金利政策を継続するのであれば、なんら実質的な意味で政策の変更があっ
たと考える必要がないから、皆さん安心してください」と言っているようなもので
す。

 しかし、そうであれば、二つの疑問が生じます。

 一つは、では何故政府の一部は、量的緩和政策を解除すべきではないと考えたの
か。
 そして、今一つは、何故日銀は、実質的な意味では政策の変更とはいえない量的緩
和政策の解除を、政府の反対を押し切ってまで決断したのか。それほどのリスクをか
ける必要があったのかということです。

 前者の質問に対する答えは不明です。何故なら、量的緩和政策の解除に反対してい
た人たちは、量的緩和政策の技術的な側面についてまで考察しているとは思えないか
らです。「量的緩和政策」イコール「金融緩和政策」という単純な構図で考え、現時
点でデフレから脱却していると断言できない以上解除を急ぐべきではないという、ど
ちらかというと情緒的な主張をしてきたからです。

 では、日銀が実質的な意味での政策変更にならない量的緩和政策の解除を決断した
のは何故でしょうか。

 これに対しては、次のような答えが予想されます。

 「そもそも日銀は、ゼロ金利政策に否定的なのだ。ゼロ金利政策とは、金利メカニ
ズムを否定することであって、日銀の自殺行為に当る。ただ、日銀は、2000年夏にゼ
ロ金利政策を解除したが、その後景気が失速し、批判の矢面に立たされた。その結
果、2001年3月にゼロ金利政策に代わって量的緩和政策が採用された。量的緩和政策も
金利メカニズムを否定するものであり、本来は採用に反対なのだが、未曾有の不況と
いう事態に直面し、実践的な理由から採用しただけだ。しかも、量的緩和政策が有す
る効果というのは不確かなものが多く、日銀としてはオーソドックスな政策だとは認
めていないからではないか。要するに、日銀にとって、量的緩和政策の採用は、自ら
のインテリジェンスを否定することに等しいと」

 何かこの辺に、量的緩和政策の本質が隠されているような気がします。

 仮に以上のような指摘が正当だとすると、今回の量的緩和政策の解除というもの
は、金融政策のツールの変更には該当するかもしれないが、金融を引き締めるもので
は一切ないということができるかもしれません。

 しかし、そうであるのならば、政府が量的緩和政策の解除は時期尚早だと主張する
ことには理由がないことになります。問題は、デフレから脱却したかどうかではな
く、量的緩和政策の効果をどのように評価するかということになるはずです。

 ところが、実際には、量的緩和政策の効果について議論がなされるというよりも、
デフレから脱却したかどうかにのみ焦点が当てられました。

 では、何故、量的緩和政策の効果についての議論が十分になされなかったのでしょ
うか。

 日銀は、自らのインテリジェンスを否定するような「量的緩和政策」とは早く手を
切りたい。しかし、それを直裁に表現すると、これまでの自己否定につながってしま
う。そこに悩みがあったのではないでしょうか。

 政府側も、どうしても量的緩和政策解除をすべきでないという主張を受け入れさせ
たかったのであれば、量的緩和政策の持つ意味合いを具体的に証明することが必要だ
ったのではないでしょうか。

 そういう意味では、日銀及び政府の双方が十分な説明責任を果たしたとはいえない
かもしれません。

 皆さんはどうお考えでしょうか。

 
 
 以上

==================
試験に出ない経済学(異時点間の選択)
==================

【研一】
 ある個人の効用関数が、U=C(今期)・C(来期)で表されるとき、この個人が今期
5の所得を得、次期18の所得を得るとしたとき、効用を最大にするためにはどのような
行動に出るか、という問題があったのですけど‥。
【佳子】
 何それ、あんまり変な問題を持ち込まないでよ。
【研一】
 先生、どのように考えたらいいのですか?
【中洲先生】
 他に何か条件はついていないのかい?
【研一】
 今期と来期で20%の利子率で借入れまたは貯蓄が可能だとされています。


【佳子】
 それ、宿題かなんかじゃないの。自分で考えないと‥。
【研一】
 といっても、考えるとっかかりがないと‥。
【中洲先生】
 よく試験問題で、この手の問題が出題されるみたいだね。
 問題を解くだけならそれほど難しくはないようなのだけどね。


【研一】
 どうやって解くのかな。
【中洲先生】
 問題の解き方の前に、常識としてこの問題を考えてみようか。
 佳子ちゃんは、どのように考える?
【佳子】
 問題が味気ないわね。今期5で、次期18の所得を得ますだなんて。5万円とか18万円
と言って欲しいわね。
【中洲先生】
 それはお好きに。


【佳子】
 効用関数というのもピンとこないな。
 今期の消費と来期の消費を掛け合わせたものが効用ということなの?
 掛け算ね‥。
 例えば、今期の5万円の消費と、次期の18万円の消費を掛け合わせるの?
 万円単位だと、桁が多くなっちゃうから、元に戻して‥、5掛け18で90ということ?
【研一】
 どうして今期と次期の消費を掛け合わせるのですか。
【中洲先生】
 足し算でもいいかもしれないけど‥。
 例えば、効用関数が、U=C(今期)+C(次期)だと。しかし、そうなると意味合い
が異なってくるよね。
【佳子】
 どういうこと?
【中洲先生】
 例えば、今期と次期との所得の合計が23とし、仮に利子率がゼロだとすれば、足し
算の場合には、今期と次期の消費がどのような組み合わせになっても効用は変化しな
いよね。それに対し‥。
【佳子】
 掛け算をする場合には、5×18の組み合わせもあるし、10×13の組み合わせもある。
1×22というのもあるから‥。
【研一】
 そうすると、今期と次期の消費の格差がない方が、効用は大きくなるのですね。


【中洲先生】
 U=C(今期)・C(次期)というのは、そういうことを意味しているんだね。
【研一】
 だとすると、効用を最大にするためには、今期と次期の消費が等しくなければなら
ないから、今期5、次期18の組み合わせは、効用が最大にはならないということです
ね。
【佳子】
 だったら、今期いくらかお金を借りて今期の消費を多くし、次期は借りたお金の返
済のために消費を減らす行動に出るといいということ?
【中洲先生】
 そういうことだね。


【佳子】
 確かに、ある時期大変な贅沢が出来てもその次の年には貧乏になってしまうと悲し
いわね。そういうのは、効用は最大ではないわね。
【研一】
 確かにそうだけど、毎年同じような生活が幸福なのかな。
 偶には海外旅行もしたいし、贅沢もしたいと思うのじゃないの、佳子ちゃん。
【佳子】
 そうだね。偶には贅沢をし、その代わり、その他の時期はそこそこに消費してとい
うのがいいかもね。
 先生、そういう効用関数が現実的じゃないの?
【中洲先生】
 それはそうかもしれないけど、そうなると計算が複雑になるよ。


【研一】
 で、先生、この人は、幾らお金を借りるのですか。
【中洲先生】
 この人の今期の消費は?
【研一】
 今期の5の所得と借り入れですよね。借入をBとすると、「5+B」ということになり
ます。
【中洲先生】
 次期の消費は?
【研一】
 次期は、18−1.2・B ですよね。
 20%の利子率がかかりますから。
【中洲先生】
 では、効用は?
【研一】
 U=C(今期)・C(次期)だから、(5+B)・(18−1.2B)が最大になるBを求める
ということですか?
 (5+B)・(18−1.2B)=−1.2B(2乗)+12B+90
【佳子】
 何か面倒ね。
【中洲先生】
 高校生の数学だね。
 最大値を求めるには、Uを微分すればいいよ。
【研一】
 −2.4B+12=0 ということですか。
 そうするとBは、5になりますね。


【佳子】
 ということは、今期5を借りて、合計10の消費をし、次期は、その5の借入に対し
て、20%の利子を付けて、6返すから、次期は、12の消費が可能になるのね。
 そうすると、10×12=120で効用が最大になるということ。
【中洲先生】
 そうだね。それで正解。


【佳子】
 先生、変じゃない?
【中洲先生】
 何が?
【佳子】
 この効用の式は掛け算だから、今期と次期の消費が同じ額のときに最大になるのじ
ゃなかったの?
【中洲先生】
 利子率がゼロのときはそうなるんだけどね。
 利子率を考慮すると、「今期の消費」と「次期の消費を利子率で割り引いた現在価
値」が等しいときに、効用が最大になるということだね。
【研一】
 次期の消費は12で、それを現在価値に割り引くと10ということになり、今期の消費
と等しいということですね。
【中洲先生】
 そういうことだね。
【佳子】
 ということは、利子率が高くなればなるほど将来の消費が増えるということね。
【研一】
 名目ベースでということだよね。




 次回に続く


=====
編集後記
=====

 急に寒くなると嫌ですね。
 嫌といえば、野球の審判。昔はアメリカといえば何もかも立派に見えたものです
が、アメリカも人間臭い面がいっぱいです。





 では、次回まで



===========================
  経済ニュースゼミ  (第169号)      2006年3月15日
===========================



 こんにちは、seijiです。
 野球見ましたか? えっ、仕事してたって。そうですよね。

 でも、日本が勝ち首の皮がつながりましたね。
 
 それにしても、依然として先日のアメリカのジャッジの件が話題になっています。
フェアなアメリカはどこへ言ったのでしょう。

 Where has the US gone? といったところですね。
 今頃気が付いたのかですって。

 私がおめでたいのでしょうか。
 でも、今日は勝って本当におめでたいです。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。




<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(のれん代の償却)
2.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(のれん代の償却)
★★★★★★★★★★★★★★★★★

 あまりメジャーなニュースではないですが、今日は、関東つくば銀行と茨城銀行の
経営統合が見送りになった件について見てみましょう。

 えっ、そんなことが報道されていたのかとか、そもそも関東つくば銀行と茨城銀行
の合併の話があったのかと言われそうな気もします。

 今でこそ景気が回復し、銀行も決算内容を心配する必要がなくなりましたが、1年前
までは、まだペイオフの全面解禁ができずにいました。

 そのため経営再建にやっきになっていた銀行も多かったのです。関東つくば銀行と
茨城銀行も、経営を改善するため経営統合する予定でいました。

 ところが、その合併が急に見送りになったと発表になったのです。

 金融庁のホームページに掲載されている記者会見の模様を見てみます。

<記者会見概要(3月13日)>

 (記者の質問)
 先週金曜日、関東つくば銀行が茨城銀行との合併見送りを発表しました。両行の合
併は、金融機能強化法に基づき合併時に公的資金を注入する第一号として注目された
ものですが、発表は関東つくば銀行から突然一方的に行われたもので、茨城銀行側は
損害賠償請求も視野に入れているようです。長官としては、こうした経緯も踏まえて
この問題についてどの様に考えておられるのか。

(金融庁長官)
 先週金曜日10日に関東つくば銀行が茨城銀行との経営統合を見送る旨の発表を行わ
れたこと、そして、同日茨城銀行が当該経営統合の見送りには合意していない旨述べ
られたということを承知しております。更に、茨城銀行は本日経営統合に向けた今後
の協議を中止することを公表したと聞いております。
 
 一般論で申し上げることになりますが、経営統合というのはすぐれて銀行経営者の
経営判断の問題でありまして、それぞれの銀行経営者の誠意と責任のある対応が重要
であると認識しています。特に経営統合というのは当事者間の合意と共通認識が重要
でありまして、当事者間の適切な意思疎通が欠かせません。一旦合意をし、且つ発表
をした統合を見送るというのであれば、経営統合に合意できないということについて
双方が合意をする、その上で発表をするべきものであろうと考えます。

 

 どうも、金融庁長官の答弁からしても、関東つくば銀行と茨城銀行の意思疎通が巧
くいっていなかったことが想像されます。

 茨城銀行の頭取も「事前に説明がないまま合併見送りを発表された。合意していた
わけではない」と述べ、相手方を批判しているようです。(日経、3月14日)

 でも、どうして関東つくば銀行側は合併の見送りを決意したのでしょうか。

 関東つくば銀行側は、「のれん代の償却が一番の争点になっていた。初年度から減
損処理が必要となる合併が認められるかどうか両行の法解釈が分かれていた」として
います。

 のれん代? 一体何のことでしょう。
 のれんは、営業権ともいいますが、同業他社の一般的な収益力と比べた際の超過収
益力を資産化したものと言えます。

 えっ、何のことか分からないって?

 要するに、貸借対照表に表れる個々の資産の価値の合計よりも、総体としての会社
の価値が上回る部分をいいます。
 例えば、ブランドイメージとか、ノウハウとか、或いは立地条件、経営陣や従業員
の能力などのことです。これらは、土地や建物或いは商品や在庫といった棚卸資産な
どと異なって通常貸借対照表には計上できません。

 しかし、企業の総体としての価値は、そうしたものを抜きには評価はできないので
す。そうなると、個々の資産の価値を合計したものよりも、市場で投資家がつける株
価によって評価される総体としての企業の価値の方が上回ることが一般的になりま
す。

 こうしたのれん(営業権)は、無形固定資産ですが、自己創設のれんの禁止といっ
て、通常は貸借対照表には現れません。何故ならばその評価が主観的になりがちでも
あるからです。

 しかし、企業が合併するときに、買収金額(被買収企業の株主に交付される株式の
価値)が被買収企業の純資産の額を上回るときには、その超過額を営業権として計上
しなければなりません。それがのれんということになります。

 ただ、保守主義的な考えによれば、のれんは、実態が不確かなものであって、一定
期間において償却すべきものとされているのです。

 両行は、そもそも2004年11月に経営統合の方針を発表し、今年の7月に合併する予定
でした。しかし、関東つくば銀行によれば、昨年末の暫定的な合併比率で新銀行の財
務状態を算定したところ、「のれん代」が、当初の50億円から400−500億円に増加す
ることが判明したとされています。

 仮に、500億円を20年で償却することになると、年間25億円ほど利益が落ち込む要因
になるということです。そうなると自己資本の拡充が困難になることも予想されま
す。

 では何故のれん代が当初見込みよりも増加することになったかと言えば、合併を決
定した一昨年11月時点で750円だった関東つくば銀行の株価が、今年2月末で2300円台
にまで急騰したからです。

 これが、合併を見送ることとした理由だというわけです。 株価が当初の水準であ
ったならば、のれん代は50億円程度にとどまるので、毎年の償却は2.5億円で済むは
ずだったのが、それが25億円に増えたというのです。

 しかし、その理由が株価の回復にあるのであれば、そもそも銀行の経営内容が改善
してきている証であるので、悪い材料ではないと考えることもできます。また、それ
だけ税金を納めることを免れるとも考えることができるのですが‥。

 また、そもそも合併比率を見直して、茨城銀行の株主に交付する株数を減らし、の
れん代を圧縮すればいいのではないかという疑問が生じます。それは出来ない相談だ
ったのでしょうか。

 いずれにしても、今回の一件、銀行らしからぬ出来事のようにも思えます。



 以上





=====
編集後記
=====

 本日は、のれんという分かりにくい話で恐縮です。

 ところで、アメリカの野球のジャッジですけど、フェア精神についてどのように考
えているのでしょうか。
 フェア精神を大切にする国と教えられてきましたが、疑わしいものですね。
 
 明日はどうなるでしょうか。



 次回まで


===========================
  経済ニュースゼミ  (第170号)      2006年3月17日
===========================



こんにちは、seijiです。
本日はいい天気ですが、お花見ももうすぐですね。

ところで、テレビでは、フジテレビからライブドアの株を買い取ったユーセンの社長
さまのことで持ちきりです。
会社として株を購入するのではなく、個人として買うのですから必要以上に注目を集
めるのも当然でしょうか。しかも、100億円近くの買い物ですから。
さらに、見てくれもいいところが、テレビが注目する理由の一つでしょうね。

ただ、ライブドアの筆頭株主はホリエモンなのですよね。で、その本人は、粉飾決算
を行い多くの投資家を欺いたとして糾弾されている最中なのですよね。

ということは、ホリエモンの支援を行なうことにもつながることになり、釈然としな
いものが残るのですがいいのでしょうか。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。




<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(需給ギャップ)
2.本日の経済用語(三利源)
3.試験に出ない経済学(消費者理論)
4.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(需給ギャップ)
★★★★★★★★★★★★★★★★★

 日銀が量的緩和政策を解除し、今度はゼロ金利政策の解除はいつになるのかが注目
を集めています。

 これに対し、日銀総裁は、まだまだそういうことを議論するのは時期尚早として予
防線を張っているようですが、しかし、物価が上昇するようであれば、日銀の考えが
どうあれ、ゼロ金利の解除も時間の問題となります。

 ところで、政府の一部は、まだデフレから脱却したとは言えないと言う理由で量的
緩和政策の解除にも反対だったわけですが、ここに来てデフレ脱却のデータがそろい
つつあるようにも見えます。

 「需給ギャップが解消 昨年10−12月、8年ぶり」とあります。(日経、3月17日)

 デフレの要因だった需給ギャップが2005年10−12月期に解消されたのです。

 需給ギャップとは、日本経済の供給と需要の差だとあります。それはそうでしょう
ね。しかし、どのようにしてそれを計測するのでしょうか。それについては、国内の
工場設備や労働力をフルに稼動させたと仮定して生まれる潜在的GDPと実際のGDPを比
べるとあります。

 その需給ギャップについて、1990年以降の動きを追ってみると、1990年代の初めに
は2−3%の供給不足だったのが、その後ほぼ一貫して需要不足となっていたのです。
正確にいえば、1997年1−3月期に供給不足になっていますが、それは、消費税率引き
上げと言う特殊要因によるものだとされています。ですから、実質的には13年ぶりの
需給ギャップ解消ということです。

 こうなると、物価の上昇も一時的なものではなく、今後じわじわと物価が上昇して
いくことが予想されます。

 最近は、「自動車、電機大手などの賃上げが5年ぶりに復活した」というような明る
い記事が目に付きますが、パートについても、賃上げ増額相次ぐとされています。
(日経、3月17日)

 そうしたことを先取りしてか、デフレの象徴のようにみられていたユニクロでは、
一部中心価格が上昇しているとのことです。例えば、2990円という価格が3990円とい
う価格に移行するようなケースです。また、衣料品専門店の売上をみても、2005年の
販売額は、約9兆6千億円で、14年ぶりで前年を上回ったとされています。もっとも増
加幅は、0.26%ですが。

 政府は今後、デフレの定義を見直し、物価、需給、賃金の3項目を軸に判断する考え
とされています。



以上


============
本日の経済用語(三利源)
============

 三利源って何か知っていますか。
 生命保険会社の利益の源になるもので、それが3つあるということです。
 具体的には、死差損益、費差損益、利差損益です。

 死差益は、想定した支払い保険金と実際の支払保険金の差です。寿命が延びると、
保険会社は想定していた保険金の支払いが少なく済み、儲かる仕組みになっていま
す。
 費差損益は、予定していた事業費用と実際の事業費用の差です。
 利差損益は、契約者に約束した予定利率と実際の運用利回りの差です。近年の我が
国は未曾有の低金利状態となっているので、運用利回りが低くなっていると言われて
います。

 では、実際の額をみてみましょう。2004年度の生保全社ベースの計数があります。
 それによると、死差損益は、全社で約2兆8000億円、費差損益は約6300億円、利差損
益は、▲約8700億円とされています。

 やっぱり、ゼロ金利が続く環境下では資金運用が難しいのですね。

 ところで、この三利源は、これまで公表されていませんでしたが、明治安田生命保
険が初めて開示する検討に入ったとされています。(日経、3月17日)

 明治安田生命は、死差益を増やそうとして、本来支払わなくてはいけない保険金を
支払わなかったとして業務停止処分を受けています。そうした処分を早く解除しても
らいたいための決断でしょうか。


 

 以上



==================
試験に出ない経済学(消費者理論)
==================

【佳子】
 今期と次期の所得の合計を如何に期間配分して消費するかということでしょう?
【研一】
 そのときに利子率が関係してくると。
【中洲先生】
 そういうことだね。
【研一】
 で、利子率がゼロならば、今期と次期の消費は同額にするときに効用が最大になる
と。
 そして、利子率が高くなればなるほど今期の消費が少なくなり、次期の消費が多く
なるのですよね。


【佳子】
 そこのところが分かりにくいのよね。
【中洲先生】
 分かりにくい?
【佳子】
 例えば、今期は所得があり、次期には所得がないという前提条件で、効用を最大に
することを考えるとしますよね。
 その場合、利子率が高い場合には、今期の消費を抑え、次期の消費のために多くを
蓄える必要があるように見えるじゃないですか。
 しかし、そうじゃないのでしょ?
【中洲先生】
 そういうことね。
【研一】
 どういうこと?


【佳子】
 例えば、今期100の所得を得たとし、それを今期と次期の2期で消費するとするよ
ね。そして利子率が20%とするとどうなる?
【研一】
 今期の消費をC(今期)、次期の消費をC(次期)とすると、
 U=C(今期)・C(次期)=C(今期)・(100−C(今期))・1.2となるから‥、

で、C(今期)をXと置くと、
 U=C(今期)=X・(100−X)・1.2
       =−1.2・X(2乗)+1.2・100・X

Uを微分すると、−2.4X+120=0
ということで、X=50
今期の消費は50になるね。
あれっ、これでいいのかな。
【佳子】
 ねっ、結局利子率が高くなっても、今期の消費は50なのよ。
【研一】
 これでいいのですか。
【中洲先生】
 いいんだよ。
【佳子】
 今期50消費して、50を蓄えておく。それに利子が付き、次期には60となる。結局、
利子率がどのような水準であっても、今期の消費は50で、次期の消費は、利子率に応
じて変化するだけということですよね。
【中洲先生】
 結局、異時点間の選択といっても、将来の所得や消費を現在価値に割り引くことが
中心となっているということだね。


【研一】
 話は変わりますが、今期と次期の所得を期間配分するというのは、一定の所得を二
つの財の消費にどのように配分することが適当かという考え方に似ていますよね。
【佳子】
 何それ。
【中洲先生】
 例えば、一定の所得をX財とY財の消費に充てるとして、どのような選択肢があるか
ということだけど。
【佳子】
 ピンとこないけど。
【中洲先生】
 10万円持っていたとして、それを食べ物と着るものに使うとき、佳子ちゃんならど
のように配分するかということだね。
【研一】
 お酒とビールでもいいですか?
【中洲先生】
 それでもいいけど、そんなに沢山お酒やビールを飲むのかい?
【佳子】
 だけど、10万円をどう使うかと言われても、そのときの気分で違うのじゃないか
な。買いたい洋服があるときには、そっちにお金を使うだろうし‥。    


【中洲先生】
 それはそうだけど‥、一般的に考えて、使うことができるお金が多い方が、効用は
高まることは認めるよね。
【佳子】
 それはそうだけど。
【中洲先生】
 現実は、欲しいものは沢山あるけど、お金が限られているので手に入れられないも
のがあり、十分に満足することができないと。
【佳子】
 使えるお金の額が満足度を決めるということ?
 なんか、虚しい考え方ね。
【中洲先生】
 お金が全てではないけどね。一般的には、お金がものをいうからね。
【佳子】
 話を進める上で、そのことを認めるとして‥、だとするとどうなるの?
【中洲先生】
 X財の価格をPx、X財の数量をXとする。そして、Y財の価格をPy、Y財の数量をYとす
る。使えるお金をMとする。
 そうすると、どんな関係式になる?
【研一】
 Px・X+Py・Y=Mとなりますよね。
【佳子】
 それはそうだけど。
【中洲先生】
 その関係式で示される線分を予算線というのだけどね、どういう財の組み合わせを
選んだときに効用が最大になるかを考えるんだけど。


次回に続く



=====
編集後記
=====

 野球は韓国に負けてしまいましたが、アメリカがメキシコに負け、日本の準決勝進
出が決まりました。

 そうなると、三度韓国との対決です。
 それにしてもドラマチックな展開ですね。

 では、次回まで


★★★★★
お知らせ
★★★★★

 コラムニストのseijiは、講演会の講師や各種勉強会等の講師をお引受することにし
ました。お話の内容は、この経済ニュースゼミで書いてきたことなどですが、特に限
定しません。
 もし、直接私の話を聞いてみたいとお思いの方がいらっしゃったら、気軽にご連絡
下さい。
 講演料等はご相談に応じさせて頂きます。

 連絡先
 cute@columnist-seiji.com


===========================
  経済ニュースゼミ  (第171号)      2006年3月20日
===========================



 こんにちは、seijiです。
 ボーダフォンをソフトバンクが買収ですか。それにしても1兆7500億円という買収額
は、想像もつきませんね。

 新聞報道によりますと、ソフトバンクの孫さん、足元を見られたというようなこと
を書かれていますが、孫さん、損しないのでしょうか。

 孫さんだけに、まごまごしたくなかったのでしょうか。

 つまらない駄洒落ですみません。

 ところで、ボーダフォンですが、私は、ひょんなことからボーダフォンのユーザー
になりました。当時はJフォンといっていましたが、その頃の方が調子はよかったよ
うですね。名前を変えてからよくありません。それに社長も変わりましたし。

 以前はダリルE・グリーンという人が社長でしたが、明るい若い経営者という雰囲
気でした。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。





<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(名目成長率と長期金利)
2.本日の経済用語(インフレ目標と目安)
3.試験に出ない経済学(消費者理論)
4.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(名目成長率と長期金利)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 財政再建を考えるに当たって、名目成長率と長期金利の関係について、関心が集ま
っています。

 我が国は、国と地方を合わせると2006年度末で775兆円にも上る長期債務残高を抱え
ると見られています。このため、財政再建が急務であり、しかも、自分が在任中は増
税はしないと言ってきた小泉首相が9月で交替することから、増税が現実のものになろ
うとしています。

 しかし、政府部内においては、大幅な増税は避けられないとする見方と、小幅な増
税で財政再建が可能だとする考え方があります。

 前者は、谷垣大臣や与謝野大臣の立場であり、後者は竹中大臣の立場です。

 では、どうしてそのような考え方の相違が生まれるのでしょうか。

 それは、竹中大臣は、名目成長率は長期金利を上回ることを前提とすべきだと考え
るのに対し、与謝野大臣は、長期金利の方が名目成長率を上回ることを前提とすべき
だと考えるからです。

 ところで、長期金利とは、政府が発行する国債の金利と置き換えることができま
す。そして、名目成長率は、税収の伸びに置き換えることができます。

 そうすると、税収の伸びの方が国債の金利の支払額の伸びを上回るということは、
それだけ借金残高が減少していくことを意味します。ということは、逆の場合には、
借金残高が増加するということです。このため、竹中大臣は、大幅な増税をしなくて
も、経済が順調に成長すれば、財政再建は可能だと考えているものと思われます。

 それでは、名目成長率と長期金利は、どのような関係にあるのでしょうか。
 ここ3年間ほどのデータをみると、名目成長率は、おおむね0%−2.5%程度の範囲に
あるといえます。それに対し、10年もの国債の流通利回りは、1.3%−1.6%程度の範
囲にあります。

 このデータからは、名目成長率と長期金利の水準は同程度だということでしょう
か。

 それでは、少し長期的な観点から見てみましょう。過去40年間ほどに渡ってみてみ
ると、1970年台半ばごろまでは名目成長率のほうが大幅に上回っており、その後バブ
ル崩壊以降は、名目成長率の方が長期金利を下回る水準にあるように見えます。

 では、何故、昔は名目成長率の方が長期金利を大きく上回っていたのでしょうか。
 それは、一つには、戦後の高度成長期の過程にあって、成長率がおおむね高かった
反面、金利は規制の対象とされ、人為的低金利政策が採られていたことが原因と考え
られます。

 ところが、1970年代後半から国債の本格的発行が始まり、それに金利の自由化が重
なったことで金利がより伸縮的に変動するようになり、長期金利と名目成長率の関係
が逆転したものと思われます。特に最近に至るまでは、不況が長引き、名目成長率が
長期金利を下回る時代が続いていました。

 以上からすれば、今後仮に経済が順調に回復し、高めの成長率を達成することがで
きたとしても、それに伴い金利が上がることになると予想され、かつてのように名目
成長率が長期金利を大幅に上回ることはなさそうに思えます。従って、名目成長率が
長期金利を上回ることを前提とするシナリオは説得力がなさそうに思えます。

 この結論を聞くと、そうなると大増税の時代が始るのかと悲嘆にくれる人が出てく
るかもしれません。

 しかし、仮に名目成長率が長期金利を上回ったとしても、それが高めの物価上昇率
の結果であるとすれば、貨幣の購買力が減少する訳ですから、その意味で税金を掛け
られたと同じ結果になってしまうのです。

 増税を回避でき、かつ増税と実質的に同じ意味をもつインフレをも回避できるの
は、これまでの予想を超えた高い実質成長が実現できる場合のみなのです。



以上


==================
本日の経済用語(インフレ目標と目安)
==================

 米国のバーナンキFRB議長は、インフレ目標値の支持者だということで、米国でもイ
ンフレ目標値がいずれ採用されるのではないかと言われています。

 インフレ目標値は、英国やニュージーランドなどで採用されています。

 我が国では、最近では、量的緩和政策解除を期にインフレ目標値を採用すべきでは
ないかとの意見が出されました。しかし、日銀はインフレ目標値の採用には至りませ
んでした。ただ、物価について何も注意を払わないわけではないという証を示すため
に、「目安」を発表しました。消費者物価指数が0−2%までの範囲にあるという見通
しを示しています。

 ところで、インフレ目標値と似ているものにインフレ参照値というものがありま
す。インフレ目標値ほどに拘束力が強いものではなく、参照値と呼ばれているよう
で、ユーロ圏の欧州中央銀行が採用しています。

 インフレ目標値の制度は、物価上昇率の範囲を設定し、それが実現するよう金融政
策が発動されるシステムとなっています。インフレ回避を最優先し、裁量的な政策が
採られることがなくなります。従って、政治家も口出しできないどころか、中央銀行
の総裁の裁量も制限される訳です。

 それに対し、インフレ参照値の制度は、物価上昇率の範囲が設定されますが、あく
までも参照値にとどまり、政策の裁量権は確保されます。

 目安は、単に物価の見通しを述べたにとどまります。

 ところで、そもそも中央銀行の制度は、放漫な財政運営によって何度もインフレを
経験した過去の苦い経験を踏まえて発足したもので、インフレの回避を最優先課題と
します。そして、インフレ目標値の制度は、中央銀行の制度の延長線上にあると理解
できます。

 しかるに、我が国においては、インフレを回避することではなく、マイルドなイン
フレを起こすためにインフレ目標値を設定すべきだと主張されているところに理解が
困難な原因が潜んでいると思います。


以上




==================
試験に出ない経済学(消費者理論)
==================

【研一】
 Px・X+Py・Y=Mとなりますよね。
【佳子】
 それはそうだけど。
【中洲先生】
 その関係式で示される線分を予算線というのだけどね、どういう財の組み合わせを
選んだときに効用が最大になるかを考えるんだけど。
【研一】
 予算線というのはグラフではどのように表されるのですか。
【中洲先生】
 縦軸をYの消費量、横軸をXの消費量とするんだよ。そうすると、
 Px・X+Py・Y=M の式は、どのようになる?
【研一】
 Px・X+Py・Y=Mでしょう。
 だから、Py・Y=M− Px・X
 で、    Y=(M− Px・X)/ Py
  Y=−Px / Py・X +M / Py
【中洲先生】
 そうだね。
 傾きが−Px / Pyで、縦軸との切片がM / Pyとなる直線だね。傾きがマイナスになっ
ているので右下がりだけど。
 横軸と交わるのは、どの地点かな?
【佳子】
 横軸と交わるのは、Yがゼロのときだから、
 Y=−Px / Py・X +M / Py=0ということだから、
 Px / Py・X =M / Py
       X =M / Py・Py / Px
        =M/ Px

 M/ Pxのところですね。


【中洲先生】
 そうだね。
 ところで、この直線が意味するところは?
【研一】
 縦軸がYの消費量でしょ。それをYの価格で割ったもの、即ち、Mという予算でYを購
入できる個数ということですよね。そして、横軸がXで、Xの消費量は、Xの価格で割っ
たものということになります。


【佳子】
 何か難しそうだけど、当たり前のことですよね。
 10万円持っていて、1着2万円のスーツと1回1万円のレストランの食事に使う組み合
わせっていうことでしょ。
 Yがスーツだとすれば、最大、10万円割る2万円で、5着まで買えるし、レストランの
食事は最大10回まで行けると。
【研一】
 じゃあ、スーツを1着買うと、残りは8万円だから、食事は8回となり、スーツを2着
買うと、残りは6万円となり、食事は6回ということだね。
 で、佳子ちゃんはスーツを何着買うの?
【佳子】
 そんなこと急に言われてもね。


【中洲先生】
 確かに、急に聞かれると困るよね。
 だけど、最低限言えることがあるだろう。
【佳子】
 それは、スーツにしても食事にしても多ければ多いほどいいということですよね。
しかし、総額で10万円という枠があって‥、だから、どう使うかよく考えなくちゃ
いけないということ?


【中洲先生】
 さあ、どういう組み合わせがいいのだろう?
 じゃあ、研一君の選択したビールとお酒で考えてみようか。
【研一】
 ビールとお酒ですか?
【中洲先生】
 友達と居酒屋にいってお酒とビールを飲むことにしよう。予算は5千円だ。どうす
る?
【研一】
 といっても、居酒屋にいくと、普通、料理も頼みますけど‥。
【中洲先生】
 じゃあ、その料理は先生がご馳走するとしよう。
 研一君は、お酒とビールについて心配してくれ。
【研一】
 私は、最初はビールで乾杯といきたいですね。
 で、もう一本くらいビールかな。その後お酒かな。
【佳子】
 最後まで、ビールで通さないの?
【研一】
 ビールは好きだけど、ビールばかりだとなんだから。
【佳子】
 じゃあ、最初からお酒を頼めば?


【中洲先生】
 じゃあ、シチュエーションを変えて、お花見に行ったとしよう。ところが、研一君
のグループは、お花見にビールとお酒をもって行くつもりが、ビールを持っていくの
を忘れたとする。しかし、お酒は沢山持っていったとする。そのときどうする?
【研一】
 しようがないから、隣のグループに、お酒とビールを取り替えてくれないか交渉し
ますね。
【中洲先生】
 ところが、そのグループが君たちの足元をみてね‥、なかなか交換に応じようとし
なかったらどうする?
【研一】
 最初はやっぱり、ビールで乾杯したいので、相手方に渡すお酒の量を多めに出して
でもビールに交換してもらうかな。
【中洲先生】
 そうだよね。そして、仮に、1人一本だけ缶ビールを確保できたとするよね。
【研一】
 缶ビール1本だとまだ足りないかな‥、もう1本位飲みたいですね。
【中洲先生】
 ということで、また、隣のグループと交渉することになる。しかし、今度は既に一
本缶ビールを飲んで少し満足しているので、最初ほどは交換して欲しいとは思わなく
なるかもしれないよね。
【研一】
 いや、2本目までは欲しいな。
 3本目は交換しなくてもいいかもしれないけど。
【佳子】
 先生、それ一体何の話?
 お花見の話が経済と関係があるの?
 それにお酒の話ばかりして。



次回に続く




=====
編集後記
=====
 韓国との対戦は、感動しましたね。瞬間視聴率が50%を超えていたそうです。
 もうこれで十分な気もしますが。

 雨も降って途中試合がストップし、多くの日本人にとって思い出深い試合になった
と思います。

 明日は伸び伸びやってください。






★★★★★
お知らせ
★★★★★

 コラムニストのseijiは、講演会の講師や各種勉強会等の講師をお引受することにし
ました。お話の内容は、この経済ニュースゼミで書いてきたことなどですが、特に限
定しません。
 もし、直接私の話を聞いてみたいとお思いの方がいらっしゃったら、気軽にご連絡
下さい。
 講演料等はご相談に応じさせて頂きます。

 連絡先
 cute@columnist-seiji.com


==========================
  経済ニュースゼミ  (第172号)      2006年3月22日
==========================



 こんにちは、seijiです。

 昨日のワールド・ベースボール・クラシックに日本中が湧きかえりました。皆応援
していたのでしょうね。

 諸君はすばらしい、という王監督の言葉も胸を打ちました。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。




<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(需給ギャップとテーラー・ルール)
2.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(需給ギャップとテーラー・ルール)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 先日、需給ギャップが解消というニュースを紹介したばかりですが、昨日の日経
は、また需給ギャップ解消の記事を掲載しています。(日経、3月21日)

 「脱デフレ さらに一歩」、「需給ギャップ8年ぶり解消」とあります。内閣府が20
日、デフレの要因だった日本経済の需給ギャップが昨年10−12月期にプラス0.7%とな
ったことを発表したためです。

 ここで、需給ギャップについて復習しておきましょう。

 日経の解説によると、需給ギャップとは、「日本経済全体で見た供給と需要の差を
表す。国内の生産設備や労働力を最大限に稼動させたと仮定して生まれる潜在的な国
内総生産(GDP)と実際のGDPを比べる」とあります。

 供給は、潜在的なGDPで置き換えることができ、需要は実際のGDPで置き換えるとい
うことですね。

 しかし、ここで「あれっ」と思う人がいるかもしれません。以上のような定義であ
れば、需給ギャップがプラスになったということは、潜在能力を上回る生産を行なっ
たということになるが、そういうことが可能なのかということです。
 
 日経さんには悪いですが、説明の仕方が不十分ですね。
 生産設備や労働力を最大限に稼動させたと仮定するとしていますが、内閣府などが
潜在的なGDPを試算する際には、失業率3%、設備稼働率は95%などの状態を「最大
限」の状態とみなしているのです。

 従って、実際のGDPが潜在的なGDPを超えることが可能になるのですね。
 
 マンキューさんの経済学の教科書をみても、「GDPギャップは、実質GDPの自然率の
推計値に対する現実の実質GDPの不足分をパーセント表示したもの」とされています。
つまり、完全雇用に対応するGDPが潜在GDPになるわけですが、完全雇用とは、失業者
が1人もいない状態ではなく、今の実質賃金の下では働きたくないという失業者は存在
しているのです。このように定常状態における失業率を自然失業率と呼びますが、そ
れが3%程度だと見込んでいるということです。

 ところで、その需給ギャップですが、需給ギャップが解消したことで、日経は、
「デフレ脱却に向けて一歩進んだ形だ」と解説している訳ですが、政府自身もデフレ
の定義を見直し、物価、需給、賃金の3項目を軸に判断するとしています。

 確かにデフレといえば、物価が下落している状態を直ぐに想起しますが、需給ギャ
ップ等についても考慮に入れて判断することが適当だということですね。

 そうなると、必然的にゼロ金利の解除時期についても、この需給ギャップが影響を
及ぼすということになりそうですが、これは何も目新しいものではなく、米国では、
テーラー・ルールとして定着しているものです。

 テーラー・ルールとは、連邦準備制度理事会がフェデラルファンド・レート(日本
コールレートのようなもの)の誘導目標値を決める際の考え方について、経済学者の
テーラーが提案したもので次の算式で表されます。

 FF金利=インフレ率+2.0+0.5×(インフレ率−2.0)−0.5×(GDPギャップ)


 このGDPギャップが需給ギャップのことです。

 ちなみに、FF金利を日本の無担保コール翌日物に置き換えて試算してみると、仮に
インフレ率が0.5%、GDPギャップがゼロという前提ですと、

 金利=0.5+2.0+0.5×(0.5−2.0)
   =0.5+2.0−0.75
   =1.75%

 ということになる計算です。

 米国の場合には、インフレ率が2.0%で需給ギャップがない場合には、上記の算式か
ら導き出される答えは4%ということになり、4%程度が中立的なFF金利水準になりそ
うです。




以上




======
編集後記
======
 今日は、時間の都合で「経済ニュース解説」だけです。

 ところで、まぐまぐの今秋の旬マグとして「経済ニュースゼミ」が紹介されました
が、量的緩和政策解除が家計に与える影響については、3月8日配信分に掲載されてい
ますので、関心のある方はバックナンバーをお読み下さい。

 では、また次回まで。







★★★★★
お知らせ
★★★★★

 コラムニストのseijiは、講演会の講師や各種勉強会等の講師をお引受することにし
ました。お話の内容は、この経済ニュースゼミで書いてきたことなどですが、特に限
定しません。
 もし、直接私の話を聞いてみたいとお思いの方がいらっしゃったら、気軽にご連絡
下さい。
 講演料等はご相談に応じさせて頂きます。

 連絡先
 cute@columnist-seiji.com


==========================
  経済ニュースゼミ  (第173号)      2006年3月24日
==========================



 こんにちは、seijiです。

  福岡は、昨日開花宣言がなされました。ぼちぼち咲き始めたようですが、皆様のと
ころは如何でしょうか。

 でも、夜の花見は冷えることもあるので、風を引かないように、また飲みすぎない
ように注意して下さい。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。



<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(地価が上昇)
2.今日の経済用語(配当所得、利子所得)
3.試験に出ない経済学(無差別曲線)
4.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(地価が上昇)
★★★★★★★★★★★★★★★

 23日、公示地価が公表になりました。「3大都市圏、商業地が上昇」とか「東京都平
均 15年ぶりプラス」と書かれています(日経、3月24日)ので、とうとう地価が反転
したかとお思いの方も多いと思いますが、全国ベースでは、まだ下落が続いています。

 詳しく見てみましょう。

 まず、東京都はどうかというと、住宅地0.8%、商業地2.9%、全用途1.4%と完全に
反転しています。従って、東京都に関しては、完全に地価が上昇に転じたと考えてい
いわけです。
 但し、東京都ではなく、東京圏としてみると商業地は、1.0%ですが、住宅地は▲
0.9%となっています。

 大阪圏、名古屋圏は、商業地はプラス、住宅地はマイナスという状況です。三大都
市圏全体では、商業地1.0%、住宅地▲1.2%となっています。

 では、地方圏ではどうなっているでしょうか。
 地方圏では、住宅地▲4.2%、商業地▲5.5%と引き続き、相当な下落が続いていま
す。

 こうした結果、全国平均をみると、住宅地▲2.7%、商業地▲2.7%となっていま
す。

 従って、全国的には、住宅地及び商業地とも数パーセントの下落が続いているが、
大都市圏では商業地がプラスに転じ、また、東京だけに限れば、住宅地でもプラスに
転じており、他方で、地方圏では、引き続き下落が続いているということです。

 ところで、全国の民有地の資産総額は、03年末時点で約1100兆円に上るといいます
から、GDPの2年分ということです。そして、そのうちの6割程度が3大都市圏を占めま
すから、3大都市圏のウエイトは、GDPに占める民間消費支出に相当するものと考える
ことが出来ると思います。そのように考えると、3大都市圏の動向には大きな意味があ
ります。

 なお、最近の地価の上昇について、バブルが再燃したのではないかとの指摘がなさ
れることがありますが、今回の地価の上昇は、収益性(賃料)を反映した適切なもの
であるから、過去のバブル時とは事情が違うと説明されるのが一般的です。

 しかし、今回土地を評価した土地鑑定委員会によれば「収益性を離れた価格形成が
なされた事例も見られる」と指摘しており、注意が必要です。

 そうしたことも勘案するならば、先日の量的緩和政策解除の決定も決して早すぎた
とは言えないかもしれません。


 以上




==================
今日の経済用語(配当所得、利子所得)
==================

 配当所得は、保有株式から得られる所得です。
 その家計の得た配当所得が、04年度は、4兆9千億円であって、05年度は6兆円に迫る
とあります。なお、03年度は3兆5千億円だったとされていますから、企業業績の回復
と、昨年のニッポン放送株争奪戦の影響が大きかったのでしょうか。

 では、預金や国債などから得られる利子所得はどの程度あるのでしょうか。
 04年度の家計の利子所得は、4兆5千億円とあります。ピークは、91年度に38.5兆円
あったとされていますが、その後一貫して減少しています。随分と落ち込んだもので
す。



以上






================
試験に出ない経済学(無差別曲線)
================

(この「試験に出ない経済学」はシリーズものですので、時々バックナンバーをご覧
になって下さい)


【研一】
 お花見のシーズンは、花冷えといって寒くなることも多いけど、最初はビールで乾
杯しなくちゃね。
【佳子】
 だから、それと経済学と何の関係があるの?
【中洲先生】
 研一君は、どんなに寒くても最初はビールを飲みたいといっているだろう。
 でも、ビールを買うのを忘れちゃったんだよね。
 そういうときは、ビールを手に入れるために他のグループが持っているビールと交
換することを考えるよね。
 ビールがどうしても欲しければ、他のグループに渡すお酒の量も必然的に多くなる
けど、しかし、その後はビールを入手するために相手方に渡すお酒の量が減ってくる
よね。
【佳子】
 それは、最初はビールがよくてもその後は、熱燗か焼酎のお湯割なんかを飲みたく
なるということでしょ。
【中洲先生】
 つまり、ビールの価値をお酒の量で表すと、ビールの消費が増えるほどビールの価
値は下がってくるということになるよね。
【佳子】
 どうして?
【研一】
 だって、最初は缶ビール1本を入手するのにお酒のワンカップが3本必要だったの
が、次にはワンカップ2本になり、その次には1本になるというように‥。


【中洲先生】
 こういった関係を限界代替率逓減の法則というのだけど。
【佳子】
 限界代替率?
【中洲先生】
 ある財を追加的に取得するときの、その対価として提供しなければいけない他の財
との交換比率のことだね。
【佳子】
 逓減ということは、それが少しずつ少なくなるということ?
【中洲先生】
 そうだよ。
【佳子】
 少ししかないと効用が高く、量が増えると効用が減少するということ?
 だとすると、ビール一缶200円、ワンカップ200円と仮定して、1200円の予算で最も
満足度の高い組み合わせというのは、特定できるのかしら。
 研一君は、どういう組み合わせで買う?
【研一】
 僕は、ビールが2缶、ワンカップが4本という組み合わせがベストだな。
【佳子】
 じゃあ、ビールが1缶、ワンカップが5本というのと、ビールが3缶、ワンカップが3
本というのは?
【研一】
 ビールが1缶、ワンカップが5本というのは、まあまあだけど、ビールが缶、ワンカ
ップが3缶というのは、あんまりね。
【佳子】
 ビールが4缶、ワンカップが2本だったら。
【研一】
 それは、よくないね。
【佳子】
 でも、全て1200円使っているんだよ。
【研一】
 ワンカップは、どうしても4本近く飲みたいからね。
 どうしてもワンカップが2本にまで減らされるのなら、ビールは6缶くらいは欲しい
な。
【佳子】
 そうなると、予算は1600円もかかっちゃうよ。
【研一】
 だから考えて買い物しなくちゃね。


【中洲先生】
 同じ水準の効用をもたらす財の組み合わせからなる線分を無差別曲線というのだけ
ど、限界代替率逓減の法則が働くと、無差別曲線は原点に対して出っ張った形となる
んだよ。
【佳子】
 へー、出っ張るの?
【研一】
 出っ張っているところは、原点に近いから、それだけ予算が少なくて済むというこ
とですか?
【中洲先生】
 無差別曲線は、同じ水準の効用をもたらす財の組み合わせだけど、それが曲がって
しまうと、予算線と重なることがないということだから、同じ水準の効用をもたらす
といっても、それぞれ予算が異なると言うことになる訳だ。
 そもそも二つの種類の財を購入するためには予算の制約があったよね。
【佳子】
 予算線というやつでしょ。
【中洲先生】
 予算線は、どういう形をしていた?
【研一】
 右下がりの直線でしたけど。
【中洲先生】
 直線だよね。
 で、同じ水準の効用を示す財の組み合わせからなる線分は、原点に対して凸型にな
る。ここがポイントだね。


【佳子】
 まだ、ぴんとこないけど。
【中洲先生】
 無差別曲線は、どの地点でも効用が同じということだけど、その無差別曲線が凸型
ということは、それぞれにかかる費用が異なるということだね。当然、原点から離れ
右上方に行くほど費用は多くかかる。
【佳子】
 ということは、その無差別曲線状の一番原点に近いところにある組み合わせが、最
も費用が安いということね。


【中洲先生】
 無差別曲線は、地図の等高線のように標準となる高さに応じて何本でも引かれるか
ら、予算線と接する無差別曲線を探し、その接している地点が最適消費点ということ
になるんだよ。
【研一】
 そういうことですか。

【佳子】
 だけど、限界代替率の法則が働かなかったらどうなの?
【研一】
 どういうこと?
【佳子】
 私の友達に、アルコールをこよなく愛する人がいて、ビールでもお酒でもなんでも
来いという人がいてね。ビールだけでもいいし、お酒だけでもいい、ちゃんぽんでも
いいわけよ。飲む量だけが問題なのよ。
【研一】
 ということは、最初にビールを飲もうと飲むまいと関係ないわけだ。
【佳子】
 最後にビールでもいいわけよ、その人。問題は量よね。
 だから、その人の無差別曲線というのは、曲線ではなく、直線なのね。無差別直
線。
 先生、この人の最適消費点は、どこにあるの。
【中洲先生】
 佳子ちゃん、答え分かっているんだろう?
【佳子】
 一応、聞いてみようかなって。
【研一】
 どこが最適消費点なのですか?
【中洲先生】
 どこでも同じということにとりあえずしとこうか。
 予算の制約の中で考えられる組み合わせがその無差別「直線」と重なれば、全てが
最適消費点。





次回に続く



=====
編集後記
=====

 日経の社長100人アンケートの結果が出ていますが、2006年度の設備投資の計画が、
「大幅に増額」が20.5%、「やや増額」が31.4%となっています。一方、「大幅に減
額」と「やや減額」は併せて10%にも達しません。設備投資に関するアンケートとい
うと、大抵控えめに答えるものですが、まだ2006年度に入っていないのにこれだけ多
くの割合が増額と答えるのも珍しいと思います。

 そうなると、景気回復が益々着実になり、物価も上がってくると思われます。
 また、人手不足感も35%にも達しており、このことからも物価が上がってくること
が予想されます。

 それでも、与党の金融政策小委員会は、インフレ目標導入を主張しているようです
が‥。


 では、次回まで。




★★★★★
お知らせ
★★★★★

 コラムニストのseijiは、講演会の講師や各種勉強会等の講師をお引受することにし
ました。お話の内容は、この経済ニュースゼミで書いてきたことなどですが、特に限
定しません。
 もし、直接私の話を聞いてみたいとお思いの方がいらっしゃったら、気軽にご連絡
下さい。

 
 連絡先
 メールアドレス  cute@columnist-seiji.com
 電話       092−751-1367
          小笠原誠治
          福岡市中央区大名2丁目


==========================
  経済ニュースゼミ  (第174号)      2006年3月27日
==========================


 こんにちは、seijiです。

 今週は少し寒くなりそうだとの天気予報でしたが、今日は、いい天気です。
 近くの公園を歩いてみると、早咲きの白っぽい桜はもう満開でした。そめいよしの
は、まだ三分咲き程度でしょうか。

 この時期になると散歩する人の数が増えますよね。皆桜の咲き具合に関心があるよ
うで、デジカメや携帯のカメラで写真をとる人も多いようです。

 今週の週末辺りがお花見のピークになるのでしょうか。

 ところで、足元には、タンポポが咲いています。タンポポには、桜のような華やか
さはありませんが、それでも一つ一つが可愛いいでしょうと自己主張しているように
も思えます。

 お堀も、ついこの間までは静まり返っていたのですが、今日は、鯉がばちゃばちゃ
と泳いでいるのが目に付きました。もう産卵のシーズンなのでしょうか。
 こっちの光景は、生命力のダイナミズムを感じさせられます。

 では、経済ニュースゼミを始めましょう。



<本日のメニュー>
1.経済ニュース解説(国の借金813兆円に)
2.経済クイズ
3.試験に出ない経済学(無差別曲線)
4.編集後記




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
経済ニュース解説(国の借金813兆円に)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 
「国の借金 813兆円に」とあります。(日経、3月25日)

 この記事の見出しをみて、おかしいのではと思われた方も多いかと思います。とい
うのは、国と地方公共団体とを合わせた長期債務残高は770兆円程度だと、いつもよく
報道されているからです。国の借金は、このうち600兆円ほどだったと思います。

 ということは、今回発表された数字は、通常発表されている数字よりも210兆円ほど
多いということになります。

 財務省のホームページをチェックしてみると、この計数には、短期国債(約50兆
円)や短期の借入金(約50兆円)および政府短期証券(約90兆円)も含まれているよ
うです。

 要するに、通常は「長期」の債務だけを発表していたのが、今回は「短期」の債務
も含めた数字だということです。


 いずれにしても、とてつもない額の借金になってしまったのですが、この先どうな
ってしまうのでしょう。今日は、このことについて考えて見ましょう。

 この借金、皆さんはどのように考えますか。予想される答えを挙げてみましょう。

(1)多額の借金を抱えることは不健全であり、可能な限りすみやかに解消すべきで
   ある。
(2)多額の借金を抱えていても、別にインフレになっているわけでもないし、国債
   の消化が困難になっているわけでもないので慌てることはない。

 先ず、基本的なスタンスとして、上の(1)と(2)のどちらを選択しますか。

 (2)を選択するというと、何か真面目に考えていないようで怒られそうだという
ことで、(1)を選択する人が多いでしょうか。
 
 テレビの討論会でも、最近では、学者などは消費税の引上げは避けられないという
意見が大部分を占めるようになっています。

 では、借金の残高を引き下げるには、どんな手段があるのでしょうか。ここでも、
予想される答えを想定してみましょう。

(1)消費税の大幅引き上げを実施すべきである。
(2)先ず、行政改革など無駄を除き、国が保有する資産の売却を進めるべきであ
   る。

 さて、最初の設問については、借金体質からの早期脱却を選んだ人でも、借金残高
を引き下げる手段として消費税の大幅引き上げに賛成する人はぐーっと減ってしまう
と思います。

 誰でも、自分たちが負担するのは嫌なものです。当然でしょうね。

 ということで、国も努力しているのだという姿勢をアッピールするために、国が保
有している公務員宿舎などをどんどん売却すると、与党は主張しています。

 先日も、ある学者を座長とする委員会が公務員宿舎を見学し、その後記者会見をし
ていました。

 余談ですが、その座長さん、「床暖房がないのは頂けない」とか「ウオシュレット
が今時付いていないのは頂けない」とか